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改めて瀬奈への忠誠もとい執着を強めた碓氷だったが、今回神は彼の味方をしなかった。
使用人として有能な仕事ぶりを発揮していた碓氷は、新たな執事として清と章良に付く事となり、瀬奈には別の使用人が付く事となったのだ。
瀬奈から引き離され、絶望に打ちひしがれた碓氷だったが、今思えば、この辞令が更に碓氷の歪んだ愛情表現を引き出す形となってしまう。
「表立って瀬奈様にお仕えできないのであれば、仕方が無い」
碓氷が用意したのは、小型の盗聴器だった。
勿論、加賀美家の要望などではなく、碓氷が個人的に、そして内密に用意したものだ。
これを加賀美家、もちろん瀬奈にも告げず、瀬奈の持ち物に取り付けておく。
碓氷はこれで瀬奈を監視する事に成功し、そこから得られる情報を元に、余計な物を全て排除していった。
瀬奈は中学•高校共に男子校へ通っていた為、女子からアプローチされる事は無かったが、その中性的な容姿から時折同性から好意を持たれる事があった。
瀬奈が同級生に告白されたり、良からぬ誘いを受けたりすると、碓氷は上手く屋敷を抜け出しては、特殊な“工作”によって、そういった輩達を二度と瀬奈へ近付けさせない様にしていた。
***
そんな日々が続いて瀬奈が大学へ入学し、20歳の誕生日を迎えてしばらくした頃、この日は何故か碓氷は、執務を終えた夜更けに何気なく盗聴器からの音声へ耳を傾けていた。
夜になると瀬奈は1人になり、身の危険(あくまで碓氷の偏った解釈によるもの)は無い為、普段この時間帯に音声をチェックする事は無かったのだが、何故かこの日だけは、盗聴器の音声を切らなかったのだ。
「…ん?」
碓氷が“異変”を感じ、耳を澄ませると、盗聴器の向こう側から、どこかくぐもった様な音…もとい、“声”が聞こえてきた。
「…ふっ…くっ、はぁ…」
「っ♡はぁん、あぁ…っ」
「こ、これは…」
今まで聞いた事の無い瀬奈の艶かしい声に、碓氷は激しい動悸を覚え、身体中が熱くなる。
音声だけでも碓氷は理解した。今日は屋敷に客人は1人もいない。つまり瀬奈は今、1人部屋で自慰…つまりオナニーをしているのだ。
「瀬奈様、どうして…どうして…」
気が触れた様にブツブツと呟く碓氷。
自分のあずかり知らない所で、瀬奈が自分の知らない“何か”で興奮し、それを“オカズ”にしている。
碓氷にとっては、その“何か”に瀬奈を寝取られた様な物で、身を焦がしそうな程の嫉妬に駆られていた。
「はぁ、はぁ、あっ、ぁあっ♡」
「瀬奈様…止めて、止めて下さい…」
徐々に熱と激しさを増す瀬奈の声に、絶頂目前を確信した碓氷は頭を抱え、髪を掻きむしった。
今すぐ瀬奈の部屋へ駆け込みたかったが、悲しいかなヘッドフォンから聞こえる瀬奈の喘ぎから耳を離す事が出来ない。
そうこうしている内に、瀬奈の嬌声が激しさと速度を増していく
「っあっ、イクっ、ぁああああっっ!!♡♡」
***
「はぁ、はぁ…」
絶頂を迎えたらしく、さっきまでの切迫した声とはうって変わって、ゆったりとした呼吸音が盗聴器を介して聞こえてくる。碓氷は愕然とし、膝から崩れ落ちた。
「瀬奈様が…私だけの瀬奈様が…」
碓氷にとって、瀬奈は神格化された存在であり、またついこの間まで未成年だったという現実的な観点から、どれだけ恋愛感情や性的な目線で瀬奈に好意を抱いても、絶対にそのラインを越えてはいけないと心の中で決めていた。
しかし、その決意がこの夜によって、呆気なく崩れ去っていったのだ。
「…ふふ、ふふふ。瀬奈様…」
「ずっとお待ち申しておりましたが、もはや限界のようです…」
「はは、あはははは!あはははははっっ!!」
理性のタガが外れた、狂気的な碓氷の笑い声は、分厚い壁に守られて、只々執事部屋に鳴り響いていた。
***
ある日の夜、碓氷が屋敷を巡回していると、風呂上がりらしい瀬奈と鉢合わせた。
「あ、碓氷だ」
濡れた茶色い髪が細い首に引っ付き、元々滑らかな頬が水気を帯びて更に潤いを増す瀬奈に、碓氷が顔色一つ変えずに一礼する。
「お休みなさいませ、瀬奈様」
「おやすみ~」
ヒラヒラ手を振る瀬奈が曲がり角に曲がって姿が見えなくなるまで、碓氷はずっと見つめ続ける。
「(麗しい瀬奈様…ご安心下さい、もうお1人には致しません)」
独りよがりな使命感を抱えながら、碓氷は歩みを再開した。
使用人として有能な仕事ぶりを発揮していた碓氷は、新たな執事として清と章良に付く事となり、瀬奈には別の使用人が付く事となったのだ。
瀬奈から引き離され、絶望に打ちひしがれた碓氷だったが、今思えば、この辞令が更に碓氷の歪んだ愛情表現を引き出す形となってしまう。
「表立って瀬奈様にお仕えできないのであれば、仕方が無い」
碓氷が用意したのは、小型の盗聴器だった。
勿論、加賀美家の要望などではなく、碓氷が個人的に、そして内密に用意したものだ。
これを加賀美家、もちろん瀬奈にも告げず、瀬奈の持ち物に取り付けておく。
碓氷はこれで瀬奈を監視する事に成功し、そこから得られる情報を元に、余計な物を全て排除していった。
瀬奈は中学•高校共に男子校へ通っていた為、女子からアプローチされる事は無かったが、その中性的な容姿から時折同性から好意を持たれる事があった。
瀬奈が同級生に告白されたり、良からぬ誘いを受けたりすると、碓氷は上手く屋敷を抜け出しては、特殊な“工作”によって、そういった輩達を二度と瀬奈へ近付けさせない様にしていた。
***
そんな日々が続いて瀬奈が大学へ入学し、20歳の誕生日を迎えてしばらくした頃、この日は何故か碓氷は、執務を終えた夜更けに何気なく盗聴器からの音声へ耳を傾けていた。
夜になると瀬奈は1人になり、身の危険(あくまで碓氷の偏った解釈によるもの)は無い為、普段この時間帯に音声をチェックする事は無かったのだが、何故かこの日だけは、盗聴器の音声を切らなかったのだ。
「…ん?」
碓氷が“異変”を感じ、耳を澄ませると、盗聴器の向こう側から、どこかくぐもった様な音…もとい、“声”が聞こえてきた。
「…ふっ…くっ、はぁ…」
「っ♡はぁん、あぁ…っ」
「こ、これは…」
今まで聞いた事の無い瀬奈の艶かしい声に、碓氷は激しい動悸を覚え、身体中が熱くなる。
音声だけでも碓氷は理解した。今日は屋敷に客人は1人もいない。つまり瀬奈は今、1人部屋で自慰…つまりオナニーをしているのだ。
「瀬奈様、どうして…どうして…」
気が触れた様にブツブツと呟く碓氷。
自分のあずかり知らない所で、瀬奈が自分の知らない“何か”で興奮し、それを“オカズ”にしている。
碓氷にとっては、その“何か”に瀬奈を寝取られた様な物で、身を焦がしそうな程の嫉妬に駆られていた。
「はぁ、はぁ、あっ、ぁあっ♡」
「瀬奈様…止めて、止めて下さい…」
徐々に熱と激しさを増す瀬奈の声に、絶頂目前を確信した碓氷は頭を抱え、髪を掻きむしった。
今すぐ瀬奈の部屋へ駆け込みたかったが、悲しいかなヘッドフォンから聞こえる瀬奈の喘ぎから耳を離す事が出来ない。
そうこうしている内に、瀬奈の嬌声が激しさと速度を増していく
「っあっ、イクっ、ぁああああっっ!!♡♡」
***
「はぁ、はぁ…」
絶頂を迎えたらしく、さっきまでの切迫した声とはうって変わって、ゆったりとした呼吸音が盗聴器を介して聞こえてくる。碓氷は愕然とし、膝から崩れ落ちた。
「瀬奈様が…私だけの瀬奈様が…」
碓氷にとって、瀬奈は神格化された存在であり、またついこの間まで未成年だったという現実的な観点から、どれだけ恋愛感情や性的な目線で瀬奈に好意を抱いても、絶対にそのラインを越えてはいけないと心の中で決めていた。
しかし、その決意がこの夜によって、呆気なく崩れ去っていったのだ。
「…ふふ、ふふふ。瀬奈様…」
「ずっとお待ち申しておりましたが、もはや限界のようです…」
「はは、あはははは!あはははははっっ!!」
理性のタガが外れた、狂気的な碓氷の笑い声は、分厚い壁に守られて、只々執事部屋に鳴り響いていた。
***
ある日の夜、碓氷が屋敷を巡回していると、風呂上がりらしい瀬奈と鉢合わせた。
「あ、碓氷だ」
濡れた茶色い髪が細い首に引っ付き、元々滑らかな頬が水気を帯びて更に潤いを増す瀬奈に、碓氷が顔色一つ変えずに一礼する。
「お休みなさいませ、瀬奈様」
「おやすみ~」
ヒラヒラ手を振る瀬奈が曲がり角に曲がって姿が見えなくなるまで、碓氷はずっと見つめ続ける。
「(麗しい瀬奈様…ご安心下さい、もうお1人には致しません)」
独りよがりな使命感を抱えながら、碓氷は歩みを再開した。
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