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ニールの目ざめ (23) 神々の恩賜 その6
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「神様たちは、他の神々と交わした”約束”の話をしましたが、それで納得する者は余りおりませんでした。
中には”この地の民が、何か神様の弱みを握っている”だの”特別な貢物をして神様を引き留めている”だの、もう酷い悪口が、さも事実のようにヴォルノースの世界全体に広がっていったのです」
メリドルの名調子は、子供たちの間に、波乱の前触れを予感させました。
「そして遂に、ヴォルノースの世界にある幾つかの国々が”神を奪還せよ”と、軍勢を森へと差し向けたのでした」
「えぇ~っ! そんな無茶苦茶な!」
ドッジが素っ頓狂な声を挙げましたが、誰も笑ったりはいたしません。むしろ、彼に賛同する声が、あちらこちらであがります。
まぁ、遠い昔の話とはいえ、自分たちの住んでいる地が、理不尽に攻めたてられているわけですから、彼らの反応は至極当然と言えるでしょう。
「その事態に、森の民たちは本当に困りました。既に説明してわかってもらえる状況ではないし、大勢の兵隊が押し寄せて来たら、勝ち目なんて万に一つもありません。
ヴォルノースの森、絶体絶命です!」
もしメリドルが講談師であれば、張り扇で釈台をバンバンと叩いているシーンです。
「森の人々は、神様に助けを請います。しかし、神様の方としても大いに困りました。
そりゃ、やろうと思えば”神様”なんですから、全世界の軍隊が押し寄せたって、それを全滅させる力は持ってるんですけどね」
「やっつけちゃえ!」
ドッジの掛け声を皮切りに、彼の悪仲間たちが、そうだ、そうだ、と、続きます。
「はいはい、静かに! では、みなさん。どうして神様たちは、ドッジが言ったように、兵隊たちをやっつけるのをためらったのでしょうか」
メリドルの言葉に、子供たちは顔を見合わせました。ニールを出し抜きたいホランショも、腕を組んで考えあぐねています。
「七人の神様たちは、全ての人々が好きだったから……」
窓際の席から、ニールがボソッと呟くように言いました。彼とて自信があったわけではなく、一瞬、頭に浮かんだだけの考えでした。
「そ、そう。その通りです」
メリドルが、一瞬、言いよどみます。
……驚いたな。私の教職員生活の中で、最初の講義でこれに気がついたのは、彼が初めて……、いや、もう一人いたか。確か……ネリスという名前だっけ……。ニールとは正反対の、むしろドッジに雰囲気が似ている女の子だったが……。
メリドルがそう思うのも、無理はありません。
魔法の発現は子供たちにとって、生まれて最初の試練ともいうべき事柄です。どんな魔法が得られるのかは、人生に取って非常に重大なイベントなわけですからね。よって、未熟な彼らに余計な考えを巡らせぬため、家では神々の恩賜の話はしないよう、保護者にはきつく言い渡されておりました。
つまりニールと、”あの”お転婆魔女ネリスは、予備知識なしで神々の心を言い当てたのです。
「人々が大好きな神様たちは、森の人たちも、攻め寄せる人たちも、傷つく事態を恐れました。しかしこのままでは、目を覆うような戦いが巻き起こるのは避けられません」
間一髪の所で、嬉しい動揺を隠すのに成功したメリドルは、話を続けます。
「じゃぁ、どうするって言うんですか?」
またしてもニールに良いところをさらわれたホランショが、少し八つ当たり気味にメリドルへ質問しました。
「神様たちは森の人々と相談して、とんでもない解決策を実行したのです」
子供たちが、固唾を飲みます。
中には”この地の民が、何か神様の弱みを握っている”だの”特別な貢物をして神様を引き留めている”だの、もう酷い悪口が、さも事実のようにヴォルノースの世界全体に広がっていったのです」
メリドルの名調子は、子供たちの間に、波乱の前触れを予感させました。
「そして遂に、ヴォルノースの世界にある幾つかの国々が”神を奪還せよ”と、軍勢を森へと差し向けたのでした」
「えぇ~っ! そんな無茶苦茶な!」
ドッジが素っ頓狂な声を挙げましたが、誰も笑ったりはいたしません。むしろ、彼に賛同する声が、あちらこちらであがります。
まぁ、遠い昔の話とはいえ、自分たちの住んでいる地が、理不尽に攻めたてられているわけですから、彼らの反応は至極当然と言えるでしょう。
「その事態に、森の民たちは本当に困りました。既に説明してわかってもらえる状況ではないし、大勢の兵隊が押し寄せて来たら、勝ち目なんて万に一つもありません。
ヴォルノースの森、絶体絶命です!」
もしメリドルが講談師であれば、張り扇で釈台をバンバンと叩いているシーンです。
「森の人々は、神様に助けを請います。しかし、神様の方としても大いに困りました。
そりゃ、やろうと思えば”神様”なんですから、全世界の軍隊が押し寄せたって、それを全滅させる力は持ってるんですけどね」
「やっつけちゃえ!」
ドッジの掛け声を皮切りに、彼の悪仲間たちが、そうだ、そうだ、と、続きます。
「はいはい、静かに! では、みなさん。どうして神様たちは、ドッジが言ったように、兵隊たちをやっつけるのをためらったのでしょうか」
メリドルの言葉に、子供たちは顔を見合わせました。ニールを出し抜きたいホランショも、腕を組んで考えあぐねています。
「七人の神様たちは、全ての人々が好きだったから……」
窓際の席から、ニールがボソッと呟くように言いました。彼とて自信があったわけではなく、一瞬、頭に浮かんだだけの考えでした。
「そ、そう。その通りです」
メリドルが、一瞬、言いよどみます。
……驚いたな。私の教職員生活の中で、最初の講義でこれに気がついたのは、彼が初めて……、いや、もう一人いたか。確か……ネリスという名前だっけ……。ニールとは正反対の、むしろドッジに雰囲気が似ている女の子だったが……。
メリドルがそう思うのも、無理はありません。
魔法の発現は子供たちにとって、生まれて最初の試練ともいうべき事柄です。どんな魔法が得られるのかは、人生に取って非常に重大なイベントなわけですからね。よって、未熟な彼らに余計な考えを巡らせぬため、家では神々の恩賜の話はしないよう、保護者にはきつく言い渡されておりました。
つまりニールと、”あの”お転婆魔女ネリスは、予備知識なしで神々の心を言い当てたのです。
「人々が大好きな神様たちは、森の人たちも、攻め寄せる人たちも、傷つく事態を恐れました。しかしこのままでは、目を覆うような戦いが巻き起こるのは避けられません」
間一髪の所で、嬉しい動揺を隠すのに成功したメリドルは、話を続けます。
「じゃぁ、どうするって言うんですか?」
またしてもニールに良いところをさらわれたホランショが、少し八つ当たり気味にメリドルへ質問しました。
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子供たちが、固唾を飲みます。
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