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第十一章
第617話
しおりを挟む男性ことホフマンはユージンと共に妖精たちの監視下に置かれて厳しく指導を受けていた。それには到着を聞いてやってきたキッカも苦笑するしかない。
「ファビュア、あのホフマンは上位冒険者だ。しかし……妖精たちの方が立場が上で、その上には都市を守護している神の眷属がいる。厳しいようだけど妖精たちに任せた方がいい」
彼らの関係に詳しいキッカが説明するとファビュアも頷くしかない。キッカが神獣の存在を伏せたのは、あの惨劇が神獣によるものと言われているからだ。鉄壁の防衛の誰かが漏らしたのではない。運良く悲劇を受けなかった人や生き残った人たちが齎した情報を集めてそう噂になっているのだ。
冒険者ギルドでも『神獣より立場が上の存在が守る都市』の話は聞いている。その存在なら神獣のように世界を壊さないと思いつつも表情が固くなるのは仕方がないだろう。
「それにしても……ホフマン、君たちが来たのか」
「ああ、ダイバたちは管理部だからな。この国にも送ってる食材は冒険者たちがダンジョンに入ってかき集めているし。エミリアは来たがっていたが、姉たちが子供を産んだだろ? ミリィが双子を産んだから手が必要でな。しばらくは留守番だ」
ホフマンの言葉にギルド内が騒めく。その様子からホフマンが思い出したように「ああ」と言葉を漏らした。
「そういえばミリィはここにいたことがあったんだっけ」
「あ、はい。そうです。……あのキッカさん、ホフマンさんの言ったミリィさんはあの南部守備隊の隊長だった方ですか?」
「そのとおりだが、冒険者登録はしたままじゃないのですか?」
「ええ、そうですが……10年も前に『ダンジョン都市冒険者所属に登録変更』となっています」
「ああ、定住を決めたときだな。いまでも店の食材は夫婦でダンジョンへ狩りに行ってるから冒険者のままだ」
ホフマンの言葉に目を輝かせている職員たち。しかし個人情報にあたるため、ホフマンはそれ以上は話を断った。そこに、この王都ではいまだ聖女様と崇められているエミリアの存在が含まれる。彼女の存在を隠すためにこれ以上は言わない方がいいと判断したのだ。……カウンターで隠れてみえない足を妖精たちに蹴られたのも理由だ。すでにエミリアの名を出してしまったことに気付いていないホフマンは、あとで説教が待っているだろう。
「今日は俺たちの住処にきてくれ。庭は広いから全員のテントも大丈夫だ」
「ああ、それでは言葉に甘えて。ついでに詳しい情報をもらえるか? それとキッカたちの作業と被らないよう、これからの分担を決めたいと思う」
ホフマンの提案にキッカが了承する。ダンジョンから帰ってきた冒険者や薬草の依頼を達成した初級冒険者たちがこのギルドにはやってくる。いつまでも長居はできないことをホフマンたちは知っている。
キッカはユージンに肩を貸しながら辻馬車をよぶ。ユージンを先に帰らせて、ホフマンたちの来訪を伝えてもらうためだ。ホフマンが魔導具を止め忘れて妖精たちにフルボッコにされたのはその直後だった。
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