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ニールの目覚め (37) 老人と少年
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理由は二つありました。一つは、もし一人でそんな”大人の出入りする場所”へ行ったとママに知れれば、これはもう大変な騒動になるという事。そしてもう一つが、ニールはエンシャント・ケイブの「会員」ではなかったという事です。
エンシャント・ケイブは、一応会員制であり、ゼペックのお気に入りの客しか出入りは許されません。ニールは今まで、パパのビジターとして入店していたのでした。
「どうした。嫌かい?」
ニールの煮え切らない様子を見て、ゼペックが問いかけます。
「嫌じゃないですけど……。いえ、むしろゼペックさんのお話を聞きたいですけど……、ボクはエンシャント・ケイブの会員じゃないし、パパ抜きでは入れないと……」
ニールが、遠慮がちに言いました。彼はそういう所を、とても気にします。子供らしくないと言えば子供らしくないのですが、世間体を割と気にする、ママの影響を受けているのかも知れません。
でも、そのママに関する事は言いません。話を出来るだけシンプルにしたいと思ったからでした。それに、ママを恐れて行けないと思われるのも、なんとなく格好悪いと感じたからでしょう。まぁ、この辺は、小さいながらも男としてプライドが、見え隠れしているといったところでしょうか。
「ハハハ。なんだ、そんな事を気にしていたのか。わしを誰だと思ってるんだい? エンシャント・ケイブのオーナーだぞ。
オーナーは、店で一番偉いんだ。君一人を入店させるなんて朝飯前さ」
ゼペックの高笑いに、馬車を引く馬が少しビックリしたようにいななきますが、彼が手綱を引くと、また大人しくなりました。
あぁ、そうだよね。
ゼペック老の言う通り、彼は店のオーナーなんですから、大抵の無理は通ろうってもんです。ニールは、自分が考えすぎていた事を悟りました。
同行を了承したニールは、いったん馬車を降りたゼペックに抱えられ、荷馬車の運転台に座ります。そこはまだ小さな彼にとって、かなり高いと感じる場所でした。
ブルルッ!
馬が少々いぶかります。珍客の乗車に、ちょっとビックリしたようですね。しかしそれも、ゼペックが普段の席へ戻ると収まります。
「では、いざ行かん。我が愛しの城へ!」
老主人がそう言って手綱を取ると、馬車はゆっくりと動き出しました。
それからどのくらいの時間、馬車に揺られたでしょうか。行く手には、立派な三階建ての建物が姿を現し始めます。そう、押しも押されもせぬ大型リサイクルショップ「ラッキーエンカウンター」です。
「ニール、じゃあ、ちょっとここで待ってておくれ。わしは馬車を、倉庫の方へ置いて来るから」
ゼペックはそう言うと、ニールを馬車から降ろし、一人で敷地の奥へと消え去りました。ニールは、今一つ落ちつきません。だって、こんな所に子供一人でポツンと立っていたら、もしかして、迷子に間違えられてしまうかも知れませんからね。
実際、何人かのお客さんにチラリと視線を向けられたニールでしたが、愛想笑いをして何とかやり過ごします。
「いやぁ、お待たせ、お待たせ」
六十代後半のゼペックが、息を切らして戻って来ます。倉庫へ向かう途中、彼もニールと同じ考えに行き当たり、急いで用を済ませてきたというわけです。
二人はそろってラッキーエンカウンターの正面ドアをくぐります。はた目には、まるで仲の良い祖父と孫のように見えたでしょう。
彼らは、一階の目立たない場所に設置されている扉へと行きつきました。扉の向こうには、地下二階にある骨董屋、エンシャント・ケイブへと繋がる階段が伸びています。
ニールはそれほど長い間ここへ来なかったわけではないのですが、何かとても懐かしいと感じました。それはこの場所が、既に彼のお気に入りになっていたという証拠です。もっとも、そんな思いがママに知れでもしたら、またひと悶着あるのでしょうけれど。
エンシャント・ケイブは、一応会員制であり、ゼペックのお気に入りの客しか出入りは許されません。ニールは今まで、パパのビジターとして入店していたのでした。
「どうした。嫌かい?」
ニールの煮え切らない様子を見て、ゼペックが問いかけます。
「嫌じゃないですけど……。いえ、むしろゼペックさんのお話を聞きたいですけど……、ボクはエンシャント・ケイブの会員じゃないし、パパ抜きでは入れないと……」
ニールが、遠慮がちに言いました。彼はそういう所を、とても気にします。子供らしくないと言えば子供らしくないのですが、世間体を割と気にする、ママの影響を受けているのかも知れません。
でも、そのママに関する事は言いません。話を出来るだけシンプルにしたいと思ったからでした。それに、ママを恐れて行けないと思われるのも、なんとなく格好悪いと感じたからでしょう。まぁ、この辺は、小さいながらも男としてプライドが、見え隠れしているといったところでしょうか。
「ハハハ。なんだ、そんな事を気にしていたのか。わしを誰だと思ってるんだい? エンシャント・ケイブのオーナーだぞ。
オーナーは、店で一番偉いんだ。君一人を入店させるなんて朝飯前さ」
ゼペックの高笑いに、馬車を引く馬が少しビックリしたようにいななきますが、彼が手綱を引くと、また大人しくなりました。
あぁ、そうだよね。
ゼペック老の言う通り、彼は店のオーナーなんですから、大抵の無理は通ろうってもんです。ニールは、自分が考えすぎていた事を悟りました。
同行を了承したニールは、いったん馬車を降りたゼペックに抱えられ、荷馬車の運転台に座ります。そこはまだ小さな彼にとって、かなり高いと感じる場所でした。
ブルルッ!
馬が少々いぶかります。珍客の乗車に、ちょっとビックリしたようですね。しかしそれも、ゼペックが普段の席へ戻ると収まります。
「では、いざ行かん。我が愛しの城へ!」
老主人がそう言って手綱を取ると、馬車はゆっくりと動き出しました。
それからどのくらいの時間、馬車に揺られたでしょうか。行く手には、立派な三階建ての建物が姿を現し始めます。そう、押しも押されもせぬ大型リサイクルショップ「ラッキーエンカウンター」です。
「ニール、じゃあ、ちょっとここで待ってておくれ。わしは馬車を、倉庫の方へ置いて来るから」
ゼペックはそう言うと、ニールを馬車から降ろし、一人で敷地の奥へと消え去りました。ニールは、今一つ落ちつきません。だって、こんな所に子供一人でポツンと立っていたら、もしかして、迷子に間違えられてしまうかも知れませんからね。
実際、何人かのお客さんにチラリと視線を向けられたニールでしたが、愛想笑いをして何とかやり過ごします。
「いやぁ、お待たせ、お待たせ」
六十代後半のゼペックが、息を切らして戻って来ます。倉庫へ向かう途中、彼もニールと同じ考えに行き当たり、急いで用を済ませてきたというわけです。
二人はそろってラッキーエンカウンターの正面ドアをくぐります。はた目には、まるで仲の良い祖父と孫のように見えたでしょう。
彼らは、一階の目立たない場所に設置されている扉へと行きつきました。扉の向こうには、地下二階にある骨董屋、エンシャント・ケイブへと繋がる階段が伸びています。
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