私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

文字の大きさ
135 / 791
第六章

第148話

しおりを挟む

「よっと。ランチを持ち帰りで下さーい」

「お、エミリアちゃん。昼だけでいいかい?」

「夕方から屋台村でイベントだからね。とりあえず見て回るつもり。場合によってはダンジョンに入ってくるよ」

「先月のことがあるからなあ」

「・・・うん。あの後から、水の妖精は怖がって出て来られないからね」

毎月、屋台村では『お客様感謝デー』みたいなことをしています。定価の5割から無料サービスなど幅広く、その分、集客力も半端ないのですが・・・。スリや引ったくりなどの犯罪者も集まってきます。

そんな中、いつものように屋台を見てテイクアウトしたり妖精たちが気に入ったものを買っていた時に事件が起きました。『高さ15センチの長方形の卓上鏡』に妖精たちが姿を写して遊んでいたので、その鏡を購入した直後のことです。

次の店に行こうとした時、目の前に革袋が現れて、妖精をさらって走り去ろうとした。その時に攫われたのが水の妖精です。涙石から白虎が飛び出して相手を襲い革袋を取り返してくれました。この革袋は魔法吸収がかけられていて、中から出られなかったようです。革袋から出した水の妖精は恐怖からガクガク震えていました。助かったことより驚きが強く、私の肩口に飛び込んで大泣き。それと同時に、滝のような大雨。私は加護があるため濡れなかったけど、周囲は大騒ぎ。あっと言う間に地面に水たまりが出来、足首まで水に浸かりました。みんなで慰めて、水の妖精が泣き止んだ時には、水は私のひざの高さまで届いていました。だいたい50センチくらいでしょうか。

濡れていない私を見て、私が聖魔師テイマーだと言うことに半信半疑だった人たちは驚き、私を取り込んでピピンたちや白虎を手に入れようと考えていた不埒な連中は『妖精のいかり』に怯えて一目散に逃げて行きました。もちろん逃げ出した連中は『妖精たちの反撃』を受けました。水はけていません。普通に走って逃げられるはずがありません。守備隊と警備隊に捕らえられて厳重注意を受けました。

水の妖精が攫われたのは偶然です。犯人は『私の右肩に乗って飛び跳ねていたリリン』を狙ったのです。

「ダンジョン都市を混乱に陥れた」

聖魔師テイマーに襲いかかった」

「妖精に危害を加えた男は貴族相手の闇ブローカーだった」

「ダンジョン都市を『妖精の怒り』で滅ぼそうとした黒幕きぞくはコイツだ!」

そんな見出しがついた電子新聞ネットニュース・・・のようなものがダンジョン都市の、主に冒険者を中心に駆け巡りました。その中で判明したのが犯人の処罰です。そして妖精ではなくスライムを狙ったことを自供したそうです。
だから、この都市に住む人で私が聖魔師テイマーだと知らない人がいないのです。

「それでリリンちゃんはどうだ?狙われたのはあの子だろ?」

「あの子も、外ではあまり出ようとしない。家やダンジョンならピピンと一緒に出てくるけど、都市の中では呼んでも一度で出てこない」

だから、先月から店を開けていない。私の店はフレンド取引の設定をしていないため、入浴剤や香水、ポプリやハーバリウムが欲しければ、店に直接来るしかないのです。店を開けられない理由をこの都市の住人は知っているため、「いつ開けるんだ」とか「売ってくれ」とは言ってきません。他の町から来て「わざわざ来たのに!」と言われたら、私服守備隊が迷惑行為で取り押さえて守備隊へ引き渡してくれます。
それでも懲りずに店に来てしまうと・・・。
扉に触れた直後に光の妖精のイタズラで『真っ黒け』になります。静電気です。静電気ですが、甘く見てはいけません。体内に溜まった静電気は、何処にも逃げ出すことは出来ず。たまたま『狐の嫁入り』か何かで僅かに降った雨が掛かってしまい・・・。

大丈夫です。『生きています』から。
そうなりたくなければ、近付かなければいいだけです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつもりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。