最強パーティなのに最下級からなりあがる~怪盗ロゼル一族と神竜の鱗

此寺 美津己

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4、無自覚なのはタチが悪い

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冒険者学校の正門前で、馬車を帰すと、ぼくは門をくぐった。

わかるものだけにはわかる。迷宮という名の異世界に入るときの「あの」感覚。
たぶん、それはただの冒険者にはわからないと思う。
世界から別の世界への移転。体と心は風に舞う木の葉のよう。
無事に着地するまで、落ち着かない。

「おかえり」

校内の敷地にもあちこちに明かりが置かれて、歩くには不自由しない。
実際ぼくも暗視も魔法も使っていなかった。

ロウのいる寮の前を通ると、バルコニーから、ロウに呼ばれた。

「ただいま。
相談したいことがあるけど、また明日。みんなは部屋に帰っただろ?」

ふわっと広げたコートが翼になって、空を舞い、ロウはぼくの頭上から手を掴む。そのまま、3階の彼女の部屋にぼくを持ち上げた。

「ドロシーが待ってる。おまえに怪我をさせて、手当もしないで出て行ってしまったんで心配してる。」

そういうと自分は「散歩してくる」。にやっと笑ってバルコニーから飛び立ってしまった。

「ルト!」

夜もだいぶ遅いのに、ドロシーは、待っていてくれた。心配してもらうのは嬉しいのだけれど。
塗り薬を持って、近づいてくる彼女は、例の体にピッタリしたギムリウスの糸のボディスーツのままだ。
寝室に二人きりでその格好はまずと思う。

「傷を見せて・・・もう治りかかってるみたい。毒も・・・効いてないかな。よかった。」

そう言って細い体を寄せてくる。
覗きこむ顔が近いのは、彼女の近視のせい。
頬を撫でる手が優しいのは、ぼくを心配してくれてるからだろう。

「あのさあ、ドロシー・・・そのボディスーツはまずいと思うんだけど。」

そう言うと、ドロシーはパッと顔を赤くして

「え? これも脱がないとダメ?」


・・・・無自覚痴女か、こいつは。


開け放しの窓から、霧が舞い込み、人影を形作った。

ネイア先生だ。ボロボロの布を巻きつけただけのファッションは、時に太ももや胸元のかなりなところまでも、チラチラ見えてしまう。
こっちもこっちでけっこう危ない格好だった。

跪いた姿勢で現れたネイア先生は、そのまま首を垂れる。

「ルトさま。ルールス教官が、ランゴバルド博物館の件でお話がしたいとのこと。明日にでもお時間を都合いただけませんしょうか。」

そこまで言って、ドロシーがいるのに気がついた。
子爵級吸血鬼の青ざめる顔。


「ル、ルト・・・さま・・・って、やっぱりネイア先生とルトって・・・」

「ま、間違い!!」

ネイア先生はすくっと立ちあがった。

「ルト! ルールス先生がお呼びだ。明日の放課後、ルールス先生の教官室に来るように。」

遅いわ。
これで都合三回目だな。

「教えて! ルトってネイア先生とその・・・」

ぼくは意を決して、首筋を見せた。ネイアの噛んだあとはまだ、傷跡が残っている。
吸血鬼特有のうじゃけた傷口。

「ぼくは、ネイア先生に噛まれたんだ。
吸血鬼にはなっちゃ居ないけど・・・・
一応、その眷属ってことになる。だから・・・」

「そ、そうなんだ。」
ドロシーはショックを受けたようにうつむいた。が、すぐにいやいやいやと、首を横に振る。
「じゃあ、なんでネイア先生が、ルトに敬語なの?」

頭のいい子はこれだから困る。

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