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魔女と奇妙な男 (53) さらなる進化
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クレオンの脳裏に、メサイトが発した”あのお方”の言葉がよぎります。
”あなただけに、分け与えます。あなたには、その資格がある”
これは只メサイトをおだてるだけの言葉ではなく、本当にメサイトに薬を与えた特別な理由があったのかも知れないと、クレオンは気がつきます。
戦闘以外の事を考えたその一瞬、クレオンに隙が生まれました。メサイトは、それを見逃しません。岩のような拳をクレオンの顔面めがけて繰り出します。既に避けるタイミングを逸したクレオンは、防御の構えを取りました。
「そうれ!!」
敵が避ける事を止めたのを察したメサイトは、喜々として叫びます。
化け物の拳が、つき出したクレオンの手のひらに触れました。途端にクレオンは、その手を滑らせて化け物の腕をつかみまが、その勢いを止めるには至りません。彼は咄嗟に身をひるがえし、もう片方の手で更に腕をつかみました。
「ちっ!」
メサイトの舌打ちが聞こえます。パンチが当たらないと悟った彼は、つかまれている腕を胸の方まで引き寄せて、一気に振り抜きました。その怪力に、クレオンは数メートル先まで吹き飛ばされます。
しかし、そこは武道の達人。ネリスのように無防備な状態で、床に叩きつけられるような醜態は晒しませんでした。
「クレオンさん!」
ネリスが、悲鳴に近い声を上げます。
メサイトはこの機会をのがすまいと、ポケットからおぞましい薬を取り出し飲み干しました。
そして、こう言います。
「もしかして、薬の時間切れを狙ってたのか? そうだとしたら、残念なこった。いや、オレも不思議なんだがお前との戦いを楽しんでいると、薬が切れるような気がしねぇ。こんな事は初めてだ。
だが、まぁ念のため、いちおう薬は補充しておくぜ」
メサイトは飲み終えた瓶を、勢いよく投げ捨てました。すると、どうでしょう。彼の体が徐々に変化をし始めました。ジョンブリアンの肌は、段々と薄緑色に変化をし、筋肉は更に太くなっていきます。
薬は飲む者によって、また精神状態によっても効果が変わる事があるものです。”あのお方”は、今のメサイトの状態を予想していたのかも知れませんね。しかしながら事実がどうであれ、クレオンは絶対的に不利となりました。
禁忌の薬に、あんな効果があったなんて聞いてないわ!
ネリスはそう思いましたが、もうずっと昔に闇へと葬られた薬です。実際どうなのかは、誰にも分かりません。魔女の教科書だって、書いてある事が全て本当だとは限りませんしね。
一方メサイトは、更に奇怪な姿になった自分の体を見回しながら、
「おぉ、これが、これがオレの真実の姿か! あのお方の言葉は正しかった。これは、オレだからこそ成し得た偉業だ!」
と、目を爛々と輝かせます。
「これは、ちょっと驚いたな。想定外と言わざるをえん」
クレオンが呟きますが、決してその目は希望を失ってはいませんでした。むしろ先ほどまでのメサイトのように、これから何かを楽しむような微笑みを浮かべます。
「よぉ。オレ様の余りの素晴らしさに、グウの音も出ないようだな。だが逃がしゃしないよ」
自らの変化を誇るように、メサイトが言いました。
「あぁ、もちろんさ。こんな楽しい事をやめられるわけがない」
未だ床に膝をついているクレオンの口元が、ニヤリと動きます。
”あなただけに、分け与えます。あなたには、その資格がある”
これは只メサイトをおだてるだけの言葉ではなく、本当にメサイトに薬を与えた特別な理由があったのかも知れないと、クレオンは気がつきます。
戦闘以外の事を考えたその一瞬、クレオンに隙が生まれました。メサイトは、それを見逃しません。岩のような拳をクレオンの顔面めがけて繰り出します。既に避けるタイミングを逸したクレオンは、防御の構えを取りました。
「そうれ!!」
敵が避ける事を止めたのを察したメサイトは、喜々として叫びます。
化け物の拳が、つき出したクレオンの手のひらに触れました。途端にクレオンは、その手を滑らせて化け物の腕をつかみまが、その勢いを止めるには至りません。彼は咄嗟に身をひるがえし、もう片方の手で更に腕をつかみました。
「ちっ!」
メサイトの舌打ちが聞こえます。パンチが当たらないと悟った彼は、つかまれている腕を胸の方まで引き寄せて、一気に振り抜きました。その怪力に、クレオンは数メートル先まで吹き飛ばされます。
しかし、そこは武道の達人。ネリスのように無防備な状態で、床に叩きつけられるような醜態は晒しませんでした。
「クレオンさん!」
ネリスが、悲鳴に近い声を上げます。
メサイトはこの機会をのがすまいと、ポケットからおぞましい薬を取り出し飲み干しました。
そして、こう言います。
「もしかして、薬の時間切れを狙ってたのか? そうだとしたら、残念なこった。いや、オレも不思議なんだがお前との戦いを楽しんでいると、薬が切れるような気がしねぇ。こんな事は初めてだ。
だが、まぁ念のため、いちおう薬は補充しておくぜ」
メサイトは飲み終えた瓶を、勢いよく投げ捨てました。すると、どうでしょう。彼の体が徐々に変化をし始めました。ジョンブリアンの肌は、段々と薄緑色に変化をし、筋肉は更に太くなっていきます。
薬は飲む者によって、また精神状態によっても効果が変わる事があるものです。”あのお方”は、今のメサイトの状態を予想していたのかも知れませんね。しかしながら事実がどうであれ、クレオンは絶対的に不利となりました。
禁忌の薬に、あんな効果があったなんて聞いてないわ!
ネリスはそう思いましたが、もうずっと昔に闇へと葬られた薬です。実際どうなのかは、誰にも分かりません。魔女の教科書だって、書いてある事が全て本当だとは限りませんしね。
一方メサイトは、更に奇怪な姿になった自分の体を見回しながら、
「おぉ、これが、これがオレの真実の姿か! あのお方の言葉は正しかった。これは、オレだからこそ成し得た偉業だ!」
と、目を爛々と輝かせます。
「これは、ちょっと驚いたな。想定外と言わざるをえん」
クレオンが呟きますが、決してその目は希望を失ってはいませんでした。むしろ先ほどまでのメサイトのように、これから何かを楽しむような微笑みを浮かべます。
「よぉ。オレ様の余りの素晴らしさに、グウの音も出ないようだな。だが逃がしゃしないよ」
自らの変化を誇るように、メサイトが言いました。
「あぁ、もちろんさ。こんな楽しい事をやめられるわけがない」
未だ床に膝をついているクレオンの口元が、ニヤリと動きます。
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