38 / 38
37.それは最高の夜だった
しおりを挟む
終わりがよければ全てよし。
元のランゴバルドに戻り、ロゼルの一党がなんとか動けるようになってから、ぼくらは解散した。
エミリアは、ロゼルの一族と打ち合わせがあると言うので別れ、ぼくらは、冒険者学校までのけっこうな道のりをだらだらと歩いた。
ロウは、自分のコートを脱いで、ぼくに背負われているドロシーにかけてくれた。
割合に人情味のある真祖なのである。彼女は。
さすがに、真夜中をだいぶ回ったこの時間、繁華街からははずれた学校までの道。人通りはまるでない。
それを言ったら、歩いているぼくらのうち半分はひとではないのだが。
アモンは機嫌よく、調子のはずれた戯れ歌を歌って笑っている。
なんと言う歌かきいたら自分で作詞作曲した歌で「望郷竜歌」だと言った。
モデルは、いまごろは、「神竜の息吹」で後片付けをしているラウレスくんらしい。
正門は、ぼくらが近づくとしずしずと開いた。
ネイア先生が仁王立ちでぼくらを迎えてくれた。
「一応は心配いたしました。」
「ランゴバルドが消滅しないかでしょう? ちゃんとうまくやりましたよ。」
ぼくは手をふって、ネイア先生をねぎらった。
使い魔には優しいタイプの魔道士なのである。ぼくは。
「首尾は?」
一応ルールス先生には報告の義務があるのだろう。
「万事つつがなく。ミトラの聖光教会本部から盗んだ鱗は、ロゼル一族からこっそり返させる。」
「それはまたずいぶんと・・・・難しいことを。」
「わたしが、今度『紅玉の瞳』をついだから。新頭領のもとでの初仕事にしては気が利いてない?」
さすがに真祖の意見にもこれは同意できなかったのか、押し黙ったネイア先生だったが。
「え? ご真祖さまがロゼルの頭領になったんですか?」
「そうだよ。冒険者学校は、盗賊の頭領だとはいれないの?」
「ふつうに無理でしょう。」
「なら、黙っててよ。」
ネイア先生は絶句して天を仰いだ。
「ランゴバルド博物館は、所蔵する『神竜の鱗』が三枚になった。東の帝国が所蔵していた一枚は、もともとの国が滅亡してしまって管理者がいなかったらしい。あと海底の難破船からひきあげた一枚で合計三枚。
竜の都から盗まれた一枚は、二フフ副館長が自分のルートをもって、返還するそうだ。」
「・・・・なにをどうやったら・・・そうなるんですか?」
「二フフ館長の依頼は『神竜の鱗』を守れでしょ? 増えたのはオプションみたいなもんだよね!」
あとは、ネイア先生には明日の授業の欠席をお願いしたが、これは無理ではないだろう。学校の課題として、ランゴバルド博物館の徹夜での警備を仰せつかったのだ。
だから授業はお休み!
ドロシーは、ぼくの背中でよく眠っていた。
同室の友人たちを起こすのも憚られたので、ロウの部屋で寝かせることにした。
ぼくらが例によってバルコニーから失礼して、ベッドにドロシーを横にすると、ロウは、それではわたしは夜の散歩に、と、またバルコニーから飛び出って行った。
ため息をついて、勝手知ったるロウの部屋から、寝間着につかえそうな部屋着を探して、ドロシーを起こした。
いくらなんでもギムリウスの糸のコートにロウのトレンチの重ね着では眠りにくいだろう。
「ああ、ルトがいる。」
とろんとした目で、コートのドロシーがぼくを見つめる。
「ここは?」
「ロウ=リンドの部屋。今日は遅いからここに泊まる。明日は授業は休みだからゆっくりしていくといいよ。」
「神竜の鱗はどうなったんだっけ。」
「無事だよ。いまごろは二フフ副館長がもとの場所におさめてるだろう。」
三枚に増えたことをどう説明するのかは知らないが。
「二フフ副館長で竜だったっけ?」
夢でも見たの?と言ってぼくが額をなぜると、ドロシーはほっとしたように、やっぱり夢だったのか、とつぶやいた。
「けっこう、怖いん夢だっんだよ。あのね、二フフ副館長が竜で、わたしに神竜の鱗の在り処を話せって、わたしを手枷でつるしてね。
ギムリスムのボディスーツを切り裂かれて。
なんかそういう願望があるのかな、わたし。」
夢でしょ。
とぼくは微笑む。
「あと、なんだか黒い竜がやってきて、ルトが『神竜の鱗』を持ってるって言って・・・わたし、何をいってるんだろう?」
「ほんとにね。いろいろあって想像と現実がごっちゃになってるんだよ。今夜は、といってもあと何時間かで朝だけど。ゆっくりお休み?」
「ランゴバルド塔がくだけたのもあれも夢・・・なのかなあ。アモンが黒い竜を引きずってきて。」
「夢だろうなあ。」とぼくは笑う。
「じゃあ、ルト。これも夢?」
ドロシーはコートの前を開いた。
ーーーーーーーーー
『怪盗ロゼル一族と神竜の鱗』はこれにて終了です。
ルトたちのこれからは、本編
あなたの冒険者資格は失効しました~最強パおーティが最下級から成り上がるお話
https://www.alphapolis.co.jp/novel/807186218/844632510
をお読みいただけるとうれしいです。
元のランゴバルドに戻り、ロゼルの一党がなんとか動けるようになってから、ぼくらは解散した。
エミリアは、ロゼルの一族と打ち合わせがあると言うので別れ、ぼくらは、冒険者学校までのけっこうな道のりをだらだらと歩いた。
ロウは、自分のコートを脱いで、ぼくに背負われているドロシーにかけてくれた。
割合に人情味のある真祖なのである。彼女は。
さすがに、真夜中をだいぶ回ったこの時間、繁華街からははずれた学校までの道。人通りはまるでない。
それを言ったら、歩いているぼくらのうち半分はひとではないのだが。
アモンは機嫌よく、調子のはずれた戯れ歌を歌って笑っている。
なんと言う歌かきいたら自分で作詞作曲した歌で「望郷竜歌」だと言った。
モデルは、いまごろは、「神竜の息吹」で後片付けをしているラウレスくんらしい。
正門は、ぼくらが近づくとしずしずと開いた。
ネイア先生が仁王立ちでぼくらを迎えてくれた。
「一応は心配いたしました。」
「ランゴバルドが消滅しないかでしょう? ちゃんとうまくやりましたよ。」
ぼくは手をふって、ネイア先生をねぎらった。
使い魔には優しいタイプの魔道士なのである。ぼくは。
「首尾は?」
一応ルールス先生には報告の義務があるのだろう。
「万事つつがなく。ミトラの聖光教会本部から盗んだ鱗は、ロゼル一族からこっそり返させる。」
「それはまたずいぶんと・・・・難しいことを。」
「わたしが、今度『紅玉の瞳』をついだから。新頭領のもとでの初仕事にしては気が利いてない?」
さすがに真祖の意見にもこれは同意できなかったのか、押し黙ったネイア先生だったが。
「え? ご真祖さまがロゼルの頭領になったんですか?」
「そうだよ。冒険者学校は、盗賊の頭領だとはいれないの?」
「ふつうに無理でしょう。」
「なら、黙っててよ。」
ネイア先生は絶句して天を仰いだ。
「ランゴバルド博物館は、所蔵する『神竜の鱗』が三枚になった。東の帝国が所蔵していた一枚は、もともとの国が滅亡してしまって管理者がいなかったらしい。あと海底の難破船からひきあげた一枚で合計三枚。
竜の都から盗まれた一枚は、二フフ副館長が自分のルートをもって、返還するそうだ。」
「・・・・なにをどうやったら・・・そうなるんですか?」
「二フフ館長の依頼は『神竜の鱗』を守れでしょ? 増えたのはオプションみたいなもんだよね!」
あとは、ネイア先生には明日の授業の欠席をお願いしたが、これは無理ではないだろう。学校の課題として、ランゴバルド博物館の徹夜での警備を仰せつかったのだ。
だから授業はお休み!
ドロシーは、ぼくの背中でよく眠っていた。
同室の友人たちを起こすのも憚られたので、ロウの部屋で寝かせることにした。
ぼくらが例によってバルコニーから失礼して、ベッドにドロシーを横にすると、ロウは、それではわたしは夜の散歩に、と、またバルコニーから飛び出って行った。
ため息をついて、勝手知ったるロウの部屋から、寝間着につかえそうな部屋着を探して、ドロシーを起こした。
いくらなんでもギムリウスの糸のコートにロウのトレンチの重ね着では眠りにくいだろう。
「ああ、ルトがいる。」
とろんとした目で、コートのドロシーがぼくを見つめる。
「ここは?」
「ロウ=リンドの部屋。今日は遅いからここに泊まる。明日は授業は休みだからゆっくりしていくといいよ。」
「神竜の鱗はどうなったんだっけ。」
「無事だよ。いまごろは二フフ副館長がもとの場所におさめてるだろう。」
三枚に増えたことをどう説明するのかは知らないが。
「二フフ副館長で竜だったっけ?」
夢でも見たの?と言ってぼくが額をなぜると、ドロシーはほっとしたように、やっぱり夢だったのか、とつぶやいた。
「けっこう、怖いん夢だっんだよ。あのね、二フフ副館長が竜で、わたしに神竜の鱗の在り処を話せって、わたしを手枷でつるしてね。
ギムリスムのボディスーツを切り裂かれて。
なんかそういう願望があるのかな、わたし。」
夢でしょ。
とぼくは微笑む。
「あと、なんだか黒い竜がやってきて、ルトが『神竜の鱗』を持ってるって言って・・・わたし、何をいってるんだろう?」
「ほんとにね。いろいろあって想像と現実がごっちゃになってるんだよ。今夜は、といってもあと何時間かで朝だけど。ゆっくりお休み?」
「ランゴバルド塔がくだけたのもあれも夢・・・なのかなあ。アモンが黒い竜を引きずってきて。」
「夢だろうなあ。」とぼくは笑う。
「じゃあ、ルト。これも夢?」
ドロシーはコートの前を開いた。
ーーーーーーーーー
『怪盗ロゼル一族と神竜の鱗』はこれにて終了です。
ルトたちのこれからは、本編
あなたの冒険者資格は失効しました~最強パおーティが最下級から成り上がるお話
https://www.alphapolis.co.jp/novel/807186218/844632510
をお読みいただけるとうれしいです。
5
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる