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第6話
しおりを挟む…………しかし、その道はバッフェンの前に残されていない。
当然であろう。
彼はギルド長という立場を悪用して私やヒルダを兵士たちの娼婦に下げ渡そうとしたのだから。
「実験台にされるより、生きて償わせた方が良いだろう」
判決は温情のように見えて事実は死より辛いものとなった。
「バッフェン! 薬草すらまともに採集できんのか!」
ダンジョンの入り口で折檻を受けるバッフェン。
彼に厳しく罰しているのはマクベス王国の元兵士だ。
名をゲーヘンという。
「貴様のせいでっ!」
ゲーヘンにはバッフェンに私刑をしたい理由が大きい。
……仕方がないだろう。
『手に届く位置に私がいた』のを後で知ったのだから。
もうすぐ元の生活を取り戻すことができたはずだったと信じているのだから。
「いい加減にしろ!」
今度はゲーヘンがぶっ飛ばされる。
彼もまた終生奴隷の身である。
自我を奪われる最下層の奴隷ではなく、自我を回復させることができた一段上の奴隷、だった。
「私欲による暴行」
奴隷同士による暴行は更なる罪が加算される。
ゲーヘンが再び自我を奪われて最下層の奴隷に身を落としたのはこれで………何回目だ?
あと1回残っていたか。
同じことをすれば反省がみられないとして、永遠に最下層の奴隷となり、二度と自由になれない。
……自我を永久凍結されてから、彼の前に姿を現そう。
反応が見られないのは残念だ。
しかし彼には知る権利がある。
国に待ち構えている未来と、仲間たちの現状と、奴隷になった自身の将来を。
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