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第三章 バルトフェル奪還戦
第34話 小隊、進め!
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列車は、バルトフェルとだいぶ手前で停車した。ククルセウが、鉄道設備を、そこまで、破壊する度胸があるとも、思えなかった。
が、念には念を入れてである。
「列車をおりたら。各車両毎に固まれ!」
装備もバラバラ。一応、義勇軍であるというを示す黒い布を左腕には巻いてはいたが。烏合の衆という言葉がぴったりの。
恐らくは、まともな指揮官なら、それだけで、戦いを諦める。
だが。今回指揮するものも、また冒険者だった。
30~50名ほどの小隊を作った彼らは、それぞれのルートをもって、バルトフェルに進む。
一斉攻撃、という概念はない。
だいたいの攻撃時刻は、決められているが、、攻撃対象も方法もバラバラである。
ひとりひとりは、熟練の猛者揃いとはいえ、こんな戦い方では、多少損害は与えても「勝つ」ことは不可能だったろう。
だが、それでもいい。
それは公式には『城』のもつ戦力ではなく、バルトフェルの難民に懇願され、義勇心のみで立ち上がった冒険者であり、実際の奪還は、ここから、2日ばかりあとに到着する鉄道公社の保安部が行うこととなるのだろう。
『城』としては、そのまえに一戦して、鉄道公社に恩がうれれば、それで良かった。
だが、もちろんそれだけでは、すまなくなった者もいる。
「おまえたちの分隊は、一番最後だ。」
アイシャは、そう断言した。
「いや。いっそ、撤退してもいいんだぞ。
そうだ。誰か体調が悪くなったものとかはいないのか?」
「それは困る。」
と、ロウが返した。
「わたしは、目的があってこの戦場に来てるんだ。それには、先陣を切らしてもらいたい。」
「功名餓鬼は、真っ先に死ぬぞ?」
「わたしはそう、簡単には死なないので、大丈夫だ。」
アイシャとしては、この街についたばかりのパーティを特別扱いはしたくなかったのだが、もう遅い。
同じ車両の全パーティから、好奇の視線をめいっぱい浴びている。
「そう、言えばちょっとおなかが痛いです。」
ルウエンが、言い出して、ロウは顔を歪めた。
「だ、大丈夫か? そうだ、噛んでやろうか、そえすれば、腹痛も頭痛も生理痛もない世界へ連れて行ってやれる。」
「ごしん……ロウさん、それはわたしの獲物です。」
「やかましい、ルーデウス。汚い噛み跡をいくつも残しおって。」
痴話喧嘩をはじめた真祖と伯爵を残して、ルウエンは、アイシャに話しかけた。
「どちらでもいいと思います。」
「どちらでも、というのは?」
「先行でも、後退でも。
要するに、ぼくらのパーティが、孤立してしまえばいいんです。」
「ちっともよくないんだっ!」
アイシャは吠えた。
「『貴族殺し』が来てるんだぞ。狙いは明白だろうが!」
「ナゼルさんから、聞いたんですね?」
ルウエンは、にこにこと笑っていた。
彼の笑顔には、さまざまな意味があることには、もう気がついてはいたが、このときの笑い方は、ほんとうに楽しく、また安心したような笑顔だった。
「ぼくは、フィオリナの『百驍将』やら、『貴族殺し』ブテルパについてはなんにも知らないんです。すこし教えてくれませんか?」
「だから、その名をみだりに口にするなと言ってるだろうが。」
無駄だろうな、と思いながら、アイシャは言った。
「『災厄の女神』が『黒き御方』と袂を分かつたときに、彼女に従った腕利きたちを中心に、『災厄の女神』を崇める集団だ。
およそ、『災厄の女神』の命ずることなら、どんな残虐なことでも平然とやってのける。
アレに対抗出来るのは、おそらく鉄道公社の絶士だけだろう。
各国の抱える特務戦力のなかでも、頭1つ抜けた存在ということになる。
通常は、戦場にたつことはなく、『災厄の女神』が命じた『特務』のみを遂行しに、あらわれ。 そして、その任務を正確に果たして戦場を去っていく。」
「なるほど。」
ルウエンは、感心したように言った。
「彼女なりにいろいろと考えてくれてるってことですね。」
「意味がわからん!
何を言いたい!?」
「そんな超戦士を一般的な戦地に放り込んだら、人が死にすぎるってことですよ。適当にエリート部隊として祭り上げて、使う時は予め特定の目標をピンポイントで決めた時だけ。
人的な損害を減らすという点では、うまいやり方です。ひょっとして、リウも同じ方法をとっていますかね。」
「御名を口にするな。」
アイシャは、虚しく、そのことを繰り返した。
「『黒の御方』は、八武将以下ハタモト衆と呼ばれる精鋭を10~20騎抱えている。こいつらは基本的に戦場では指揮をとるだけだ。実際に鉾を振るって相手をなぎ倒したりはしない。」
「なるほど。それなりに考えてくれてはいるんだ。両方とも。」
ルウエンは、腕組みをして頷いた。
「で、その『吸血鬼殺し』ブテルパってのは、どんなヤツなんですか?」
「よくもまあ、話がころころと変われるやつだな。」
アイシャは。呆れたように言った。
「だが、その自分勝手な話の進めようは、わたしを“貴族”にしたかの女性を思い出す。答えられる限りは答えてやろう。
まず、おまえは“貴族殺し”ときいて何を思い浮かべる?」
「たとえば、比較的苦手な聖属性魔法が得意、とか?」
「単なる属性の問題ならいくらでも対処のしようがある。」
吐き捨てるように、アイシャは言った。
が、念には念を入れてである。
「列車をおりたら。各車両毎に固まれ!」
装備もバラバラ。一応、義勇軍であるというを示す黒い布を左腕には巻いてはいたが。烏合の衆という言葉がぴったりの。
恐らくは、まともな指揮官なら、それだけで、戦いを諦める。
だが。今回指揮するものも、また冒険者だった。
30~50名ほどの小隊を作った彼らは、それぞれのルートをもって、バルトフェルに進む。
一斉攻撃、という概念はない。
だいたいの攻撃時刻は、決められているが、、攻撃対象も方法もバラバラである。
ひとりひとりは、熟練の猛者揃いとはいえ、こんな戦い方では、多少損害は与えても「勝つ」ことは不可能だったろう。
だが、それでもいい。
それは公式には『城』のもつ戦力ではなく、バルトフェルの難民に懇願され、義勇心のみで立ち上がった冒険者であり、実際の奪還は、ここから、2日ばかりあとに到着する鉄道公社の保安部が行うこととなるのだろう。
『城』としては、そのまえに一戦して、鉄道公社に恩がうれれば、それで良かった。
だが、もちろんそれだけでは、すまなくなった者もいる。
「おまえたちの分隊は、一番最後だ。」
アイシャは、そう断言した。
「いや。いっそ、撤退してもいいんだぞ。
そうだ。誰か体調が悪くなったものとかはいないのか?」
「それは困る。」
と、ロウが返した。
「わたしは、目的があってこの戦場に来てるんだ。それには、先陣を切らしてもらいたい。」
「功名餓鬼は、真っ先に死ぬぞ?」
「わたしはそう、簡単には死なないので、大丈夫だ。」
アイシャとしては、この街についたばかりのパーティを特別扱いはしたくなかったのだが、もう遅い。
同じ車両の全パーティから、好奇の視線をめいっぱい浴びている。
「そう、言えばちょっとおなかが痛いです。」
ルウエンが、言い出して、ロウは顔を歪めた。
「だ、大丈夫か? そうだ、噛んでやろうか、そえすれば、腹痛も頭痛も生理痛もない世界へ連れて行ってやれる。」
「ごしん……ロウさん、それはわたしの獲物です。」
「やかましい、ルーデウス。汚い噛み跡をいくつも残しおって。」
痴話喧嘩をはじめた真祖と伯爵を残して、ルウエンは、アイシャに話しかけた。
「どちらでもいいと思います。」
「どちらでも、というのは?」
「先行でも、後退でも。
要するに、ぼくらのパーティが、孤立してしまえばいいんです。」
「ちっともよくないんだっ!」
アイシャは吠えた。
「『貴族殺し』が来てるんだぞ。狙いは明白だろうが!」
「ナゼルさんから、聞いたんですね?」
ルウエンは、にこにこと笑っていた。
彼の笑顔には、さまざまな意味があることには、もう気がついてはいたが、このときの笑い方は、ほんとうに楽しく、また安心したような笑顔だった。
「ぼくは、フィオリナの『百驍将』やら、『貴族殺し』ブテルパについてはなんにも知らないんです。すこし教えてくれませんか?」
「だから、その名をみだりに口にするなと言ってるだろうが。」
無駄だろうな、と思いながら、アイシャは言った。
「『災厄の女神』が『黒き御方』と袂を分かつたときに、彼女に従った腕利きたちを中心に、『災厄の女神』を崇める集団だ。
およそ、『災厄の女神』の命ずることなら、どんな残虐なことでも平然とやってのける。
アレに対抗出来るのは、おそらく鉄道公社の絶士だけだろう。
各国の抱える特務戦力のなかでも、頭1つ抜けた存在ということになる。
通常は、戦場にたつことはなく、『災厄の女神』が命じた『特務』のみを遂行しに、あらわれ。 そして、その任務を正確に果たして戦場を去っていく。」
「なるほど。」
ルウエンは、感心したように言った。
「彼女なりにいろいろと考えてくれてるってことですね。」
「意味がわからん!
何を言いたい!?」
「そんな超戦士を一般的な戦地に放り込んだら、人が死にすぎるってことですよ。適当にエリート部隊として祭り上げて、使う時は予め特定の目標をピンポイントで決めた時だけ。
人的な損害を減らすという点では、うまいやり方です。ひょっとして、リウも同じ方法をとっていますかね。」
「御名を口にするな。」
アイシャは、虚しく、そのことを繰り返した。
「『黒の御方』は、八武将以下ハタモト衆と呼ばれる精鋭を10~20騎抱えている。こいつらは基本的に戦場では指揮をとるだけだ。実際に鉾を振るって相手をなぎ倒したりはしない。」
「なるほど。それなりに考えてくれてはいるんだ。両方とも。」
ルウエンは、腕組みをして頷いた。
「で、その『吸血鬼殺し』ブテルパってのは、どんなヤツなんですか?」
「よくもまあ、話がころころと変われるやつだな。」
アイシャは。呆れたように言った。
「だが、その自分勝手な話の進めようは、わたしを“貴族”にしたかの女性を思い出す。答えられる限りは答えてやろう。
まず、おまえは“貴族殺し”ときいて何を思い浮かべる?」
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吐き捨てるように、アイシャは言った。
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