103 / 218
お髭(ひげ)のニール (11) ドッジの挑戦
しおりを挟む
「おぉ、それが”髭生え薬”で、のびたって髭か。いや、立派なもんだねぇ、旦那」
時代劇の口調をまねたドッジが、ニールの顔を繁々と見つめます。
「あんまり、見ないでよ。恥ずかしいじゃないか」
ニールが両手で、トイレットペーパーの芯に巻きつけてある髭を覆いました。
「ドッジ、やめなさいよ。ニールが可哀想じゃない」
マリアが、大人びたところを発揮します。
「なんだい、お姉さんぶっちゃってさ。結局、マリアだって、何にも役には立っちゃいないんだろ?
お前の魔法と同じだな」
ドッジが、フンとばかりに言い返します。
「な、何よ。それとこれとは話が別じゃない。それに私の魔法は、ちゃんと役に立ってるわ」
マリアが、半ベソをかきながら抗議しました。マリアは博学だし、背伸びをするタイプなんですが、ちょっと泣き虫でもあるんですよね。
そうそう、それからもう一つ。ドッジの言葉通り、マリアは既に魔法が使えるようになっています。つい最近の事ですが、三人の中では一番先に魔法が発現したのを、大いに自慢していました。きかん坊のドッジには、それがチョット気に入りません。
「ヘンだ。あんな魔法、一体なんの役に立つって言うんだよ」
ガキ大将が、マリアにアゴを突き出します。
「だって、ちゃんと……」
マリアが、いよいよ泣き出しそうになった時、
「もう、やめなよドッジ。あんまりひどい事を言っちゃダメだ」
ニールが、割って入ります。
「だって、本当の事だし!」
ドッジが、言い返します。
「何よ、ドッジなんて、まだ魔法が使えないじゃない。使える分だけ、私の方がずうっとマシなんですからね」
ニールの援護を受けて、マリアが俄然、勢いづきました。
「フ、フン! お、俺だってすぐに、つ、使えるようにならぁ。き、きっと雷を落とす魔法とか、火の玉を発射する凄い魔法をさ」
ドッジは反論しますが、ニールはドッジの態度に少し違和感を覚えます。
「ま、今はとにかくニールの髭だ。頭でっかちのお嬢ちゃんにはお手上げみたいだし、今度は俺様の出番だな」
ガキ大将は、何かを誤魔化すように話題を元に戻しました。マリアも納得はしていませんが、ドッジの言う通り、今はニールの髭を何とかしなくてはなりません。言い返したい思いをグッとこらえて、彼女も立派なお髭の生えた友だちの方を振り返ります。
ニールが、トイレットペーパーの芯に巻きつけたお髭を解くのを確認したドッジは、
「んじゃま……」
とばかりに両手を前に突き出して、握ったり開いたりをし始めました。何か、とても嫌な予感がします。
案の定、ドッジがおもむろに、ニールのお髭を目指して手をのばしてきたのを見て、お髭の持ち主はサッと身をかわします。
「なんだよ。逃げるな」
ドッジが、口を尖らせます。
「逃げるな、じゃないよ。お前、両手でボクの髭を引っ張って、それで引き抜こうとしてないかい?」
ニールの抗議を含んだ質問に、ドッジが「まぁな」と答えます。
「あんた、バカ? それで抜けるくらいなら、とっくにやってるわよ!」
先ほどまでベソをかきかけていたマリアが、ここぞとばかりに反撃しました。
「いや、だからさ。とりあえずだよ、とりあえず。それで、様子を見てからだな……」
言い返したドッジですが、何も考えていなかったのは明らかです。
「じゃあ、ハサミとかないのかよ」
ドッジが、至極当然の次の一手を言いかけた時、
「それも試し済み。ね、ニール。だけど駄目だったんでしょう。二、三本、切れただけで」
先ほどの事情聴取から得た情報を、自慢げに披露しながら、マリアが言いました。
時代劇の口調をまねたドッジが、ニールの顔を繁々と見つめます。
「あんまり、見ないでよ。恥ずかしいじゃないか」
ニールが両手で、トイレットペーパーの芯に巻きつけてある髭を覆いました。
「ドッジ、やめなさいよ。ニールが可哀想じゃない」
マリアが、大人びたところを発揮します。
「なんだい、お姉さんぶっちゃってさ。結局、マリアだって、何にも役には立っちゃいないんだろ?
お前の魔法と同じだな」
ドッジが、フンとばかりに言い返します。
「な、何よ。それとこれとは話が別じゃない。それに私の魔法は、ちゃんと役に立ってるわ」
マリアが、半ベソをかきながら抗議しました。マリアは博学だし、背伸びをするタイプなんですが、ちょっと泣き虫でもあるんですよね。
そうそう、それからもう一つ。ドッジの言葉通り、マリアは既に魔法が使えるようになっています。つい最近の事ですが、三人の中では一番先に魔法が発現したのを、大いに自慢していました。きかん坊のドッジには、それがチョット気に入りません。
「ヘンだ。あんな魔法、一体なんの役に立つって言うんだよ」
ガキ大将が、マリアにアゴを突き出します。
「だって、ちゃんと……」
マリアが、いよいよ泣き出しそうになった時、
「もう、やめなよドッジ。あんまりひどい事を言っちゃダメだ」
ニールが、割って入ります。
「だって、本当の事だし!」
ドッジが、言い返します。
「何よ、ドッジなんて、まだ魔法が使えないじゃない。使える分だけ、私の方がずうっとマシなんですからね」
ニールの援護を受けて、マリアが俄然、勢いづきました。
「フ、フン! お、俺だってすぐに、つ、使えるようにならぁ。き、きっと雷を落とす魔法とか、火の玉を発射する凄い魔法をさ」
ドッジは反論しますが、ニールはドッジの態度に少し違和感を覚えます。
「ま、今はとにかくニールの髭だ。頭でっかちのお嬢ちゃんにはお手上げみたいだし、今度は俺様の出番だな」
ガキ大将は、何かを誤魔化すように話題を元に戻しました。マリアも納得はしていませんが、ドッジの言う通り、今はニールの髭を何とかしなくてはなりません。言い返したい思いをグッとこらえて、彼女も立派なお髭の生えた友だちの方を振り返ります。
ニールが、トイレットペーパーの芯に巻きつけたお髭を解くのを確認したドッジは、
「んじゃま……」
とばかりに両手を前に突き出して、握ったり開いたりをし始めました。何か、とても嫌な予感がします。
案の定、ドッジがおもむろに、ニールのお髭を目指して手をのばしてきたのを見て、お髭の持ち主はサッと身をかわします。
「なんだよ。逃げるな」
ドッジが、口を尖らせます。
「逃げるな、じゃないよ。お前、両手でボクの髭を引っ張って、それで引き抜こうとしてないかい?」
ニールの抗議を含んだ質問に、ドッジが「まぁな」と答えます。
「あんた、バカ? それで抜けるくらいなら、とっくにやってるわよ!」
先ほどまでベソをかきかけていたマリアが、ここぞとばかりに反撃しました。
「いや、だからさ。とりあえずだよ、とりあえず。それで、様子を見てからだな……」
言い返したドッジですが、何も考えていなかったのは明らかです。
「じゃあ、ハサミとかないのかよ」
ドッジが、至極当然の次の一手を言いかけた時、
「それも試し済み。ね、ニール。だけど駄目だったんでしょう。二、三本、切れただけで」
先ほどの事情聴取から得た情報を、自慢げに披露しながら、マリアが言いました。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる