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お髭(ひげ)のニール (12) 新たな異変
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「いや、ちょっと待って。確かにそうなんだけど……」
ニールが、知恵の女神を制します。
「一応、ハサミは持って来たんだ。とりあえず、試してくれないか、ドッジ」
ニールの考えは、こうでした。
なるほど、家でやってみた時には、マリアに話した通り失敗をしました。だけど、ドッジの怪力なら……。
ニールは携えたカバンからハサミを引っ張り出し、ドッジに手渡します。友人からそれを受け取った彼の顔が,
さもあろうと張り切り出しました。マリアもニールの考えを瞬時に読み取ったのか、今度は口を出しません。
少々、嫌な予感のする中、ドッジは左手でニールのお髭を握り、右手でハサミを持ちました。そしてアゴ近くにザックリと刃をかませます。
最初は余裕の表情だったドッジですが、次第に鼻の穴を膨らませ、ウーン、ウーンと唸りながら必死にハサミを握る手に力を込めました。でも小さなアゴに生えた野太い毛の束は、ビクとも致しません。せいぜいニールが試した時より、数本多い髭が落ちただけでした。
「痛い、痛い! やめてドッジ!」
ハサミの刃がお髭に引っ掛り、アゴに激痛を覚えたニールが叫びます。
「もう、なんだい。だらしがねぇなぁ」
自らの強引さを棚に上げ、ドッジがヤレヤレという仕草をしました。
「あの……、今更こういうのも、なんなんだけどね」
様子を見ていたマリアが、おずおずと喋りだします。
「もしもよ、ドッジが切り落とせたとしても、アゴには少し髭が残るわよね。それがあったら、やっぱりニールのママにはバレちゃうわ。
残った髭も綺麗さっぱり失くすには、大人の男の人が使うカミソリがいると思うのよ。でもあれって、子供に扱える物じゃないわ。ウチのお父さんだって、時々、肌を切っちゃうんだもの」
あぁ、そうか。マリアの説明を受けて、ニールも合点がいきました。そう言えば、いつかパパもそんな話をしていたっけ、とパパがアゴの所から血を流している光景を思い出します。
総合的に考えれば、結局は何もしなくて良かったのです。大人しくママのお説教を聞くのが、最良の方法だったと気づき、子供心にも後悔の念がジワジワとニールの心に染み出してきました。
「で、次はどうするよ」
事態が飲み込めないドッジだけが、ピントのズレた提案をします。
「ごめんね、ニール。私が早く気づいていたら……」
「ううん。最初に、ボクが気づくべきだったんだ。こっちこそ、ごめん」
「なんだ、なんだ。二人だけで納得しちゃってさ。どういう事だ」
三人のかみ合っているような、かみ合っていないような会話が続きました。
「だから……!」
しょうがないわねと言わんばかりに、マリアがガキ大将に説明をします。
「はぁ、何やってんだよニール。全然ダメじゃんか」
やっと事情を飲み込んだドッジが、ニールに文句を言いました。
あぁ、彼のいう通りだ。本当にボクはダメだなぁ……。家から今までの事、全部、無駄だったんだ……、とニ―ルが思った時でした。
「……何か聞こえない?」
マリアが突然、耳をそばだてます。
「おいおい、今度は何だよ。ニールの次は、マリアが変になっちまったのか?」
ドッジが、からかうように、博識な女友だちに言いました。
ママに怒られる覚悟を決めたニールも、マリアに従って聞き耳を立てます。ここまで来れば、もう怖いものなしです。ふふっ。ホントは、ちょっぴりママのお説教が怖いんですけどね。
「何も聞こえねぇぞ」
呆れ顔のドッジが、面倒くさそうに言いました。
ニールが、知恵の女神を制します。
「一応、ハサミは持って来たんだ。とりあえず、試してくれないか、ドッジ」
ニールの考えは、こうでした。
なるほど、家でやってみた時には、マリアに話した通り失敗をしました。だけど、ドッジの怪力なら……。
ニールは携えたカバンからハサミを引っ張り出し、ドッジに手渡します。友人からそれを受け取った彼の顔が,
さもあろうと張り切り出しました。マリアもニールの考えを瞬時に読み取ったのか、今度は口を出しません。
少々、嫌な予感のする中、ドッジは左手でニールのお髭を握り、右手でハサミを持ちました。そしてアゴ近くにザックリと刃をかませます。
最初は余裕の表情だったドッジですが、次第に鼻の穴を膨らませ、ウーン、ウーンと唸りながら必死にハサミを握る手に力を込めました。でも小さなアゴに生えた野太い毛の束は、ビクとも致しません。せいぜいニールが試した時より、数本多い髭が落ちただけでした。
「痛い、痛い! やめてドッジ!」
ハサミの刃がお髭に引っ掛り、アゴに激痛を覚えたニールが叫びます。
「もう、なんだい。だらしがねぇなぁ」
自らの強引さを棚に上げ、ドッジがヤレヤレという仕草をしました。
「あの……、今更こういうのも、なんなんだけどね」
様子を見ていたマリアが、おずおずと喋りだします。
「もしもよ、ドッジが切り落とせたとしても、アゴには少し髭が残るわよね。それがあったら、やっぱりニールのママにはバレちゃうわ。
残った髭も綺麗さっぱり失くすには、大人の男の人が使うカミソリがいると思うのよ。でもあれって、子供に扱える物じゃないわ。ウチのお父さんだって、時々、肌を切っちゃうんだもの」
あぁ、そうか。マリアの説明を受けて、ニールも合点がいきました。そう言えば、いつかパパもそんな話をしていたっけ、とパパがアゴの所から血を流している光景を思い出します。
総合的に考えれば、結局は何もしなくて良かったのです。大人しくママのお説教を聞くのが、最良の方法だったと気づき、子供心にも後悔の念がジワジワとニールの心に染み出してきました。
「で、次はどうするよ」
事態が飲み込めないドッジだけが、ピントのズレた提案をします。
「ごめんね、ニール。私が早く気づいていたら……」
「ううん。最初に、ボクが気づくべきだったんだ。こっちこそ、ごめん」
「なんだ、なんだ。二人だけで納得しちゃってさ。どういう事だ」
三人のかみ合っているような、かみ合っていないような会話が続きました。
「だから……!」
しょうがないわねと言わんばかりに、マリアがガキ大将に説明をします。
「はぁ、何やってんだよニール。全然ダメじゃんか」
やっと事情を飲み込んだドッジが、ニールに文句を言いました。
あぁ、彼のいう通りだ。本当にボクはダメだなぁ……。家から今までの事、全部、無駄だったんだ……、とニ―ルが思った時でした。
「……何か聞こえない?」
マリアが突然、耳をそばだてます。
「おいおい、今度は何だよ。ニールの次は、マリアが変になっちまったのか?」
ドッジが、からかうように、博識な女友だちに言いました。
ママに怒られる覚悟を決めたニールも、マリアに従って聞き耳を立てます。ここまで来れば、もう怖いものなしです。ふふっ。ホントは、ちょっぴりママのお説教が怖いんですけどね。
「何も聞こえねぇぞ」
呆れ顔のドッジが、面倒くさそうに言いました。
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