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第2話
しおりを挟む「あなたはキャデリーヌ伯爵令嬢を陥れようとして、私を巻き込みましたよね」
「あ、それは……まさかアーシャが毒の入ったワインを飲むとは思わなかったから」
「それはどういう意味ですか」
フランソワ様は当時のことを振り返るようにポツポツと話しだした。
その内容は義兄の自白と同じだった。
だから私も義兄に向けて放ったのと同じ言葉を吐く。
「私を囮にしたということですよね」といえば息を呑む。
「私の前に毒入りのグラスが差し出されると分かっていた。キャデリーヌ伯爵令嬢が手に取る方が毒入りのワイングラスだから、彼女がグラスを手にしたら取り押さえるつもりだった? つまり私がその毒入りのワインを飲む可能性は無視した。そうですよね」
そういえば小さく震える。
「私が毒を飲み死んでも構わなかった。それがあなたたちの計画だったと」
「違う!」
言葉を遮って勢いよく立ち上がるフランソワ様。
腰掛けていた椅子が音を響かせて後ろへと倒れる。
そんな彼に私の表情筋がすうっと仕事を放棄して無表情になったのを自覚した。
それを目の当たりにしたのか、フランソワ様が表情を強ばらせる。
「違いません。それより今の行動は脅しと見做し抗議させていただきます」
「違う……脅す気など」
「言葉を遮って怒鳴り、勢いよく席を立ち椅子をひっくり返す。それの一体どこが脅しではないと仰いますの?」
自分の一連の行動を指摘されて青ざめるフランソワ様。
壁に居並ぶ使用人たちは誰一人として倒れた椅子を戻そうとしない。
当然だ、ここには私の使用人がいるだけでフランソワ様の侍従は屋敷の外で待機しているのだから。
そのためフランソワ様は立ったままで、自分で椅子を起こして座り直すこともしない。
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