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高校生編
十(2026、冬)
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晶の家は、暗かったが、無疵だった。玄関を開けると、いつもの自宅の匂いが晶を包んだ。
今朝、母とともにそこを出たのが、何年も前のことのように思われた。母の使うハンドクリームの香り――
何も言わなかったにもかかわらず、すぐ後ろにいた樹が、ぎゅっと彼を抱きしめた。
「やめろよ……大丈夫だから」
息を詰まらせながら、晶は言った。
「あきら、なくから」
「泣いてないよ……人前で止せよ」
「今さら気にしないけど、早く入ってくれる? 寒くて」
紫穂が言った。彼女の頬は玄関の明かりの中、蒼白だった。全く寒さを感じていなかった晶は、あわてて友人たちを中に導き入れた。
「明かりは、最小限がいいと思うわ。夜蟲は、光と熱に集まるらしいの。――特に、生命体に」
「なんか、わかる気がするな。俺も生きてるものは明るく見えるし。樹もそうだろ」
リビングのドアを開けながら晶が自然にそう言ったので、崇と紫穂はちょっと顔を見合わせた。樹はにこにこしながら晶の背中にくっついた。「あきら、あかるい。あったかい」
「離せって。動けないだろ」
晶はカーテンを閉め、ダイニングキッチンの小さいライトだけをつけた。 紫穂もダイニングチェアに座り込み、ため息をついた。
「ああ、やっと座れた……」
崇もくたびれているようだった。彼は、ソファに遠慮なく腰掛けながら言った。
「この辺に夜蟲がいないのは、じゃ、もう生きてるものがいないからなのか……?」
「今、俺がわかる範囲では、第二中学のあたりまで、なにもいないよ。夜蟲も、――ひとも」
「今夜はこのままここで過ごすほうがいいかもな。避難するにしても、体力勝負だし。いいか、晶?」
「うん。俺と樹で何か来たら分かるし。ちょっと休もう……今日はもうくたびれたよ」
崇がテレビをつけた。
『――このような、特殊な夜蟲が茨城県稲敷町では発生しているわけですね』
『銃火器でも対処できない、となると、首都圏の防衛が次の問題になりますな』
『とはいえ、自衛隊が築いているバリケード、つまり利根川ラインを超えて……というのはかなり可能性が低いことではあります』
画面には、繰り返し漆黒の夜蟲――これは、よく見る百足型だった――が、家屋を破壊するVTRが流されている。テロップには、「落ち着いて行動しましょう」と「避難勧告が出されているのは次の地域です。茨城県:土浦・稲敷・筑波・牛久…」という文字が代わる代わる流れてくる。
「『白い山』のことは、何にも言ってないな……」
「ネットにも上がってないわ。……多分、情報統制されてるんじゃないかしら」
紫穂は、テレビの音量を下げた。
「……ちょっと、今日起こったこと、分かったことを突き合わせない? 今までみたいに、みんなで考えたら、分かることがある気がするのよ。第二生体研究所で知ったことも共有したいし。晶くんのビデオは、その後にしましょうよ」
「それもいいけど」
崇がぼやいた。「何かしら腹に入れてからじゃだめ? 俺、腹減って死にそう。この期に及んで、人のうちで飯を催促すんなとか言うなよ」
晶は、ほとんど空腹を感じていなかったが、確かに夕食どきだった。
「いいけど……みんな手伝えよ」
彼は言った。「カレーにするから」
冷蔵庫と食品棚を改め、日持ちし持ち運びできるものは取り置き、そうでないものは具材として次々調理部隊に渡していった結果、その日の夕食はチンゲン菜とネギとニラ、そして鶏肉が入ったカレーになった。
「これさあ、なんか中華料理とかにしたほうが良かったんじゃないの」
「カレーにしておけばだいたい間違いがないんだよ。文句言うなら崇がやれよ」
「あら、案外合うような気もするけれど」
「おれ、カレーすき」
樹が満足そうに言い、炊きたての白飯にたっぷりとルーをかけた。「あきらのカレー、おいしい」
結論から言えば、出来栄えはそう悪くもなかった。一同はしばらく無言で食事をした。
晶が麦茶を出したところで、崇が口を開いた。
「じゃあ……今日あったことを共有していくか」
晶と紫穂はちらと目を見交わし、紫穂が口を切った。「ケージに収容されていたねのたみが、次々に鬼人化したの。ケージは破壊され、鬼が脱走した。あそこには、少なくとも六十人程度のねのたみがいたはず……」
「稲敷町に現れた鬼は千人弱だと見積もられてるぜ」
「……それは、稲敷町のねのたみの半数以上が鬼人化したということ……?」
晶は、思わず樹を見た。彼は、ほとんど空になったカレーの皿の前でうとうとしていた。晶は、ゆるんだ手からスプーンを抜き取り、皿を下げてやった。
「全員が鬼人化したわけじゃない。何かきっかけがあったはずだ」
「赤痢菌のカプセル――研究所では、あれが引き金だったわ」
紫穂は手帳を出し、既に書き込んである【鬼】の項目を参照しながら言った。
「研究所で読んだレビューによると、鬼人化するのは、穢狗が『ほつれ』の血液を受血した時ということね」
「ほつれ、――って?」
「文脈からは、特殊な在来人のことだと思うのよね……在来人―穢狗間の受血に関しての知見として記述されているんだから」
「ともかく、穢狗になんらかの方法で、『ほつれ』の血液が与えられたということか」
「研究所では、カプセルの中身が入れ替えられていた可能性が高いわ」
「誰が……」
晶は、目の前で鬼人化した若い穢狗を思い出した。そして、無言で外に出て行った鬼人の群れを……
「……驚いていなかった」
「え?」
「ケージの中にいた、ねのたみたちだよ。彼らは、鬼人化したとき、驚いていなかった――知っていたんだ」
「ねのたみが、自分から鬼人化したなら……」
「だとすれば、これは、虐げられた者たちによる計画された社会への反乱、ということになるわね」
紫穂が低い声で言った。
「ねのたみは、穢狗としてあらゆるところで使役されている。そして、在来人は、彼らの思考力を侮っているわ。彼らがその気になれば、カプセルをすり替えたり、あるいはもっと簡単に、穢狗用の食事に何かを混ぜるくらいは容易いでしょうね」
「それは、分かったけど……結局、『ほつれ』のことや、あの白い山のことは分からないままか」
「白い山――」
晶は、ちょっとためらった。自分でもなぜ言い淀んだのか、分からなかった。
「あれを、樹は……《蝿の王》と呼んでいた……」
「蝿の、王」
「悪魔の名前ね」
紫穂はもの思わしげにペンをもてあそんだ。「ベルゼブブ……七つの大罪のうち、暴食を司るとされる悪魔よ」
「ねのたみがそう呼んでるんだな。俺も見たけど……確かに、夜蟲があの中から湧いてくる感じは、まさに、虫の王って感じだったな……」
しばし、彼らは沈黙した。
「夜蟲は、ねのたみの腫瘍から生まれるものでしょう……? 蝿の王、も、ねのたみ……由来の存在なのかしら」
紫穂は考え考え、メモの【未解明】の項目を加筆していた。
「ともかく、あれは、生きものだよ……鳴いたし」
「しかし、蝿の王、が、あんなふうに無限に黒い夜蟲――ナイトメアを生み出してくるとしたら」
崇の言葉は、低く沈んだ。
「下手すると、マジで茨城――どころか、日本がやばい……」
「それか、世界もヤバいのかもね。でも、今までにも、あれが出現したことがあるわけなんだから、対処の方法も、どこかにあるはずよ」
「つまり……情報が全て」
「そういうこと」
「問題は、自衛隊の人たちがその情報を持ってなさそうなところなんだよなぁ……」
崇がスマホの画面をスクロールしながら呟いた。
「薫さんがいつか言ってたように、この社会の『禁忌』は、一応目的があって作られてるのだとは思う。だけどその過程で、必要な情報が、必要なところに供給されなくなっているんだよ。穢狗の夜蟲化という現象一つ取ってもそうだ……」
「下手をすると、禁忌を最大限に犯しているわたしたちこそが、一番情報を持っている人間なのかもしれないわね」
「じゃあ、あれかぁ」崇はうんざりしたようにスマホをテーブルに投げ出した。「この四人で世界を救うしかないのかぁ」
カレーの皿を洗いながら、晶は思わず呆れた声を漏らした。「高校生四人で? ……あ、樹は違うけどさ」
崇はがりがりと頭を掻いた。「ゲームだとありがちなパーティだけど、リアルだと心細すぎんだろ……なんで自衛隊の猛者とか切れ者の科学者とかがいないんだよ」
紫穂は肩を竦めた。「失敗しても大丈夫よ。在来人が駆逐されて、ねのたみの新しい時代が来るだけだから」
「ちょ、やめてくれよ、お姫様」
「まあ、頑張りましょう、勇者さま」
紫穂は二人に微笑みかけた。
「あと、わたしの役回りは、お姫様よりは大賢者あたりが望ましいわ」
今朝、母とともにそこを出たのが、何年も前のことのように思われた。母の使うハンドクリームの香り――
何も言わなかったにもかかわらず、すぐ後ろにいた樹が、ぎゅっと彼を抱きしめた。
「やめろよ……大丈夫だから」
息を詰まらせながら、晶は言った。
「あきら、なくから」
「泣いてないよ……人前で止せよ」
「今さら気にしないけど、早く入ってくれる? 寒くて」
紫穂が言った。彼女の頬は玄関の明かりの中、蒼白だった。全く寒さを感じていなかった晶は、あわてて友人たちを中に導き入れた。
「明かりは、最小限がいいと思うわ。夜蟲は、光と熱に集まるらしいの。――特に、生命体に」
「なんか、わかる気がするな。俺も生きてるものは明るく見えるし。樹もそうだろ」
リビングのドアを開けながら晶が自然にそう言ったので、崇と紫穂はちょっと顔を見合わせた。樹はにこにこしながら晶の背中にくっついた。「あきら、あかるい。あったかい」
「離せって。動けないだろ」
晶はカーテンを閉め、ダイニングキッチンの小さいライトだけをつけた。 紫穂もダイニングチェアに座り込み、ため息をついた。
「ああ、やっと座れた……」
崇もくたびれているようだった。彼は、ソファに遠慮なく腰掛けながら言った。
「この辺に夜蟲がいないのは、じゃ、もう生きてるものがいないからなのか……?」
「今、俺がわかる範囲では、第二中学のあたりまで、なにもいないよ。夜蟲も、――ひとも」
「今夜はこのままここで過ごすほうがいいかもな。避難するにしても、体力勝負だし。いいか、晶?」
「うん。俺と樹で何か来たら分かるし。ちょっと休もう……今日はもうくたびれたよ」
崇がテレビをつけた。
『――このような、特殊な夜蟲が茨城県稲敷町では発生しているわけですね』
『銃火器でも対処できない、となると、首都圏の防衛が次の問題になりますな』
『とはいえ、自衛隊が築いているバリケード、つまり利根川ラインを超えて……というのはかなり可能性が低いことではあります』
画面には、繰り返し漆黒の夜蟲――これは、よく見る百足型だった――が、家屋を破壊するVTRが流されている。テロップには、「落ち着いて行動しましょう」と「避難勧告が出されているのは次の地域です。茨城県:土浦・稲敷・筑波・牛久…」という文字が代わる代わる流れてくる。
「『白い山』のことは、何にも言ってないな……」
「ネットにも上がってないわ。……多分、情報統制されてるんじゃないかしら」
紫穂は、テレビの音量を下げた。
「……ちょっと、今日起こったこと、分かったことを突き合わせない? 今までみたいに、みんなで考えたら、分かることがある気がするのよ。第二生体研究所で知ったことも共有したいし。晶くんのビデオは、その後にしましょうよ」
「それもいいけど」
崇がぼやいた。「何かしら腹に入れてからじゃだめ? 俺、腹減って死にそう。この期に及んで、人のうちで飯を催促すんなとか言うなよ」
晶は、ほとんど空腹を感じていなかったが、確かに夕食どきだった。
「いいけど……みんな手伝えよ」
彼は言った。「カレーにするから」
冷蔵庫と食品棚を改め、日持ちし持ち運びできるものは取り置き、そうでないものは具材として次々調理部隊に渡していった結果、その日の夕食はチンゲン菜とネギとニラ、そして鶏肉が入ったカレーになった。
「これさあ、なんか中華料理とかにしたほうが良かったんじゃないの」
「カレーにしておけばだいたい間違いがないんだよ。文句言うなら崇がやれよ」
「あら、案外合うような気もするけれど」
「おれ、カレーすき」
樹が満足そうに言い、炊きたての白飯にたっぷりとルーをかけた。「あきらのカレー、おいしい」
結論から言えば、出来栄えはそう悪くもなかった。一同はしばらく無言で食事をした。
晶が麦茶を出したところで、崇が口を開いた。
「じゃあ……今日あったことを共有していくか」
晶と紫穂はちらと目を見交わし、紫穂が口を切った。「ケージに収容されていたねのたみが、次々に鬼人化したの。ケージは破壊され、鬼が脱走した。あそこには、少なくとも六十人程度のねのたみがいたはず……」
「稲敷町に現れた鬼は千人弱だと見積もられてるぜ」
「……それは、稲敷町のねのたみの半数以上が鬼人化したということ……?」
晶は、思わず樹を見た。彼は、ほとんど空になったカレーの皿の前でうとうとしていた。晶は、ゆるんだ手からスプーンを抜き取り、皿を下げてやった。
「全員が鬼人化したわけじゃない。何かきっかけがあったはずだ」
「赤痢菌のカプセル――研究所では、あれが引き金だったわ」
紫穂は手帳を出し、既に書き込んである【鬼】の項目を参照しながら言った。
「研究所で読んだレビューによると、鬼人化するのは、穢狗が『ほつれ』の血液を受血した時ということね」
「ほつれ、――って?」
「文脈からは、特殊な在来人のことだと思うのよね……在来人―穢狗間の受血に関しての知見として記述されているんだから」
「ともかく、穢狗になんらかの方法で、『ほつれ』の血液が与えられたということか」
「研究所では、カプセルの中身が入れ替えられていた可能性が高いわ」
「誰が……」
晶は、目の前で鬼人化した若い穢狗を思い出した。そして、無言で外に出て行った鬼人の群れを……
「……驚いていなかった」
「え?」
「ケージの中にいた、ねのたみたちだよ。彼らは、鬼人化したとき、驚いていなかった――知っていたんだ」
「ねのたみが、自分から鬼人化したなら……」
「だとすれば、これは、虐げられた者たちによる計画された社会への反乱、ということになるわね」
紫穂が低い声で言った。
「ねのたみは、穢狗としてあらゆるところで使役されている。そして、在来人は、彼らの思考力を侮っているわ。彼らがその気になれば、カプセルをすり替えたり、あるいはもっと簡単に、穢狗用の食事に何かを混ぜるくらいは容易いでしょうね」
「それは、分かったけど……結局、『ほつれ』のことや、あの白い山のことは分からないままか」
「白い山――」
晶は、ちょっとためらった。自分でもなぜ言い淀んだのか、分からなかった。
「あれを、樹は……《蝿の王》と呼んでいた……」
「蝿の、王」
「悪魔の名前ね」
紫穂はもの思わしげにペンをもてあそんだ。「ベルゼブブ……七つの大罪のうち、暴食を司るとされる悪魔よ」
「ねのたみがそう呼んでるんだな。俺も見たけど……確かに、夜蟲があの中から湧いてくる感じは、まさに、虫の王って感じだったな……」
しばし、彼らは沈黙した。
「夜蟲は、ねのたみの腫瘍から生まれるものでしょう……? 蝿の王、も、ねのたみ……由来の存在なのかしら」
紫穂は考え考え、メモの【未解明】の項目を加筆していた。
「ともかく、あれは、生きものだよ……鳴いたし」
「しかし、蝿の王、が、あんなふうに無限に黒い夜蟲――ナイトメアを生み出してくるとしたら」
崇の言葉は、低く沈んだ。
「下手すると、マジで茨城――どころか、日本がやばい……」
「それか、世界もヤバいのかもね。でも、今までにも、あれが出現したことがあるわけなんだから、対処の方法も、どこかにあるはずよ」
「つまり……情報が全て」
「そういうこと」
「問題は、自衛隊の人たちがその情報を持ってなさそうなところなんだよなぁ……」
崇がスマホの画面をスクロールしながら呟いた。
「薫さんがいつか言ってたように、この社会の『禁忌』は、一応目的があって作られてるのだとは思う。だけどその過程で、必要な情報が、必要なところに供給されなくなっているんだよ。穢狗の夜蟲化という現象一つ取ってもそうだ……」
「下手をすると、禁忌を最大限に犯しているわたしたちこそが、一番情報を持っている人間なのかもしれないわね」
「じゃあ、あれかぁ」崇はうんざりしたようにスマホをテーブルに投げ出した。「この四人で世界を救うしかないのかぁ」
カレーの皿を洗いながら、晶は思わず呆れた声を漏らした。「高校生四人で? ……あ、樹は違うけどさ」
崇はがりがりと頭を掻いた。「ゲームだとありがちなパーティだけど、リアルだと心細すぎんだろ……なんで自衛隊の猛者とか切れ者の科学者とかがいないんだよ」
紫穂は肩を竦めた。「失敗しても大丈夫よ。在来人が駆逐されて、ねのたみの新しい時代が来るだけだから」
「ちょ、やめてくれよ、お姫様」
「まあ、頑張りましょう、勇者さま」
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