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しおりを挟むノーズがいうのは、休日の過ごし方のように散歩したり、本を読んだり、一緒に寝たり。
「『穏やかに過ごす』ことが一番なの。その優しい気を体内に宿しているのがフェリアで、召喚獣は光の精霊がいったように心の光に惹かれるの」
「ノーズ様はその光が濁っております。召喚師というのは私利私欲で相手の都合も考えず召喚獣の魂の一部を喚びます」
「その点は悪いって」
「本来、召喚獣は召喚されて与えられた任務を終えれば本体に戻ります。ですが、繰り返し喚ばれる度に魂の一部を持っていかれるのは召喚獣にとって不快なんです。そのため、召喚獣に安らぎを与えてから帰っていただく。そうすることで、召喚獣はまた力を貸しても良い、と思うのです」
「召喚獣が協力を惜しまない召喚師になれば、国は潤うし栄える。……ただね、世話役はごまんといても召喚獣に好かれる世話役はほとんどいないわ。そして争奪戦が始まるんだけど……普通に考えても、自分たちの世話役を奪われた召喚獣が大人しくいうことをきくと思う?」
妖精たちがノーズの周りで同じ仕草をしている。
それはノーズの感情とシンクロしているからだ。
これだけ多くの妖精たちとシンクロできる召喚師はノーズ以外にいない。
まだ学生のため学園に守られているが、フェリアより二年先に卒業する。
そうなれば今までの召喚師同様、国に有益な召喚獣を喚び、ときには酷使することになるだろう。
世話役に癒されずに任務を重ねていけば怒りを買い、召喚師は連れ去られて国は滅ぼされる。
「むり……ですね。世話役を奪われたら取り返そうとするでしょう。たとえ取り返せたとしても相手の国は召喚獣戦争で滅ぶでしょう。さらに守れなかった国を見かぎり滅ぼす可能性もあります」
「そう……召喚師も世話役も召喚獣たちは保護するわ。でもそれ以外の人間には非道よ」
肩をすぼめるノーズと妖精たち。
召喚獣たちも集まってフェリアを見上げている。
「先輩、ひとつだけ約束してもらってもいいですか?」
「ん? 私にできることなら考えるけど」
ノーズと妖精たちが小首を傾げる。
その様子に微笑むとフェリアは願いを口にしてノーズを驚かせた。
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