57 / 102
ニールの目ざめ (56) 金切り声
しおりを挟む
「ちょっと、おじさんたち。いつまでニールを、とっ捕まえてるんだよ! こいつがいなけりゃどうなってたか、もうわかってるだろう!」
きかん坊の本領発揮とばかりに、ドッジが目の前の大人たちに物申します。
「あ、あぁ……」
頼りない返答をする二人の男性。理屈ではわかっているものの、未だに事態を掌握しきれておりません。
「だから! そいつの腕を離して下さいよ。俺とこいつは、ベリドント小学校の二年十二組、ドッジとニール。
この期に及んで、逃げも隠れもしねぇ!」
威勢のいい啖呵を切るドッジを見て、ニールはちょっと格好いいなと思いました。
「そうですよ。もっと冷静に考えて下さい。あ、私は同じくマリア。私も、逃げも隠れも致しません」
ようやっと駆けつけたマリアが、ドッジの後押しをするように続けて抗議をします。普段ならあり得ないタッグに、今度は面白いなと思うニールでした。
さて、二人の男性。小学二年生の女の子に諭され、やっとニールの戒めを解きました。
「立てるか、ニール」
腰をついている友人に、ドッジが右手を差し伸べます。
ニールが親友とガッチリ握手をする形になると、ドッジはニールをそのまま引っ張り上げて立たせました。
その時の、力強かった事!
ニールはとてもありがたく、頼りがいのある友人がいる幸せに感謝しました。
「ミリナにファリナ。あなたたちは、引き上げた方がいいわ」
マリアが、ニールの両肩に腰掛けている二人の精霊に、耳打ちをします。
「どうしてだよ」
それを聞いたドッジが”二人の主人は俺だ”と言わんばかりに、口をはさみました。
「周りを見て」
マリアが、小声で話します。
ニールとドッジが辺りを伺うと、先ほどより人の数がだいぶ増えておりました。巨木が倒れた轟音を聞きつけて、周りの住人たちがチラホラと表に出てきているのです。
「多分、しばらくここは、相当混乱すると思う。そんな所に街じゃ珍しいあなたたちがいたら、別の意味で騒ぎになっちゃうかも知れない」
なるほど。近所に住んでいれば、誰でも知っている巨木がいきなり倒れたのです。救出作戦の件がなかったとしても、早晩、野次馬やら警察やら消防やらが駆けつけて来るのは、火を見るより明らかでした。
「そうね。わかったわ」
「そうね。わかったわ」
ミリナとファリナは、マリアの意見に納得します。
「ミリナ、ファリナ、本当にありがとう。もし君たちがいなかったら、動いたのがボクたちだけだったら、どうなっていたかわからない」
ニールは、懸命な協力をしてくれた二人にお礼を言います。
一方ドッジはといえば、自分の魔法で呼び出した二人なのに、自分をさしおいて色々と話が進んでいる事を、ちょっと不満に思っていました。
あ、そうそう。ドッジの魔法は二人を呼び出す事は出来ても、戻す事は出来ないんですね。一度召喚したら、ドッジの魔力が切れるか、彼女たちが自主的に退場しなければ元には戻りません。
「うん。二人とも良くやった」
ドッジが、召喚主の面目を躍如しようと二人をねぎらいます。
「ふふっ。ドッジ、素直でよろしい」
「ふふっ。ドッジ、素直でよろしい」
二人が笑うと、ドッジは、
「お前ら、一言多いんだよ」
と、少し照れくさそうに言いました。
精霊たちは光の球になったかと思うと、現れた時とは逆の手順で、小さな光の粒に戻り消えて行きました。
二人を見送り、取りあえず一段落したその時です。
「ちょっと、あなたたち! どういうことなの!?」
聞き覚えのある金切り声が、ホッとしかけた空気を切り裂きます。
きかん坊の本領発揮とばかりに、ドッジが目の前の大人たちに物申します。
「あ、あぁ……」
頼りない返答をする二人の男性。理屈ではわかっているものの、未だに事態を掌握しきれておりません。
「だから! そいつの腕を離して下さいよ。俺とこいつは、ベリドント小学校の二年十二組、ドッジとニール。
この期に及んで、逃げも隠れもしねぇ!」
威勢のいい啖呵を切るドッジを見て、ニールはちょっと格好いいなと思いました。
「そうですよ。もっと冷静に考えて下さい。あ、私は同じくマリア。私も、逃げも隠れも致しません」
ようやっと駆けつけたマリアが、ドッジの後押しをするように続けて抗議をします。普段ならあり得ないタッグに、今度は面白いなと思うニールでした。
さて、二人の男性。小学二年生の女の子に諭され、やっとニールの戒めを解きました。
「立てるか、ニール」
腰をついている友人に、ドッジが右手を差し伸べます。
ニールが親友とガッチリ握手をする形になると、ドッジはニールをそのまま引っ張り上げて立たせました。
その時の、力強かった事!
ニールはとてもありがたく、頼りがいのある友人がいる幸せに感謝しました。
「ミリナにファリナ。あなたたちは、引き上げた方がいいわ」
マリアが、ニールの両肩に腰掛けている二人の精霊に、耳打ちをします。
「どうしてだよ」
それを聞いたドッジが”二人の主人は俺だ”と言わんばかりに、口をはさみました。
「周りを見て」
マリアが、小声で話します。
ニールとドッジが辺りを伺うと、先ほどより人の数がだいぶ増えておりました。巨木が倒れた轟音を聞きつけて、周りの住人たちがチラホラと表に出てきているのです。
「多分、しばらくここは、相当混乱すると思う。そんな所に街じゃ珍しいあなたたちがいたら、別の意味で騒ぎになっちゃうかも知れない」
なるほど。近所に住んでいれば、誰でも知っている巨木がいきなり倒れたのです。救出作戦の件がなかったとしても、早晩、野次馬やら警察やら消防やらが駆けつけて来るのは、火を見るより明らかでした。
「そうね。わかったわ」
「そうね。わかったわ」
ミリナとファリナは、マリアの意見に納得します。
「ミリナ、ファリナ、本当にありがとう。もし君たちがいなかったら、動いたのがボクたちだけだったら、どうなっていたかわからない」
ニールは、懸命な協力をしてくれた二人にお礼を言います。
一方ドッジはといえば、自分の魔法で呼び出した二人なのに、自分をさしおいて色々と話が進んでいる事を、ちょっと不満に思っていました。
あ、そうそう。ドッジの魔法は二人を呼び出す事は出来ても、戻す事は出来ないんですね。一度召喚したら、ドッジの魔力が切れるか、彼女たちが自主的に退場しなければ元には戻りません。
「うん。二人とも良くやった」
ドッジが、召喚主の面目を躍如しようと二人をねぎらいます。
「ふふっ。ドッジ、素直でよろしい」
「ふふっ。ドッジ、素直でよろしい」
二人が笑うと、ドッジは、
「お前ら、一言多いんだよ」
と、少し照れくさそうに言いました。
精霊たちは光の球になったかと思うと、現れた時とは逆の手順で、小さな光の粒に戻り消えて行きました。
二人を見送り、取りあえず一段落したその時です。
「ちょっと、あなたたち! どういうことなの!?」
聞き覚えのある金切り声が、ホッとしかけた空気を切り裂きます。
0
あなたにおすすめの小説
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
「強くてニューゲーム」で異世界無限レベリング ~美少女勇者(3,077歳)、王子様に溺愛されながらレベリングし続けて魔王討伐を目指します!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
作家志望くずれの孫請けゲームプログラマ喪女26歳。デスマーチ明けの昼下がり、道路に飛び出した子供をかばってトラックに轢かれ、異世界転生することになった。
課せられた使命は魔王討伐!? 女神様から与えられたチートは、赤ちゃんから何度でもやり直せる「強くてニューゲーム!?」
強敵・災害・謀略・謀殺なんのその! 勝つまでレベリングすれば必ず勝つ!
やり直し系女勇者の長い永い戦いが、今始まる!!
本作の数千年後のお話、『アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~』を連載中です!!
何卒御覧下さいませ!!
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる