33 / 83
第三章 バルトフェル奪還戦
第33話 三十石船道中
しおりを挟む
日が高く登り始める。
ルーデウスは、久しぶりに、その温かさ、ふ、吹く風の優しさを楽しんでいる。
まったく、強化、あるいは防禦の魔法をかけていないにもかかわらず、太陽光は、肌を爛れさせたりはせず、心地よい温かさをもたらふだけだった。
これが、真祖!
これが、真祖後のもたらすチカラ。
『親』から、あるいはその先代から受け継いだ呪いは、完全に消え去っていた。
「朝食」だと、言って四角い木箱に入った食べ物が渡された。
なかは、茶、赤、緑のそれぞれのペースト状のなにかが入っている。
一口食べて、ルーデウスは感涙した。
思わず、となりの席のアデルに話しかけてしまった。
「ま、まずい。これまずいぞ!」
「それは、そうだろうけど。それがいったい……」
「まずいのがちゃんとわかる。」
もう、一口食べて、ルーデウスは、まずいっ!!と絶叫した。
「“貴族”に変化する過程で、生き血以外は 食物として受け付けなくなる。人間のフリが
かなり上手くなり、陽の光も苦にしない高位の“貴族”でも食生活はかなり貧しいんだ。」
ルウエンが言った。
「おかわり!」
ラウレスが空の容器を差し出した。
「ひとり1個しかないよ。ぼくの食べかけだけど、食べる?」
「食べる!」
童女は、ルウエンが半分ほど遺した弁当をかきこみはじめた。
「ロウも食べないんなら、残りをラウレスにやっていいかな?」
「朝はコーヒーに、サラダ、目玉焼きに決めてるんだ。さすがにまずいものにも歓喜するようなマネはしないよ。」
ロウも1口食べただけの、容器をラウレスに差し出した。
「冒険者学校の食事が懐かしいね。」
ロウは感慨深げに言った。
「相変わらず一日中、営業したいて、好きな時に好きなだけ食べられるのかい?」
「営業は一日中、やってるけど、いまはクーポン制だよ。10日ごとにクーポンをもらってそれで支払いをするんだ。もっと食べたければ追加のクーポンを購入しかない。」
「そうか。わたしのいたころは、具だくさんのスープとかお粥がメインであって、チーズハム、卵料理なんかは取り放題だったな。」
「あんたも冒険者学校にいたの?」
「お母さんからきいてないのか?
あのころ、わたしやギムリウス、そしてかの『黒の御方』に『災厄の女神』は、一緒に朝飯を食べるのが習慣だったんだ。」
「それがあの伝説の『踊る道化師』なんですか?」
ルウエンが声を低くして言った。
「どこで、その名を。ああ、あのときカザリームにいたのなら、当然知っているか。」
「その『踊る道化師』は、ほかに誰がいたんです?」
「ん、今言ったやつら以外にか?
そうだな、かの伝説『銀雷の魔女』もいたぞぞ。いまでは、どこか北の方に庵を構えて隠遁してしまったが、当時は、わたしたちの参謀格だったんだ。もともとはただの人間だったんだが、わたしとギムリウスのおかけでかなりの戦うほうもかなりの腕前になってな。」
「そうなんですか。ほかには誰が?」
「いま銀灰連合国軍最高司令官のオルカもいた。異世界人のアキルってのもいた。」
「たいしたメンバーですね。そのまま世界を滅ぼせるんじゃないですか?」
「違うんだよ、少年。
わたしたちは、誰かがまかり間違って、世界を滅ぼそうとしたときに、それを止めてやるために集まったんだ。」
ルウエンは。
眩しそうに、ロウを見た。
「へえ? そうなんですか。ほかに誰がいたんです?」
「ああっ!! そうだ、大事なやつを忘れでる。」
「誰です、それ?」
「アモンだよ、アモン! 姉御肌でなあ。わたしたちが好き勝手をしてる間、迷宮の管理をしてくれてたんだ!」
がっかりしたように、ルウエンは肩を落とした。
「なんだ? おまえも“踊る道化師”に入りたかったのか?
残念ながら踊る道化師は、活動休止だ。、
もし、冒険者のパーティメンバーを募集するよりも、今の、メンツでいいんじゃないのか?」
「悪いメンバーじゃないね。」
と、アデルは言った。
「ただ。わたしたちはまだ学生だから、活動の拠点はとりあえず、ランゴバルドに、なると、思うけど。」
ルーデウスは、久しぶりに、その温かさ、ふ、吹く風の優しさを楽しんでいる。
まったく、強化、あるいは防禦の魔法をかけていないにもかかわらず、太陽光は、肌を爛れさせたりはせず、心地よい温かさをもたらふだけだった。
これが、真祖!
これが、真祖後のもたらすチカラ。
『親』から、あるいはその先代から受け継いだ呪いは、完全に消え去っていた。
「朝食」だと、言って四角い木箱に入った食べ物が渡された。
なかは、茶、赤、緑のそれぞれのペースト状のなにかが入っている。
一口食べて、ルーデウスは感涙した。
思わず、となりの席のアデルに話しかけてしまった。
「ま、まずい。これまずいぞ!」
「それは、そうだろうけど。それがいったい……」
「まずいのがちゃんとわかる。」
もう、一口食べて、ルーデウスは、まずいっ!!と絶叫した。
「“貴族”に変化する過程で、生き血以外は 食物として受け付けなくなる。人間のフリが
かなり上手くなり、陽の光も苦にしない高位の“貴族”でも食生活はかなり貧しいんだ。」
ルウエンが言った。
「おかわり!」
ラウレスが空の容器を差し出した。
「ひとり1個しかないよ。ぼくの食べかけだけど、食べる?」
「食べる!」
童女は、ルウエンが半分ほど遺した弁当をかきこみはじめた。
「ロウも食べないんなら、残りをラウレスにやっていいかな?」
「朝はコーヒーに、サラダ、目玉焼きに決めてるんだ。さすがにまずいものにも歓喜するようなマネはしないよ。」
ロウも1口食べただけの、容器をラウレスに差し出した。
「冒険者学校の食事が懐かしいね。」
ロウは感慨深げに言った。
「相変わらず一日中、営業したいて、好きな時に好きなだけ食べられるのかい?」
「営業は一日中、やってるけど、いまはクーポン制だよ。10日ごとにクーポンをもらってそれで支払いをするんだ。もっと食べたければ追加のクーポンを購入しかない。」
「そうか。わたしのいたころは、具だくさんのスープとかお粥がメインであって、チーズハム、卵料理なんかは取り放題だったな。」
「あんたも冒険者学校にいたの?」
「お母さんからきいてないのか?
あのころ、わたしやギムリウス、そしてかの『黒の御方』に『災厄の女神』は、一緒に朝飯を食べるのが習慣だったんだ。」
「それがあの伝説の『踊る道化師』なんですか?」
ルウエンが声を低くして言った。
「どこで、その名を。ああ、あのときカザリームにいたのなら、当然知っているか。」
「その『踊る道化師』は、ほかに誰がいたんです?」
「ん、今言ったやつら以外にか?
そうだな、かの伝説『銀雷の魔女』もいたぞぞ。いまでは、どこか北の方に庵を構えて隠遁してしまったが、当時は、わたしたちの参謀格だったんだ。もともとはただの人間だったんだが、わたしとギムリウスのおかけでかなりの戦うほうもかなりの腕前になってな。」
「そうなんですか。ほかには誰が?」
「いま銀灰連合国軍最高司令官のオルカもいた。異世界人のアキルってのもいた。」
「たいしたメンバーですね。そのまま世界を滅ぼせるんじゃないですか?」
「違うんだよ、少年。
わたしたちは、誰かがまかり間違って、世界を滅ぼそうとしたときに、それを止めてやるために集まったんだ。」
ルウエンは。
眩しそうに、ロウを見た。
「へえ? そうなんですか。ほかに誰がいたんです?」
「ああっ!! そうだ、大事なやつを忘れでる。」
「誰です、それ?」
「アモンだよ、アモン! 姉御肌でなあ。わたしたちが好き勝手をしてる間、迷宮の管理をしてくれてたんだ!」
がっかりしたように、ルウエンは肩を落とした。
「なんだ? おまえも“踊る道化師”に入りたかったのか?
残念ながら踊る道化師は、活動休止だ。、
もし、冒険者のパーティメンバーを募集するよりも、今の、メンツでいいんじゃないのか?」
「悪いメンバーじゃないね。」
と、アデルは言った。
「ただ。わたしたちはまだ学生だから、活動の拠点はとりあえず、ランゴバルドに、なると、思うけど。」
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる