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第九章
第401話
「ねえねえ」
〈どうした?〉
「あのね、初っ端にアゴールがプッツン切れちゃったのって……。火龍を一撃で沈めたときにツバかなにかがかかったから?」
〈そういうことだ〉
火龍が現れたと話を聞き、私とダイバやアゴールたちが向かった。場所が近いことでダイバたちが。そして私は妖精たちが火龍と話ができると思われて一緒に向かった。
〈あのときは悪かったなあ……〉
火龍は申し訳なさそうな声で謝罪する。当時、火龍は戦闘中だった。龍同士の喧嘩、というよりじゃれ合い? どつき合いかもしれない。
〈久しぶりに会うと互いに粋がってしまってなあ。力比べとかしたくなるもんなんだよ〉
「だからって、大地をここまで何にもなしにしなくてもいいじゃん」
〈いや、だからつい、な〉
火龍と久しぶりの再会でじゃれあっていたのが騰蛇。そして暴れまくってたんだけど、火龍が胎内にためた火を吹こうとした。それを察知した火の妖精が教えてくれて、危険を察知したアゴールがアゴの下から蹴り上げた。口から出かかった炎は火龍の口の中で爆発。地面にひっくり返った火龍の開いた口から出たのは黒い煙。……その大量の煙に乗じて騰蛇は地下深くまで隠れて、こっそりダンジョン都市に逃げ帰った。そして、私と妖精たちは騰蛇に『バレてるんだぞ~』と脅しをかけて仲良くなった。
「アゴールが止めなかったら、俺たちも酷い目に……あわないな」
「そこで、なしてこちらを向くと?」
《 そこで、なして訛ると? 》
《 そこで、なして連鎖すると? 》
「ちゃんと喋れ」
「ダイバも、なして訛ると?」
「……つられた」
ダイバが苦笑すると私たちは声をあげて笑った。ダイバは火龍が当時のことを思い出して、その後に起きた騒ぎで胸を痛めているのに気付いていたのだろう。私たちが笑うことで火龍も苦笑したことにホッと息を吐いていた。
アゴールは、火龍のツバを受けていた。そのせいで竜人の理性が崩壊して戦闘狂になってしまった。龍の覇気に吸い寄せられるように集まってきていた魔物の竜たちを、アゴールは瞬く間に倒していった。そんなアゴールでもダイバには勝てず。簡単に組み伏せられたアゴールは、ピピンに飲み込まれて落ち着くことができた。
簡単に理性をなくしたアゴールは深く落ち込んだ。ついでに火龍を斃せなかったことにも落ち込んだ。さらに、〈自分を一撃で倒した女は初めてだ〉といってプロポーズされた。そのことから「火龍、絶対に斃す」といって諦めていない。
「妊婦だろーが!」
「今度こそ斃す」
「とりあえず今回は諦めろ」
「絶対にいく。邪魔するなら……全力で……」
《 いい加減にしなさーい‼︎ 》
怒った水の妖精が、睡眠薬を混ぜた水を開いたアゴールの口に入れたことで眠らせることに成功した。そして体力ギリギリまで眠っているように睡眠薬を飲ませてきたらしい。
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