日日是好日〜日々これより〜

アーエル

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ふと思う
今生でどんなに勉強をして社会人になっても、死んだらそれっきりではないか、と。

そう思ったのは
私の主治医だった藤井先生が亡くなられたのがきっかけだ。

それこそ、日々勉強を貫いた、尊い先生だった。
たとえ自身が死の病と直面していても。
患者のために。
次の診察で、少しでも良くなれるような治療や処方を提案できるように。

でも、亡くなられた……2024年の1月に。


「死んじゃったら終わりじゃん」


そう言って泣いた。



何ヶ月も経って、ふと思った。

「『地頭がいい』のって?」

地頭自体の意味は『カツラをかぶっていない頭』を指す。
それが転じて「生まれつきの頭」、つまり「生まれ持った頭の良さ」を意味している(らしい)。

次に疑問に思ったのは「生まれ持った頭の良さって、どこから来るのだろう?」


そこで思いついたのが「生まれる前、つまり前世までに培ってきた知識や経験なのでは?」という仮説だった。

実際に私は文章を打っていて「……ってなに?」という言葉が湧き出ることがある。
区切りのいいところまで打ってから、アプリやネットの辞書で意味を検索。
「へえ、こういう意味か」
「あっ、字が違ってた」
などとなることが多い。
作品内でたまに難しい言葉が出るのはだったりする。


また、一人暮らしをはじめて気づいたこと。
「なんでこんな料理ができるの?」
「お菓子、なんでつくれるの?」

思いついた通りにつくっているだけなのに。

家事の一切を担っていたおばあちゃんが亡くなったのは、私が高校生のとき。
私の知る「家庭の味」はおばあちゃんの料理だ。

一人暮らしをはじめてつくりだしたのは、おばあちゃんの料理。
大正生まれのおばあちゃんは、火(ガス)をつかう料理のときは「あぶないから」と手伝いをさせなかった。
包丁だって調理実習以外では握ったことがない。

メアベア(ミヤベアなどともいう)だって、おばあちゃんがつくっているのを離れたイスから見ていただけ。
それも小学生の頃に1回だけ。
何度もつくってくれたけどね。

しかし……作れちゃったんだ、同じ味のものを。

「覚えてるもんだねぇ~」なんて自画自賛してたけど……
それだって「私が前世でつくっていたから」かもしれない。

私がつくるナポリタンだって、母曰くイマドキではなく
高齢者施設では喜ばれる味だった。

レシピ?
そんなものはない。

ただ身体が勝手に動くだけ。
だから目分量。

お好み焼きは小麦粉で。
ホワイトソース?
牛乳と小麦粉で。


いまレシピを作成しているけど、けっこう苦労している。
わざわざ計ったことがないから。

ねぎダレも「こんくらい?」。
海苔の佃煮も「これ残ってるから混ぜてみよ~」
切り干し大根やひじきの煮物も「おー、うまくいった」

正直言って、「材料と調味料は書くから自分で試して」と丸投げしたい気分。
小説で材料名が出るのに分量が書いていないのはそれが理由。


でも、ってレシピあったのかな?
私みたいに目分量で投入して、味見して自分の好みの味にしてたんじゃない?

そう、「私にも記憶のどこかに『過去の料理経験』が残っていて、知らないはずの料理がつくれるのではないか?」

ただの母親だったかもしれない。
当時は『家事しかできない女性』だったとしても、現代では『家事のできる女性』だ。

そして、いま私たちは新たな経験を重ねている。
逆に、前回頑張ったから今生は休息の人生を味わっている人もいるかも。
でも、「前に得なかった知識や未経験なことに触れている」だろう。

だって、思い出してほしい。
漫画やアニメ、ネット環境や家庭用ゲーム機などが世界に広がって、まだしか経っていない。
ほぼ確実にに広がったことだ。
そのうち、どれだけが『日本発祥』だろうか。

前世といえる時代にあっただろうか。
もしくは異世界、『科学の発展した世界』が前世の人ならあっただろうけど……


ここでまた考える。
この世界の『科学の発展とその進化』を。
それは、科学が発展した異世界から転生した人たちの〈記憶と経験と努力〉があったからではないだろうか。

私たちが異世界ジャンルの作品で、転生をした人が前世の記憶を取り戻して発展させようとする。
それと同じことが、この世界でも起きているのではないか。
現実には、前世の記憶は取り戻さないものの、知識とその構造が頭に浮かんで実現化した。
完成したどれかに触れて、同じような〈科学の記憶や知識を持った人〉が機能を充実させていく。

同じように、私たちはこの世界で得た記憶をもって、どこかの異世界でをなしていくのだろう。


たとえ…………記憶やそのときの感情は消えても、経験や知識はココロに残る。
世間的には「不憫な死」に思えたとしても、その人には「優しさ」が蓄積するのかもしれない。
加害者には業〈カルマ〉が生まれて罪の意識を知るか、快楽や享楽に脳を変換させてしまうか。
前者ならともかく、後者なら人非人にんぴにんとして魂魄たましいを堕として「真っ当な人として生きられない」と世界が判断したら、二度と人として生まれることは出来ないだろう。

ただ知識を重ねて人のためになることを吸収すれば、これからの人生の中で何らかの役に立つだろう。
それが贖罪となる。

まずは異世界で人型に近い魔物?
生命を奪い、奪われるに送られるだろう。

罪を償わず、罪を重ねる。
罪を償わなければ、強制的に罪を償うために堕とされても文句は言えない。


一生を努力に費やさなくても、何らかの知識を得ればいい。
私はこの世界で医療従事者や介護という分野に触れて知識を得た。
次の世界で私は……料理の知識を発揮するか、介護や医療、予防などという分野で貢献するのだろうか。
ゲームの知識を持って、調合や錬金術を極めるのかもしれない。


ちなみに、砂糖の材料や塩の作り方。
精油の抽出(蒸留)などはこの世界で読んだ本の知識。
それも小学校に置かれているような、専門書以外。

こういうのも「知識の下地」だろう。
小麦粉で料理やお菓子をつくれる。
これだって、小学校や児童館で読んだ本(一部マンガ)だ。
こういうことだって、きっと「『料理の素』が存在しない世界」で重宝されるのだろう。



ここまで読んでくれた皆さんに聞きたい。
いまからでも、読んでみない?
小麦粉や卵、牛乳でつくるお菓子や料理の本。
化学の本だって、「これとこれを合わせたらなにができる」を知ってるだけでも大きく違う。
キャンプだって、火おこしや薪に使える木、棒とシートでテントを張る方法の実践だ。

必要な知識って、いろんなところから吸収出来るし、読書をするのに遅いことはないよ。
別にマンガから読んでもいいんだし、面倒ならアニメでもいいんじゃない?
分からなかったらネットで検索すれば、動画で教えてくれている人を見つけられる。
編み物なんて検索すれば動画で解説されているし、道具は百均で全部揃う。

剣道は次の人生で騎士になるために。
合気道や空手は護身術。
刺繍は貴族令嬢の嗜み。

こうして、私たちは「次の人生が少しでも生きやすく豊かになるため」に現在いまを生きているのかもしれない。
そして、経験と徳を重ねて、王族や皇族という高い立場に生まれるのかもしれない。
だから、いまの経験は今生で役に立たなくても〈この先のどこかの世界〉で必要な知識となるかもしれない。


ここでひとつ
災害に役立つ「防水マッチの簡単なつくり方」を知ってる?
溶かした蝋に先端をつける方法もあるけど、『火を使わない安全な方法』だってあるよ。
(ネットで調べてみてね)


ほうら
またひとつ、知識が増えた。


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