11 / 13
11
残念ながら侯爵家は様々な理由から伯爵位をとばして子爵位に落とされた。
セリーナのこととその後の当主夫妻の暴挙。
国の保護下に置かれたフェリアを彼らは取り戻そうとした。
そしてそれが不可能だと知ると、フェリアを殺そうとした。
それはフェリアの婚約が発表された直後だった。
フェリアの考えどおり、召喚獣の世話役となったフェリアの身柄を国内外に売り出し、高値をつけた国に売る予定だった。
サンドビエッター家当主夫妻は、ほかの貴族同様フェリアの地位を理解していなかったのだ。
逆賊……それだけで十分没落する行為だ。
しかし、それを罪に問えば国王陛下たち会議室で召喚獣に遊ばれた者たちも同罪になってしまう。
我が身可愛さに罪は問われなかった。
代わりに当主譲渡となり、アルゼンが後を継いで新当主になった。
フェリアは子爵位になると同時に領地を転封されたサンドビエッター子爵家の領地の方角に顔を向ける。
サンドビエッター子爵家当主の結婚式が行われている頃だ。
元々侯爵時代に婚約していた伯爵家の庶子。
彼女は子爵位になっても婚約を白紙にしなかった。
「私はアルゼン・サンドビエッターと婚約しました。サンドビエッター家でも侯爵家でもありません」
その言葉にアルゼンは衝撃を受けた。
なぜなら彼の元妹は表向き幼馴染みと結婚したことになっているが、実際には家との結婚をした。
セリーナは名を奪われ、噂では婚家で『従順な夜の華』となっているらしい。
「私はあなたを幸せにすると誓えません」
「かまいませんわ。私があなたを幸せにすると誓いますから」
アルゼンはこれ以上彼女を拒むことはできなかった。
5年間共に新しい領地を経営し、生活が安定したころにアルゼンはケジメとしてプロポーズをした。
「王都で貴族たちに囲まれた祝福を受けられませんが、この先も私と共に生きてくださいませんか?」
「この私でよければ。私たちは領民たちに祝福をしていただきましょう。きっと皆さん喜んでくださいますわ」
彼女はアルゼンを選んだときに伯爵家とは縁を切った。
それでも結婚の報告をしたとき、代替わりをしていた彼女の父はフェリアではなく娘の結婚式に駆けつけた。
領民たちから祝福されて幸せに微笑む娘をみた彼女の父は、娘の選択が間違っていなかったことを認め、『花嫁の父』として心から祝福をした。
そして、遠くから兄妹の縁が切れた花嫁も幸せを願った。
その願いを届けるように、小さな結婚式会場に色とりどりな花が降り注いだ。
あなたにおすすめの小説
《完結》悪役聖女
ヴァンドール
ファンタジー
聖女になり、王妃となるため十年間も教育を受けて来たのに蓋を開ければ妹が聖女の力を持っていて私はには聖女の力が無かった。そのため祖国を追放されて隣国へと旅立ったがそこで……
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
妹に一度殺された。明日結婚するはずの死に戻り公爵令嬢は、もう二度と死にたくない。
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
恋愛
婚約者アルフレッドとの結婚を明日に控えた、公爵令嬢のバレッタ。
しかしその夜、無惨にも殺害されてしまう。
それを指示したのは、妹であるエライザであった。
姉が幸せになることを憎んだのだ。
容姿が整っていることから皆や父に気に入られてきた妹と、
顔が醜いことから蔑まされてきた自分。
やっとそのしがらみから逃れられる、そう思った矢先の突然の死だった。
しかし、バレッタは甦る。死に戻りにより、殺される数時間前へと時間を遡ったのだ。
幸せな結婚式を迎えるため、己のこれまでを精算するため、バレッタは妹、協力者である父を捕まえ処罰するべく動き出す。
もう二度と死なない。
そう、心に決めて。
落ちこぼれ公爵令息の真実
三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。
設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。
投稿している他の作品との関連はありません。
カクヨムにも公開しています。
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。