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帝国再建編
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サラミナス国の首都の海岸で、ドイツ国防軍の残っていた駐留部隊一個中隊(この時は、中隊とは別に戦車小隊も居た)とたまたま近くを警戒中だったドイツ海軍のUボート一隻が、海上から侵攻してきたワイマル帝国の大規模な上陸作戦を辛うじて防いだ。
それからというものクリスティーナ女王は、ヒトラーにまた危うい所を助けられたという感じで次にヒトラーに会う時、今回の事をどう言ってくるのかと頭を机に突っ伏したり何もない空中を仰いでみたりというまるで、心ここにあらずという感じだった。
そんな中、サラミナス国首都郊外のクリスティーナ女王の宮殿に一つの電話があった。
この頃になると、ヒトラーはクリスティーナ女王の居るサラミナス国の首都であるマルテノまでの道を舗装して、電線と電話線を帝都ゲルマニアでその関係者の市民を武装した国防軍が護衛しながら設置していた。
この頃、帝都から出るとまだ盗賊などの類がいたのでヒトラーは国防軍の護衛を付ける事にしたのだった。
黒電話が、チリリリリンと三回たて続けに鳴った時クリスティーナ女王は受話器をあげて電話に出た。
すると、ヒトラー自身が自ら電話口に出た。
「私だが、今日の午後一時にそちらに外交官を車でそちらに向かけてもよいか」
と言ってきた。
クリスティーナ女王は、壁に掛けてあった時計を見てから、内心良くない事が起こったという感じで背筋に寒気がはしった。
この異世界には、時計がなかったのだがヒトラーが時計がないとこちらとの外交が不自由だろうからと送った物だった。
そして、約束の時間である午後一時丁度にSSの兵士達を乗せる荷台の付いたバイク四輛に護衛されて一台のフォルクスワーゲンが、宮殿の門をくぐって長い道を通過し、ゆっくり正面玄関前に停車させた。
停車させると、ドライバーのSS兵士が勢いよくドアから降りて来て後ろに乗っていた外交官の位置のドアを開けた。
すると、中からはルートヴィヒ・ボルマンが静かに降りて来た。
ルートヴィヒ・ボルマンは、ヒトラーと同じように自殺したはずなのにこの異世界に飛ばされて来た人物だった。
そして、中へ案内されるとクリスティーナ女王の居るベランダに通された。
ボルマンが行くと、クリスティーナ女王はベランダから外を静かに見ていた。
その姿はまさに、美術館にある美しい石像のような白い肌と透き通るばかりの長い金髪が風にそよいでいたので、クリスティーナ女王がこちらを見るまで見とれてしまっていた。
そして、
「誰か?」
と問うたのでボルマンはすかさず
「外交官のルートヴィヒ・ボルマンと申すものです。今回は、貴国に上陸をしようと企てた敵の提督がそちらで捕虜になっていると聞いたもので…」
と言うと、クリスティーナ女王はハァと溜息をついて安心したのか、さっきまで凄く強ばっていた顔が緩んだ。
それからというものクリスティーナ女王は、ヒトラーにまた危うい所を助けられたという感じで次にヒトラーに会う時、今回の事をどう言ってくるのかと頭を机に突っ伏したり何もない空中を仰いでみたりというまるで、心ここにあらずという感じだった。
そんな中、サラミナス国首都郊外のクリスティーナ女王の宮殿に一つの電話があった。
この頃になると、ヒトラーはクリスティーナ女王の居るサラミナス国の首都であるマルテノまでの道を舗装して、電線と電話線を帝都ゲルマニアでその関係者の市民を武装した国防軍が護衛しながら設置していた。
この頃、帝都から出るとまだ盗賊などの類がいたのでヒトラーは国防軍の護衛を付ける事にしたのだった。
黒電話が、チリリリリンと三回たて続けに鳴った時クリスティーナ女王は受話器をあげて電話に出た。
すると、ヒトラー自身が自ら電話口に出た。
「私だが、今日の午後一時にそちらに外交官を車でそちらに向かけてもよいか」
と言ってきた。
クリスティーナ女王は、壁に掛けてあった時計を見てから、内心良くない事が起こったという感じで背筋に寒気がはしった。
この異世界には、時計がなかったのだがヒトラーが時計がないとこちらとの外交が不自由だろうからと送った物だった。
そして、約束の時間である午後一時丁度にSSの兵士達を乗せる荷台の付いたバイク四輛に護衛されて一台のフォルクスワーゲンが、宮殿の門をくぐって長い道を通過し、ゆっくり正面玄関前に停車させた。
停車させると、ドライバーのSS兵士が勢いよくドアから降りて来て後ろに乗っていた外交官の位置のドアを開けた。
すると、中からはルートヴィヒ・ボルマンが静かに降りて来た。
ルートヴィヒ・ボルマンは、ヒトラーと同じように自殺したはずなのにこの異世界に飛ばされて来た人物だった。
そして、中へ案内されるとクリスティーナ女王の居るベランダに通された。
ボルマンが行くと、クリスティーナ女王はベランダから外を静かに見ていた。
その姿はまさに、美術館にある美しい石像のような白い肌と透き通るばかりの長い金髪が風にそよいでいたので、クリスティーナ女王がこちらを見るまで見とれてしまっていた。
そして、
「誰か?」
と問うたのでボルマンはすかさず
「外交官のルートヴィヒ・ボルマンと申すものです。今回は、貴国に上陸をしようと企てた敵の提督がそちらで捕虜になっていると聞いたもので…」
と言うと、クリスティーナ女王はハァと溜息をついて安心したのか、さっきまで凄く強ばっていた顔が緩んだ。
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