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幽霊と宝の塔 (7) 青紫の炎
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「そ、そう言えば、兵士が交代していたと私が思っていた時には、決まってたいまつの火が、いっそう激しく、何故か青紫色に燃え上がっていたような……」
白い光のインパクトが強すぎたため、気がついてはいたものの、重要視していなかった光景をアトリオは思い出しました。
「ま、まさか」
動揺した様子のアトリオに、
「そうだ。お前が見たのは、正に兵士が”消える瞬間”だったんだよ。
私はまだ、そういう状況に出くわしていないんだが、近くで見た者の話によると、急に何かブツブツと喋り出した後、突然体が青紫の炎に包まれるらしい。そして防具や武器などを除き、きれいさっぱりと消失してしまうという話だ」
と、副隊長が、自信なさげに説明します。
「それだとな、デニスとデルソントの失踪にも、ある程度の説明がつくんだよ。彼らが通りそうな廊下や階段に、二人の身に着けていたと思われる防具が、転がっていたそうだ。
その時は、まさかこんな事が起きるとは思ってもみないので、意味不明の現象として捉えていたんだがな」
アトリオは、副隊長の話を受け、
「つまり二人の肉体は、廊下や階段を通っている時に、燃え尽きて消えてしまったというわけでしょうか?」
と、問いかけました。
「そう考えるしかあるまい」
副隊長が、静かに答えます。
そんな馬鹿な話が、あるのだろうか?
アトリオはそう考えましたが、もちろん副隊長が、隊長を巻き込んで冗談を言うとは思えません。それに意識していなかったとはいえ、彼自分も兵士が消え失せる瞬間を見ていたのですから、もはや信じるほかありませんでした。
「どうして、そんな事が……。あの幽霊たちの、攻撃の一種なのでしょうか」
混乱するアトリオが、副隊長に助けを求めます。
「わからんよ。本当に、何もわからんのだ」
今度は、隊長が自ら口を開きました。
「そうだ。城に救援を求める使者を出しましょう。道中には魔物がいるでしょうし、それこそ昨晩の幽霊が襲って来るかも知れませんが、座して消滅を待つよりはずっとマシです。
ご命じ頂ければ、不肖ながらこのアトリオが、命に代えても城まで走り抜きましょうぞ」
彼の提案は、しごく当然のものと思われました。
しかし、それを聞いた隊長は、
「応援? それはどういう……」
と、まるで意味不明の話をされているという様子で答えます。
「いえ、ですから……」
アトリオが、そう言いかけた時でした。
「あ……? 何だ? ここは……? どうして私は今ここにいるんだろう? 確か……」
隊長が急に下を向いて、何かボソボソと呟くように言ったかと思うと、次の瞬間……。
「うわっ!」
その一言を発したと同時に、彼の体は燃え盛る青紫の炎に包まれました。余りにも突然の出来事だったので、アトリオはもちろん、百戦錬磨の兵士である副隊長でさえ仰天します。
「ネスレント隊長!」
二人は、青紫の炎の中にうごめく軍人の名を、揃って呼びました。
ここでアトリオは、とても不思議な事に気がつきます。このハプニングを目の当たりにし、すぐさま隊長の方へと駆けよりましたが、体全体を包み込むほどの大きな炎にもかかわらず、まるで熱気を感じません。
それに加え、当の隊長は苦しげな顔をしていないのです。むしろ何が起こっているのかわからないという表情で、辺りをキョロキョロ見回していました。
「アトリオ! 火を消すんだ」
副隊長が叫び、コートラックにかかっている隊長の外套に手を伸ばします。今から消火用の水を汲んでくるのは、現実的とは言えません。彼はコートを使って、火をはたき消そうとしているのでした。
その言葉にアトリオも自らの外套をすぐに脱ぎ、副隊長を加勢しに向かいます。
白い光のインパクトが強すぎたため、気がついてはいたものの、重要視していなかった光景をアトリオは思い出しました。
「ま、まさか」
動揺した様子のアトリオに、
「そうだ。お前が見たのは、正に兵士が”消える瞬間”だったんだよ。
私はまだ、そういう状況に出くわしていないんだが、近くで見た者の話によると、急に何かブツブツと喋り出した後、突然体が青紫の炎に包まれるらしい。そして防具や武器などを除き、きれいさっぱりと消失してしまうという話だ」
と、副隊長が、自信なさげに説明します。
「それだとな、デニスとデルソントの失踪にも、ある程度の説明がつくんだよ。彼らが通りそうな廊下や階段に、二人の身に着けていたと思われる防具が、転がっていたそうだ。
その時は、まさかこんな事が起きるとは思ってもみないので、意味不明の現象として捉えていたんだがな」
アトリオは、副隊長の話を受け、
「つまり二人の肉体は、廊下や階段を通っている時に、燃え尽きて消えてしまったというわけでしょうか?」
と、問いかけました。
「そう考えるしかあるまい」
副隊長が、静かに答えます。
そんな馬鹿な話が、あるのだろうか?
アトリオはそう考えましたが、もちろん副隊長が、隊長を巻き込んで冗談を言うとは思えません。それに意識していなかったとはいえ、彼自分も兵士が消え失せる瞬間を見ていたのですから、もはや信じるほかありませんでした。
「どうして、そんな事が……。あの幽霊たちの、攻撃の一種なのでしょうか」
混乱するアトリオが、副隊長に助けを求めます。
「わからんよ。本当に、何もわからんのだ」
今度は、隊長が自ら口を開きました。
「そうだ。城に救援を求める使者を出しましょう。道中には魔物がいるでしょうし、それこそ昨晩の幽霊が襲って来るかも知れませんが、座して消滅を待つよりはずっとマシです。
ご命じ頂ければ、不肖ながらこのアトリオが、命に代えても城まで走り抜きましょうぞ」
彼の提案は、しごく当然のものと思われました。
しかし、それを聞いた隊長は、
「応援? それはどういう……」
と、まるで意味不明の話をされているという様子で答えます。
「いえ、ですから……」
アトリオが、そう言いかけた時でした。
「あ……? 何だ? ここは……? どうして私は今ここにいるんだろう? 確か……」
隊長が急に下を向いて、何かボソボソと呟くように言ったかと思うと、次の瞬間……。
「うわっ!」
その一言を発したと同時に、彼の体は燃え盛る青紫の炎に包まれました。余りにも突然の出来事だったので、アトリオはもちろん、百戦錬磨の兵士である副隊長でさえ仰天します。
「ネスレント隊長!」
二人は、青紫の炎の中にうごめく軍人の名を、揃って呼びました。
ここでアトリオは、とても不思議な事に気がつきます。このハプニングを目の当たりにし、すぐさま隊長の方へと駆けよりましたが、体全体を包み込むほどの大きな炎にもかかわらず、まるで熱気を感じません。
それに加え、当の隊長は苦しげな顔をしていないのです。むしろ何が起こっているのかわからないという表情で、辺りをキョロキョロ見回していました。
「アトリオ! 火を消すんだ」
副隊長が叫び、コートラックにかかっている隊長の外套に手を伸ばします。今から消火用の水を汲んでくるのは、現実的とは言えません。彼はコートを使って、火をはたき消そうとしているのでした。
その言葉にアトリオも自らの外套をすぐに脱ぎ、副隊長を加勢しに向かいます。
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