第三帝国再建物語

篠田 雄亮

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帝国再建編

30.

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パイパー戦車軍団が、上陸した日本軍と合流する為に敵の防御陣地を攻略しながらの南下が始まった頃、日本軍も敵を攻略しながら北上していた。

そんな中、敵のイギリス軍やインド軍の兵士がどこへ行こうにも大混乱に襲われて右往左往していたので日本軍は、敵をいつしか軽視するようになって大胆な進撃を開始をはじめようとしていた。

そんな中、北上していた軽装甲の中戦車(九十七式中戦車)の車列の先頭車輛が敵の仕掛けた野砲の砲撃によって吹き飛ばされてしまったのである。

それに対して、この頃になると日本軍の上層部はドイツ第三帝国から輸入したIII号戦車やIV号戦車が大部分を占めるといっても、まだ九十七式のように中戦車をドイツ軍でいう軽戦車(38T)の様な役割で戦場を疾駆させ始めたのであった。

だが、まだまだそんな日本軍に対して雨あられのような敵の砲撃が至る所から降り注いできた。

ある時は、敵が潜んでいた茂みに気が付かず砲撃を履帯(キャタピラ)にくらって、擱座した戦車が更に砲撃を受けて砲塔が吹き飛んだと思いきや、他の茂みからも砲撃が飛んで来て、ニ輛目の中戦車も狙おうとしていたのでIII号戦車の榴弾で砲撃を加えると、茂みで何かが吹き飛んで小さな花火の様に光り、それに続くように次々と大爆発が起こった。これは、後日弾薬車や燃料車といった物が尽く集積されていた場所らしい事が解った。

この時、日本軍を攻撃していたのはオーストラリア軍でIII号戦車が撃った時、大爆発したのは対戦車砲の横に沢山砲弾を積んだ山にたまたま榴弾が飛んで来て、誘爆を起こしたからであった。

そんな感じで、何回かオーストラリア軍の対戦車砲を破壊しながら進撃する事になった。

このオーストラリア軍の対戦車砲は、巧みな偽装を施されていた為に戦闘機がイギリス空軍基地を攻撃する為に陸用爆弾を積んで、上空を通った時に見つける事が出来なかっただけの事であった。

この日、オーストラリア軍とインド軍兵士の損害は以下の通りになった。

オーストラリア軍は、対戦車砲十二門と兵員五百人弱であった。

インド軍は、対戦車砲十三門と兵員千人であった。

日本軍は、この日捕らえた捕虜に武器を壊させ、両脇に短機関銃で武装した兵士が付き添う形で、とぼとぼと徒歩で南下させられて行った。

その後、インド軍兵士の捕虜で寝返る気のある者は再び武器を取って日本軍と共に戦闘に参加する事になったのであった。

オーストラリア軍兵士に関しては、捕虜収容所での労働が待っていた。

労働は、主に線路の設置と炭坑掘りといった重労働な物ばかりだったので何人かは早いうちに死んだ。

線路は、軍需物資などを供給するうえで少しでも時間が必要なので辻は早めに線路を設置して機関車での運搬をブレストニア大陸で考えていたのであった。

そして、その死体も捕虜に穴をショベル等で掘らせて放り込んで埋められた。

そんな感じで、いよいよ日本軍はドイツ軍とあと五キロの地点までこぎつける事が出来たのであった。
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