回復魔法が不要になった最強パーティーから俺は離脱して町の治療師として世界を救う

紡識かなめ

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第16話 隣国の陰謀

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ルシエルに対する隣国の陰謀は、静かに、だが着実に進行していた。彼らは、王国の中でも特に腕利きのスパイを雇い、ルシエルの拉致計画を実行に移そうとしていた。

スパイたちは、何週間にもわたり、ルシエルの行動パターン、診療所の警備体制、そして、彼の周囲の人々の情報を詳細に調べ上げた。そして、最も警戒が薄れるであろう夜を選び、実行の時を待っていた。

その夜、月明かりが雲に隠れ、下町が深い闇に包まれた頃。

数人の影が、音もなくルシエルの診療所に近づいた。彼らは、熟練の動きで診療所の裏手に回り込み、鍵を開けて中に侵入した。

ルシエルは、その日の診療を終え、自室で静かに読書をしていた。微かな物音に気づいた彼は、警戒の色を浮かべたが、次の瞬間、背後から忍び寄った影によって、意識を失った。

ナミとエレナは、別々の部屋で眠っていたため、ルシエルの異変に気づくことはなかった。

ルシエルが目を覚ました時、彼は見慣れない場所にいた。薄暗く、じめじめとした一室。手足は拘束され、口には猿轡が嵌められている。窓の外からは、聞いたことのない鳥の鳴き声が聞こえてきた。自分が、故郷の王国から遠く離れた場所に連れてこられたことを悟った。

翌朝、ルシエルの失踪が発覚した。ナミとエレナは、診療所内でルシエルが見当たらないことに気づき、すぐに街の警備隊に通報した。

事態を重く見た王国は、直ちに精鋭部隊を派遣し、ルシエルの行方を捜索した。彼らは、隣国の国境付近で、怪しい動きをする一団を発見し、追跡を開始したが、狡猾なスパイたちの手によって、ルシエルを取り戻すことはできなかった。

隣国は、ルシエルの拉致に関与した事実を一切認めず、王国からの正式な抗議も無視した。証拠がない以上、王国としても強硬な手段に出ることは難しかった。

ルシエルの失踪は、王国全体に大きな衝撃を与えた。特に、下町の人々は、英雄医師がいなくなったことを深く悲しみ、不安に駆られた。

国王は、あらゆる手を尽くしてルシエルを捜索したが、有力な情報は得られなかった。時間だけが過ぎていく中、国王の胸には、焦りと無力感が募っていった。

そんな中、国王は、最後の望みを託すことにした。

それは、かつてルシエルと共に数々の困難を乗り越えてきた、最強のパーティー「暁の剣」の仲間たちに、ルシエルの救出を依頼することだった。

エルド、ノア、そして、他のメンバーたち。彼らは、今やそれぞれの道を歩んでいたが、ルシエルの危機を知れば、必ずや力を貸してくれるだろうと、国王は信じていた。

国王は、急ぎ、かつての英雄たちに向けて、密かに使者を送った。ルシエルの居場所は不明だが、彼の残した足跡を辿り、隣国に潜入してでも、必ず救い出すようにと、固く命じた。

ルシエルを失った王国の静寂を破り、今、かつての仲間たちが、再び集結しようとしていた。彼らの友情と、ルシエルを救いたいという強い思いが、新たな物語の幕を開けようとしていた。
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