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第十章
第483話
「神獣の件だが、聖魔士はファウシスからきていた。その手がかりから、調査している仲間たちが向かった」
「メールでは『後続を待っている。合流してから入る』と伝えて城門の外で結界を張っているらしい。ただ中に入って待つようにしつこくいっているらしい」
「外で合流するのが普通ではないのか?」
「一応そう言っているらしいが」
チラリとダイバに目を向けると意味ありげに頷いた。
「結界を張っているのは接触を避けるためだ。そしてアウミがきた町だ、何か罠がしかけられているかもしれない」
「……入らない方がいい」
私の近くに来た妖精が報告書を出してきた。お題目は『ファウシスの異常性』。
内容は住人を守り部外者を洗脳に似たことをして操るというもの。洗脳された人は仲間を言葉巧みに誘導していくらしい。
「エミリアさん、それは洗脳ではないというのですか?」
職員からそう声があがる。
「妖精からの報告を読む限り、これは洗脳に近いですがまったく違います」
「それはどういう……」
「では皆さん、思い返してください。あなたたちの中には『宝石の聖獣とのふれあい』が目的できている人もいるでしょう。そんなあなた方に申し上げます。この会議をどう捉えて参加していますか? 宝石の聖獣を使って洗脳されていると思いますか?」
私の言葉にざわつく。たしかに宝石の聖獣を目的にきているが、それだけを会議に参加する目的にはしていない。そんな声があがる一方、宝石の聖獣とのふれあいが休憩時間にあることで意欲が上がる事実も否めない、との意見もでる。宝石の聖獣に木の実をあげるために会議に参加しているだけだ、という素直な意見すらでている。
「洗脳ではない。ただ私たちにとって宝石の聖獣とのふれあいも会議のひとつになっている。彼らの存在がリラックス効果となり、長時間の会議も苦にならない」
みんなの意見をまとめて、代表してシーズルが私の質問に答える。それに首肯して同意する人たち。それにアルマンさんとコルデさんが納得するように頷いた。ただし二人が頷いたのは別の意味でだ。
「君たちはファウシスで気付かずに操られるタイプだな」
「失礼ですが、どういう意味でしょう。私たちが何を間違っていると……」
「間違っているのではない、『集団心理』の罠に陥っているだけだ」
そう、いま彼らの意見は弱者の意見を多数の意見の中に押し込んで封じて出されたものだ。
「いま何人かが言ったよね、『自分は関係する報告以外に興味はなく、報告することがなくても最優先で参加している』と。その意見はどうしたの?」
「いや、しかし……」
「お前ら。エミリアは『多数決で意見をまとめろ』といっていない。どう思っているか? と聞いただけだ」
「それも『宝石の聖獣とのふれあいを目的できている人』との前置きもあったぞ。全員がそう思っているのか?」
ダイバとコルデさんの指摘に全員の表情が変わる。今まで全員が対象だと思っていたからだ。
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