悪意のパーティー《完結》

アーエル

文字の大きさ
2 / 6

第2話

しおりを挟む


「あなたはキャデリーヌ伯爵令嬢を陥れようとして、私を巻き込みましたよね」
「あ、それは……まさかアーシャが毒の入ったワインを飲むとは思わなかったから」
「それはどういう意味ですか」

フランソワ様は当時のことを振り返るようにポツポツと話しだした。
その内容は義兄の自白と同じだった。
だから私も義兄に向けて放ったのと同じ言葉を吐く。

「私を囮にしたということですよね」といえば息を呑む。

「私の前に毒入りのグラスが差し出されると分かっていた。キャデリーヌ伯爵令嬢が手に取る方が毒入りのワイングラスだから、彼女がグラスを手にしたら取り押さえるつもりだった? つまり私がその毒入りのワインを飲む可能性は無視した。そうですよね」

そういえば小さく震える。

「私が毒を飲み死んでも構わなかった。それがあなたたちの計画だったと」
「違う!」

言葉を遮って勢いよく立ち上がるフランソワ様。
腰掛けていた椅子が音を響かせて後ろへと倒れる。
そんな彼に私の表情筋がすうっと仕事を放棄して無表情になったのを自覚した。
それを目の当たりにしたのか、フランソワ様が表情を強ばらせる。

「違いません。それより今の行動は脅しと見做し抗議させていただきます」
「違う……脅す気など」
「言葉を遮って怒鳴り、勢いよく席を立ち椅子をひっくり返す。それの一体どこが脅しではないと仰いますの?」

自分の一連の行動を指摘されて青ざめるフランソワ様。
壁に居並ぶ使用人たちは誰一人として倒れた椅子を戻そうとしない。
当然だ、ここには私の使用人がいるだけでフランソワ様の侍従は屋敷の外で待機しているのだから。
そのためフランソワ様は立ったままで、自分で椅子を起こして座り直すこともしない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

愛されない妻は死を望む

ルー
恋愛
タイトルの通りの内容です。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

押し付けられた仕事は致しません。

章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。 書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。 『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

婚約破棄の場に相手がいなかった件について

三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。 断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。 カクヨムにも公開しています。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

逆転した王女姉妹の復讐

碧井 汐桜香
ファンタジー
悪い噂の流れる第四王女と、 明るく美しく、使用人にまで優しい第五王女。

透明な貴方

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。  私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。  ククルス公爵家の一人娘。  父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。  複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。 (カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)

処理中です...