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夜も更けた頃…都内でも有数であろう豪奢な屋敷の1つである加賀美家には毎夜、ちゅぷちゅぷと水気を帯びた音が鳴り響く。
「あっ♡あぁんっ、っうぅ…」
甘く高い嬌声を上げているのは、この屋敷の子息•瀬奈(せな)だ。ベッドの上で茶色い髪を乱れさせ、顔を歪めながら枕の端をぎゅっと握り、下腹部から押し寄せる快感に身悶えている。
瀬奈の下半身に顔を埋めているのは、黒髪の男だった。執事服を着て白い手袋でビクビクと震える瀬奈の身体を抑えている。
「…瀬奈様…」
「っ碓氷ぃ…口、離さ、なぃ、で…」
咥えていた瀬奈の陰茎から口を離した黒髪の執事•碓氷(うすい)が愛おしそうに、涙目で力無く睨む瀬奈の顔を見つめながらその頬に触れる。
「申し訳ございません、瀬奈様があまりにもお可愛くて」
「っ、可愛いとか、言う、なぁ…」
切なげに呻く瀬奈を見て、碓氷は冷淡な無表情の裏側で興奮し、密かに息を荒くしていた。
「(…最愛の瀬奈様が、この私を求めている…)」
「(この方は、瀬奈様は…私だけの物だ!)」
「!っ、ぁあん♡」
碓氷が誰にも奪わせないと言わんばかりに瀬奈の陰茎を再び咥え込み、荒々しく手と共に激しく扱いていく。
「あっ♡もぅ、出る、ぅ…っ♡」
「(あぁ瀬奈様…貴方の芳しい液を今日“も”、この私めにたっぷりと注いで下さい)」
「っ、あぁぁぁっ♡♡」
***
瀬奈が出し切った液を1滴たりとも零さまいと、碓氷は彼の陰茎を深く吸い上げると、ゴクンと鈍い音を喉で鳴らした。
射精後はしばらく身動き出来ず、肩で息をしていた瀬奈だったが、碓氷が自分から出た液を全て飲み干したのを見ると、ドン引きを超えてもはや尊敬の念すら感じた視線で碓氷を見下ろしている。
「よくそんなの飲めるよねぇ、俺には絶対無理」
手持ちのハンカチで口元を上品に拭き、縁無しの眼鏡をかけ直した碓氷が冷淡な視線で瀬奈へと向いた。
「誰のでも、ではございません。瀬奈様だからこそでございます」
ロボットの様に抑揚なく話す碓氷に、瀬奈の顔が真っ赤になる。
「…そりゃどーもっ」
それだけ言うと、瀬奈はぷいっと布団に潜り込んだ。
精一杯の照れ隠しに、表面上は冷静沈着な碓氷だったが、胸の内ではドクドクと熱い感情が渦巻いている。
「(…本当にお可愛い方だ。初めて会った時と、何1つ変わらない…)」
碓氷は、自分が瀬奈と初めて出会った、8年前を思い出していた。
***
碓氷がこの加賀美家にやって来たのは8年前、碓氷が20歳の時だった。
勿論新米の碓氷がいきなり従者の最高位に位置する執事になれる訳はなく、元はフットマン、いわゆる下級使用人からのスタートだった。
この時瀬奈は12歳、まだ小学生だった瀬奈は加賀美家の次男として生まれた。この頃はまだあどけない子供だったのだが、瀬奈を初めて見た碓氷は、電流が走ったかの様な衝撃を受けた。
「(な、何てお可愛い方だ!この御方は天使の生まれ変わりに違いない!!)」
未だ古い慣習が残っていた加賀美家では、当主である瀬奈の父•清(きよし)と、長男である瀬奈の兄•章良(あきら)には、執事が付く事となっていた。次男である瀬奈にはフットマンの中でも優秀な者が付く事となっており、数多いる加賀美家の使用人の中で、見事碓氷が選ばれたのだ。
「碓氷ー!キャッチボールしてーっ!」
「かしこまりました、瀬奈様」
碓氷にはいわゆるショタの気は無く、この頃は瀬奈の事をとても可愛い子供だとは思っていたが、性的な目線など1ミリたりとも存在せず、あくまで父や兄、はたまた親戚の様な目線で瀬奈の事を大切に思っていたのだ。
しかしそれが崩れたのは、瀬奈が高校生になった頃だった。
この頃になると二次性徴の完了、いわゆる身体が大人になっていく時期なのだが、精悍で逞しい身体つきに成長した章良とは対照的に、瀬奈は身長はそこそこ伸びたものの、碓氷や章良の様な180cm超えの中では頭1つ低い程で、胸板は薄く、顔立ちも無骨さが一切無い陶器の様な滑らかな肌、あどけなかったクリクリの目は切れ長だが決して細くない目元を持つ、中性的な顔立ちと身体に成長したのだ。
成長を遂げた瀬奈に碓氷は二度目の衝撃を受けた。
「(美しい…天使だった瀬奈様が、神…いや、女神となられた!)」
一度目の衝撃でも分かる通り、碓氷は何事も大袈裟に言うのがクセなのだが、俗っぽい言い方をすると、瀬奈は碓氷にとって理想を具現化したと言っても過言でない程、好みのタイプだったのだ。
しかし、この碓氷の大袈裟ぶりは、時に暴走を助ける潤滑油にもなった。
「(瀬奈様は私の物だ…誰にも、誰にも奪わせてなどなるものか!!)」
これが、碓氷による行き過ぎた執着の始まりなのだった。
「あっ♡あぁんっ、っうぅ…」
甘く高い嬌声を上げているのは、この屋敷の子息•瀬奈(せな)だ。ベッドの上で茶色い髪を乱れさせ、顔を歪めながら枕の端をぎゅっと握り、下腹部から押し寄せる快感に身悶えている。
瀬奈の下半身に顔を埋めているのは、黒髪の男だった。執事服を着て白い手袋でビクビクと震える瀬奈の身体を抑えている。
「…瀬奈様…」
「っ碓氷ぃ…口、離さ、なぃ、で…」
咥えていた瀬奈の陰茎から口を離した黒髪の執事•碓氷(うすい)が愛おしそうに、涙目で力無く睨む瀬奈の顔を見つめながらその頬に触れる。
「申し訳ございません、瀬奈様があまりにもお可愛くて」
「っ、可愛いとか、言う、なぁ…」
切なげに呻く瀬奈を見て、碓氷は冷淡な無表情の裏側で興奮し、密かに息を荒くしていた。
「(…最愛の瀬奈様が、この私を求めている…)」
「(この方は、瀬奈様は…私だけの物だ!)」
「!っ、ぁあん♡」
碓氷が誰にも奪わせないと言わんばかりに瀬奈の陰茎を再び咥え込み、荒々しく手と共に激しく扱いていく。
「あっ♡もぅ、出る、ぅ…っ♡」
「(あぁ瀬奈様…貴方の芳しい液を今日“も”、この私めにたっぷりと注いで下さい)」
「っ、あぁぁぁっ♡♡」
***
瀬奈が出し切った液を1滴たりとも零さまいと、碓氷は彼の陰茎を深く吸い上げると、ゴクンと鈍い音を喉で鳴らした。
射精後はしばらく身動き出来ず、肩で息をしていた瀬奈だったが、碓氷が自分から出た液を全て飲み干したのを見ると、ドン引きを超えてもはや尊敬の念すら感じた視線で碓氷を見下ろしている。
「よくそんなの飲めるよねぇ、俺には絶対無理」
手持ちのハンカチで口元を上品に拭き、縁無しの眼鏡をかけ直した碓氷が冷淡な視線で瀬奈へと向いた。
「誰のでも、ではございません。瀬奈様だからこそでございます」
ロボットの様に抑揚なく話す碓氷に、瀬奈の顔が真っ赤になる。
「…そりゃどーもっ」
それだけ言うと、瀬奈はぷいっと布団に潜り込んだ。
精一杯の照れ隠しに、表面上は冷静沈着な碓氷だったが、胸の内ではドクドクと熱い感情が渦巻いている。
「(…本当にお可愛い方だ。初めて会った時と、何1つ変わらない…)」
碓氷は、自分が瀬奈と初めて出会った、8年前を思い出していた。
***
碓氷がこの加賀美家にやって来たのは8年前、碓氷が20歳の時だった。
勿論新米の碓氷がいきなり従者の最高位に位置する執事になれる訳はなく、元はフットマン、いわゆる下級使用人からのスタートだった。
この時瀬奈は12歳、まだ小学生だった瀬奈は加賀美家の次男として生まれた。この頃はまだあどけない子供だったのだが、瀬奈を初めて見た碓氷は、電流が走ったかの様な衝撃を受けた。
「(な、何てお可愛い方だ!この御方は天使の生まれ変わりに違いない!!)」
未だ古い慣習が残っていた加賀美家では、当主である瀬奈の父•清(きよし)と、長男である瀬奈の兄•章良(あきら)には、執事が付く事となっていた。次男である瀬奈にはフットマンの中でも優秀な者が付く事となっており、数多いる加賀美家の使用人の中で、見事碓氷が選ばれたのだ。
「碓氷ー!キャッチボールしてーっ!」
「かしこまりました、瀬奈様」
碓氷にはいわゆるショタの気は無く、この頃は瀬奈の事をとても可愛い子供だとは思っていたが、性的な目線など1ミリたりとも存在せず、あくまで父や兄、はたまた親戚の様な目線で瀬奈の事を大切に思っていたのだ。
しかしそれが崩れたのは、瀬奈が高校生になった頃だった。
この頃になると二次性徴の完了、いわゆる身体が大人になっていく時期なのだが、精悍で逞しい身体つきに成長した章良とは対照的に、瀬奈は身長はそこそこ伸びたものの、碓氷や章良の様な180cm超えの中では頭1つ低い程で、胸板は薄く、顔立ちも無骨さが一切無い陶器の様な滑らかな肌、あどけなかったクリクリの目は切れ長だが決して細くない目元を持つ、中性的な顔立ちと身体に成長したのだ。
成長を遂げた瀬奈に碓氷は二度目の衝撃を受けた。
「(美しい…天使だった瀬奈様が、神…いや、女神となられた!)」
一度目の衝撃でも分かる通り、碓氷は何事も大袈裟に言うのがクセなのだが、俗っぽい言い方をすると、瀬奈は碓氷にとって理想を具現化したと言っても過言でない程、好みのタイプだったのだ。
しかし、この碓氷の大袈裟ぶりは、時に暴走を助ける潤滑油にもなった。
「(瀬奈様は私の物だ…誰にも、誰にも奪わせてなどなるものか!!)」
これが、碓氷による行き過ぎた執着の始まりなのだった。
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