ヴォルノースの森の なんてことない毎日

藻ノかたり

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扉の奥の秘宝 (4) 掘り出し物

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「掘り出し物って、これですか?」

披露された品に、パパとマルロンの目が釘付けになりました。

それは大きさが十センチほどある、民芸品のような人形でした。金属で出来ているようにも見えます。決してリアルではなく、造形的にも洗練されているとは言えないのですが、どことなく不思議な雰囲気を醸し出しているアイテムです。二人は、すぐに興味をそそられました。こういう所が凄く上手いんですね。このゼペックという男は。

「で、これは何なんです」

まずは、パパが口火を切りました。

「知りたいかい? まぁ、教えてもいいんだが、一度由来を聞いてしまったら、絶対に欲しくなること間違いなしだよ。お買い上げとなったら、こっちとしては嬉しいんだけどさ。また奥さんに、怒られるんじゃないのかい?」

店主は、少し気のない返事をします。また、これがテクニックなのです。

「そうだよ、セディ。これ以上、奥さんと揉めては大変だ。ここはひとつ、俺だけが話を聞くって言うのでどうだい?」

癒しの剣の遺恨をはらさんとばかりに、マルロンが口バシをいれました。

「いやいや、マルロン。君の独り占めにはさせないよ。さぁ、オーナー。話してくださいな」

ママの顔が一瞬脳裏をよぎったパパでしたが、ここで引き下がってはマニアの沽券にかかわります。

「うむ、良く言った。では、二人に話してしんぜよう。この人形の由来をな」

ゼペックは自分用のコーヒーを淹れ、目の前にある不思議なアイテムのいわくを語り始めました。


それは昔々、まだヴォルノースの森が一つだった頃のお話です。

「おぉ、来たか。待ちかねたぞ」

王宮倉庫別館の館長、ボンシックが言いました。

ここは城からけっこう離れた場所にある、本城には入りきらない宝物が保管されている倉庫です。しかし倉庫といっても、見た目はチョットした要塞でした。まぁ、重要度が少し落ちるとはいえ、宝物を守っているのですから当然と言えば当然です。

門扉の前には、先ほどのボンシックと二人の男が立っています。

一人は二十代の若者で鋭い目つき、というよりも、人と交わるのを拒絶するようなそんな目をした男です。名をフューイと言いました。もう一人は四十近くの人が良さそうな小太りの男、ゾルウッドです。

「フューイにゾルウッドだな。はるばる、こんな森の奥まで来てもらって礼を言う。私がこの宝物要塞の責任者、ボンシックだ」

如何にも小役人が狡猾に出世したという風の、五十路の坂を越えた中年男が話します。

「まぁ、中には行ってくれ。君たちが暫く逗留する宿舎に案内するよ」
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