ねこ耳探偵と愉快な仲間たち 小学生探偵の物語

三峰キタル

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24話 再会

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 5人は緊張した面持ちで時計塔の前に立っていた。古びた木製のドアを開け、中に足を踏み入れる。埃っぽい空気が鼻をくすぐる。
「懐中電灯、用意していてよかったな」とけんたが言いながら、光を照らす。
螺旋階段を上っていくと、みけ子が突然立ち止まった。
「ねえ、みんな。この壁、何か変じゃない?」
全員が壁を観察し始める。たけるが手で触ってみると、わずかに動いた。
「おい、ここ押せるぞ!」
力を込めて押すと、壁がゆっくりと回転し、隠し部屋が現れた。
「すごい...」とまりが息を呑む。
部屋の中央には、未来的なデザインのタッチパネルが置かれていた。周りには不思議な機械が並んでいる。
ユミが慎重に近づき、タッチパネルを調べる。
「これ、起動ボタンみたいですね」
ボタンを押すと、画面が明るく光り、「文字を入力してください」という表示と共に、アルファベットが並んだ。
5人は顔を見合わせる。ユミが眼鏡を直しながら言う。
「TIME MACHINE ONって入力すればいいんじゃない?」
みけ子が深呼吸をして、ゆっくりと文字を入力していく。最後の"N"を押した瞬間、部屋中が青い光に包まれた。
「うわっ!」けんたが驚いて後ずさる。
タッチパネルから奇妙な振動が伝わってくる。まりが小さな悲鳴を上げる。
「これ、本当にタイムマシンなの?怖いよ...」
たけるがまりの肩に手を置く。「大丈夫だ、俺たちがついてるから」
青い光が収まると、画面に新しい表示が出た。「日付を入力してください」
「この日付を入力すれば、その時代に行けるってこと?」とまりが興奮気味に言う。
みけ子の目に涙が光る。「私...おばあちゃんにもう一度会いたい」
みけ子の声は震えていた。
「みけ子...」ユミが優しく声をかける。
「みんな、いいかな?おばあちゃんが生きていた頃、私たちが幼稚園の時に戻りたいの」
全員が頷く。みけ子が恐る恐る日付を入力し、決定ボタンを押す。
突然、部屋が激しく揺れ始めた。青い光が強くなり、5人の体が宙に浮く感覚。
「みんな、手をつなごう!」みけ子が叫ぶ。
5人が手をつなぐと、まぶしい光に包まれ、意識が遠のいていく。

目を開けると、みけ子たちは同じ隠し部屋にいた。しかし、何かが違う。埃が少なく、空気がより新鮮に感じる。
「うまく...いったのかな?」とたけるが不安そうに言う。
5人は慎重に時計塔を出る。外に出ると、景色が明らかに変わっていた。道路には昔の車が走り、街並みも懐かしい雰囲気だ。
「み、みんな...私たち、本当に過去に来たみたい」
みけ子の声が震える。
そしてけんたが近くの新聞スタンドを指さす。「おい、見ろよ。日付が...」
確かに、そこにはみけ子が入力した日付が印刷されていた。
「信じられない...」ユミがつぶやく。
みけ子が突然走り出す。「おばあちゃんに会いに行くわ!」
他の4人も慌てて後を追いかけ懐かしい街並みを駆け抜ける。

そしてみけ子の家に到着し、みけ子が震える手で玄関のドアを開ける。
「お、おばあちゃん...?」
すると、台所から懐かしい声が聞こえてきた。
「みけ子?今帰ってきたの?」
おばあちゃんが姿を現すとみけ子の目から涙があふれ出す。
「おばあちゃん…」
「あら?どちら様でしょうか?」
おばあちゃんが困惑した表情で尋ねる。
みけ子は涙ぐみながら一歩前に出た。
「おばあちゃん...私よ、二十歳のみけ子」
おばあちゃんは驚いて目を見開いた。
「みけ子...?まさか...」
おばあちゃんはみけ子の顔をじっと見つめ、その目と鼻筋に見覚えがあることに気づく。
「本当に...みけ子なの?でも、どうして...」
みけ子はゆっくりと説明を始めた。
「おばあちゃん、信じられないかもしれないけど、私たちは未来からきたの」
おばあちゃんは半信半疑の表情を浮かべる。
「未来...?」
けんたが前に出てこう言った。
「おばあちゃんはわかりますか?時計塔の謎のこと」
「時計塔の謎のこと?.」
ユミが冷静に言葉を続ける。
「はい、おばあちゃんの日記に書かれていた『時計塔の秘密は6時から18時の一時間ごとの影にあり』というメモを見つけたんです」
おばあちゃんは言葉を失った。その秘密の手がかりは、おばあちゃんが誰にも話していなかったものだった。
みけ子が優しく手を取る。
「おばあちゃん、私たちがその謎を解いたの。時計塔はタイムマシンだったの」
おばあちゃんは震える手でこう言った。
「まさか...本当に...」
まりが寄り添い、「おばあちゃん、大丈夫?」と心配そうに尋ねる。
おばあちゃんは深呼吸をして、みけ子たちをじっと見つめた。
「みけ子...みんな...信じられないわ。でも、あなたたちの目を見ていると、嘘を言っているようには思えない」
たけるが静かに言った。
「おばあちゃん、僕たちも最初は信じられませんでした。でも、本当なんです」
おばあちゃんはみけ子たちを見つめながらこう言った。
「みんなが解いてくれたのね...私の夢見ていた謎を」
みけ子はおばあちゃんを抱きしめながらこう言った。
「うん、私たち、おばあちゃんの想いを受け継いだの」
おばあちゃんはやさしく微笑んだ。
「さあ、みんな中に入って。ゆっくり話を聞かせてちょうだい」

5人は靴を脱ぎ、懐かしい畳の香りがする居間に入った。壁には昔の写真が飾られ、みけ子たちは懐かしさと新鮮さが入り混じった気持ちで座った。
おばあちゃんはゆっくりとみんなの顔を見回し、深呼吸をして話し始めた。
「実はね、私、がんで余命宣告を受けていたの」
みけ子たちは息を呑んだ。
おばあちゃんは続けた。
「医者には半年くらいだって言われて...正直、もう長くは生きられないと思っていたのよ」
おばあちゃんの目に涙が光る。
「でも、こうしてみけ子の成人した姿を見られて、本当によかった。こんな奇跡が起こるなんて...」
みけ子も涙ぐみながら言った。
「おばあちゃん...私も会いたかった」
そしておばあちゃんはにっこりと笑って立ち上がった。
「そうそう、私には夢があるのよ」
「夢?」とたけるが首を傾げる。
おばあちゃんは台所に向かいながら言う。
「ええ、みけ子と一緒にお酒を飲むことが夢でずっと楽しみにしてたの」
しばらくして、おばあちゃんが徳利と6つのおちょこを持って戻ってきた。「さあ、みんなで飲みましょう。特別なお酒よ」
それから、おばあちゃんが自分のとみんなのお酒を注いでいる時にまりが懐かしそうにこんなことを言った。
「おばあちゃん、覚えてる?私たちが幼稚園の時、よくここに遊びに来てたよね」
けんたも続けた。
「そう言えば、おばあちゃんの作るクッキーが大好きだったなぁ。あのクッキーの匂いを嗅ぐだけで、ワクワクしたもんだ」
ユミも珍しく感情を込めて言う。
「私、おばあちゃんに本の読み聞かせをしてもらったの、今でも覚えています」
たけるが笑いながら付け加える。
「僕なんか、おばあちゃんの膝の上で寝ちゃって、よく怒られたっけ」
おばあちゃんは嬉しそうに頷いた。
「ええ、全部覚えてるわ」
しばらく昔話に花を咲かせた後、ユミが静かに、しかし真剣な表情で言った。
「おばあちゃん...私たちの未来のことも知りたいですか?おばあちゃんが...いなくなってからのこと」
おばあちゃんは少し考えて、ゆっくりと頷いた。
「ええ、聞かせてちょうだい。辛いこともあったでしょう?でも、みんなが元気に成長してくれたことは、この目で見てわかるわ」
みけ子たちは順番に、おばあちゃんが亡くなってからの生活、成長の様子を話した。学校での出来事、進路の決定、そして時計塔の謎に挑戦したことまで。おばあちゃんは時に笑い、時に涙を浮かべながら、一言も漏らさず聞いていた。
そしてみけ子がこう言った。
「おばあちゃん、私ね、ずっとおばあちゃんに憧れてたの。だから、探偵ごっこもやってたんだ」
おばあちゃんは驚いた表情を浮かべた。「まあ、そうだったの?」
みけ子は頷いた。
「うん。おばあちゃんみたいに、謎を解く探偵になりたかったの。だから、友達と探偵団を作ったんだ」
まりが続けた。
「みけ子が中心になって、私たち、小学校の頃からずっと謎解きをしてきたの」
おばあちゃんは優しく微笑んだ。
「みけ子...あなたは立派な探偵になったわね。時計塔の謎を解いたんだもの。私には解けなかった謎をね」
みんなは笑顔で顔を見合わせた。
おばあちゃんがお酒を注ぎ終えると、みけ子が恐る恐るおちょこを手に取った。
「おばあちゃん、これが私の初めてのお酒になるよ」
「ああ、私の夢が叶うわ」
おばあちゃんの目に再び涙が光りこう言った。
「みんな、乾杯しましょう。時を超えた不思議な出会いに」
6つのおちょこが優しく触れ合う音が響いた。時を超えた不思議な時間の中で、彼らの絆はさらに深まっていった。
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