回復魔法が不要になった最強パーティーから俺は離脱して町の治療師として世界を救う

紡識かなめ

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第5話 助手の秘めたる力

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ルシエルの診療所で働くナミは、毎日が新しい発見の連続だった。

薬草の香り、患者さんの様々な悩み、そして、何よりもルシエルの行う不思議な魔法。

彼女は、先生のそばで、少しでも多くのことを学びたいと、常に目を輝かせていた。

ある日の午後、診療所の掃除をしていたナミは、うっかり床に置いてあったガラス瓶を蹴飛ばしてしまった。

カラン、と嫌な音を立て、瓶は粉々に砕け散る。

「あっ!」

ナミは、思わず声を上げた。散らばったガラスの破片は、鋭く光を反射している。

慌てて破片を拾い集めようとしたその時だった。

彼女の指先が、誤って鋭い破片に触れてしまった。

「痛っ!」

小さな悲鳴と共に、ナミの指から、鮮やかな赤い血が滲み出した。

しまった、と思った瞬間。

彼女は、無意識のうちに、以前ルシエルが見せてくれた回復魔法のイメージを思い浮かべていた。

温かい光が、傷口を優しく包み込むような感覚。

すると、信じられないことが起こった。

彼女の指先から、微かに、本当に微かな光が漏れ出したのだ。

それは、まるで蛍の光のように、淡く、優しい光だった。

そして、驚くべきことに、指の傷が、その光に包まれると同時に、みるみるうちに塞がっていったのだ。

「え…?」

ナミは、自分の指を食い入るように見つめた。

先ほどまで確かにあった切り傷が、跡形もなく消えている。

彼女は、何が起こったのか、理解することができなかった。

「どうしたんだ、ナミ?」

物音に気づいたルシエルが、奥の部屋から出てきた。

彼は、床に散らばったガラスの破片と、呆然と自分の指を見つめているナミの姿を見て、すぐに状況を察した。

「怪我でもしたのか?」

ルシエルが心配そうに尋ねると、ナミは、指を先生に見せながら、たどたどしく説明した。

「あの…瓶を割ってしまって…それで、指を切ってしまったんです。でも…」

彼女は、そこで言葉を詰まらせた。

「でも?」

ルシエルが促すと、ナミは、意を決したように言った。

「自分で…治ったんです…多分…」

ルシエルは、目を丸くした。

「自分で、治った?」

彼は、信じられないといった表情で、ナミの指を手に取ってじっくりと観察した. そこには、確かに傷跡一つ残っていなかった。

「まさか…光属性の才能が…?」

ルシエルの声は、驚きと、ほんの少しの興奮を含んでいた。

「光属性…ですか?」

ナミは、不思議そうに首を傾げた。

「ああ。回復魔法を使うために必要な、特別な力のことだ」

ルシエルは、目を輝かせながら、ナミに説明した。

「まさか、君にそんな才能があったとは…!」

彼は、感慨深げに頷いた。

「先生…私にも、魔法が使えるんですか?」

ナミは、自分の身に起こったことが、まだ信じられないといった様子で、ルシエルを見つめた。その瞳には、喜びと、ほんの少しの不安が入り混じっている。

「ああ、間違いない。今、君は、無意識のうちに回復魔法を使ったんだ」

ルシエルは、確信を持って言った。

「回復魔法は、光属性の力を持つ者が、強い治癒のイメージと、それを増幅させるための呪文詠唱によって発動するものだ。君は、恐らく、生まれつきその力を持っていたんだろう」

彼は、さらに詳しく、回復魔法の原理をナミに説明した。

光属性を持つこと。

回復魔法の呪文を詠唱すること。

呪文の複雑さは、魔法の種類によって異なること。

簡単な呪文は、魔法屋で売っている魔導書を読んで覚えることもできること。

高度な魔法の場合には、魔法陣を併用することもあること。

未知の病気や毒、呪いでも、原因やメカニズムが分かれば、既存の回復魔法を応用することで対応可能なこと。

そして、この世には、まだ誰も知らない回復魔法も存在するかもしれないこと。

魔力量が多いほど、多くの人を癒すことができ、魔力の質が高いほど、回復スピードが速くなること。

経験を積むことで、魔力量も魔力の質も向上すること。

ルシエルの説明を、ナミは、目を輝かせながら真剣に聞いていた。

彼女にとって、それはまるで夢のような話だった。

まさか、自分にそんな特別な力があったなんて。

「先生…私にも、回復魔法を教えていただけますか?」

ナミは、期待に満ちた瞳で、ルシエルに懇願した。

ルシエルは、少し考えた後、力強く頷いた。

「ああ、もちろんだ。君にその才能があるなら、教えない理由はない」

彼は、微笑みながら言った。

「営業が終わった後、毎日、少しずつ教えていこう」

その日から、ルシエルとナミの、秘密のレッスンが始まった。

夜の静かな診療所で、ルシエルは、ナミに回復魔法の基礎から丁寧に教えていった。

最初は、小さな光を灯すことすら難しかったナミだが、持ち前の真面目さと、ルシエルの熱心な指導によって、 धीरे धीरे 魔法の才能を開花させていった.

簡単な擦り傷や切り傷ならば、呪文を唱えるだけで治せるようになり、少しずつ、軽い病気にも対応できるようになっていった。

ナミの成長は、目覚ましいものだった。

ルシエルは、彼女の才能に驚きながらも、心の中で密かに喜んでいた。

いつか、ナミが、この下町の多くの人々を癒す、立派な癒し手になるかもしれない──

そんな希望が、彼の胸の中で、静かに膨らんでいくのを感じていた。

そして、ナミは、ルシエルの正式な見習い医師として、さらに多くのことを学んでいくことになるのだった。

彼女の秘めたる力は、今、まさに開花しようとしていた。
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