Another World

Kishiru

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第一章

返答

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「わたしぃ~ぶさいくぅ~?」
声を震わせた女に、突然そんな事を聞かれた。
「いいえ」
首をふる。
崩れかけの化粧の女からは、アルコールの臭いがする。
「わたしぃ~ふといぃ~?」
「いいえ」
細くはないが、太くもない。
「わたしぃ~綺麗でしょお~?」
答えが気に入らないのか、女は再度きいてくる。
髪も乱れている。
「いい……はい」
首を振ろうとしたら、強引に頷かされた。
力づくで押さえつけられた首が、ゴキッと音をたてた。
そんな事は気にせず、女は上機嫌で鼻歌を歌っている。
困っているところを助けてくれたのは、女の母親だった。
「あんたね、酔っぱらって扇風機にからむのやめなさい。首ふり壊さないでよ」
「そろそろ、うちもサーキュレーターにしない?」
母親のおかげで、首が解放された。
さてと、首をふらないと。
「いいえ」
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