第三帝国再建物語

帝国再建編

13．

帝国兵が、上陸船艇で浅瀬に出ると勢いよく船艇から次々と帝国兵が降りていった。

それをUボートの船員達が、遠くで見ている時の事だった。

上陸してから、砂浜を鎧がガチャガチャ音をたてながら駆ける兵士達は不意に襲ってきたバババババッと機銃掃射で何人かあっという間に倒され、砂浜に釘付けとなった。

この時、首都に駐留していた部隊が各々撤収していっている中今回の一件があったので、まだ残っていた中隊が急遽敵の迎撃にあたったのであった。

帝国兵は、近くの物陰へと隠れた。

だが、それも無駄であった。

何故なら、遠くからヒューという音がすると迫撃砲の嵐に見舞われてしまったので岩陰や死体に身を隠した兵士達は、ゆっくりと確実に体を粉々に吹き飛ばされてしまうからであった。

それを見るなり、再び砂浜を全力で駆け出した。

最前列に、位置していた帝国兵がやっとの事で木が密集した地帯に逃げ込もうとした時だった。

ダダダダッと短機関銃の音がして、マズル・フラッシュが木の隙間から至る所で光って更に帝国兵は釘付けとなってしまった。

そんなこんなで、一方的に攻撃攻撃を受けるのもあれなので近くに居た弓兵に弓矢を一斉にマズル・フラッシュの方向に撃たせた。
「撃てー！」
と言うと、弓矢がシュシュッと音をたてて前方に飛んで行った。

すると、一瞬ではあるがマズルフラッシュの間隔が空いたのであった。

これに、帝国兵はもう一度一斉に弓矢を放って突撃を刊行する事にした。

今度は、後ろの方から追いついて来た帝国兵の仲間と共に突撃すると突撃された防衛隊の隊員は数の上では不利と判断し、一旦後方の丘に後退した。

帝国兵は、図に乗って更に草原の丘をよじ登って行き丘を越えたところでの事だった。

丘を越えると、目の前にいきなり軽戦車(38T)で構成される戦車隊が横一列になって待ち構えて居た。

それを見るなり、あからさまに帝国兵は生まれて一度も見た事のない物体に血相を変えた。

そこにいた戦車は、躊躇うことなく機銃をバババッと連射させて丘を駆け上って来たばかりの帝国兵を再三釘付けさせた。

そして、
「パンツァー・フォー！」
と国防軍の戦車が言うとゆっくり前進を開始した。

帝国兵は、戦意を完全に打ち砕かれていたので元来た道をたどって上陸船艇に逃げ帰るべくやっと撤退を開始した。

だが、撤退する時も相変わらず戦車の機銃が唸りをたてて榴弾も撃ってくるのでちりじりになりながら船艇に向かった。

船艇に戻る頃には、帝国兵は上陸した頃の三分の二以下に激減していた。

それでも、諦めずに海に出たのだがそこには先程のUボートが待ち構えていてドイツ海軍のEボート(ドイツ海軍が、持っていた艦の中でも小型ながら格段に速かった)が十五隻居た。

そして、異世界の言葉で投降を呼びかけた。

「武器を捨てて投降すれば、貴方がたには危害は一切加えない！」
と、拡声器を通して言った。

それには、渋々帝国兵は武器を海に捨ててドイツ海軍の投降の呼びかけに応じた。

今回の一件で、ワイマル帝国海軍の隠密裏に進展していた首都上陸作戦は大型艦三隻と上陸部隊の三分の二以上の損失を出してワイマル帝国海軍の大敗北に終わったのであった。

この日を持って、ワイマル帝国海軍の提督は解任され牢獄にぶち込まれた。

クリスティーナ女王は、こうして再び首都の防衛が手薄な事を思い知らされてヒトラーに助けを求めたのであった。