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異世界
助言
「まぁ…後はルーペリオに聞いてみるといい」
「は、はい」
何かを感じ取ったのか、何も語らない私にジンクスさんはそれ以上問いただす事はなかった。
午後からはルーペリオさんと例の借りた工房に行くことになっている。
午前中の内に先日購入したパールやゴムなどを運び入れておいてくれるらしい。
「リザさん。お迎えがきましたよ」
「あ、はい。今行きます」
わざわざ呼びに来てくれたリンリンさんにお礼を言って私はルーペリオさんと先日内見した作業部屋に向かった。
そのままになっていた家財道具などは綺麗に片付けられており、部屋は完全に作業部屋になっていた。
色んな作業がしやすいように高さの違う作業台が三つ。
「高いところは木材のカットも出来るんですね」
それぞれの台に手元を照らせるライト。机の高さに合わせた用途の道具が備わっていてわざわざ重たい道具箱を運ぶ必要もない。
「これなら素材も探しやすいですね」
素材をしまっておけるように壁の一面が引き出し付きの収納になっている。
まだ空の引き出しも多いが、今からこれが埋まっていくのだと思うとかなりワクワクした。
「先日頼まれていた物は既に準備が出来ております。今日は作業されていかれますか?」
「あ、はい。作ってみたい物があって」
「お手伝いさせていただきます」
「あ。では、その前に…」
ジンクスさんに言われた通りに作ってみた試作品をルーペリオさんにも見せてみる。
「素晴らしい出来栄えで御座いますね」
「その、あの…ジンクスさんにも見てもらったのですが、冒険者の需要は望めないそうで…」
「確かに、どちらかと言えば冒険者が望むような効果ではないですね。ただ…」
「ただ…?」
ジンクスさんもギルドマスターをしているだけあって商業に関してはかなりの手練れなのはよく分かる。
仕事も早かったし、貴族と関わりたくないと言う私にも直ぐに対応策が出て来たし、作った商品に対しても的確な感想を述べてくれた。
ただ、ルーペリオさんが醸し出す雰囲気はそれ以上だ。仕事が出来るのは言うまでもなくだが、その知識量と提案力、そして先回りした対応。何を持ってしても完璧な人。
それを手放した元主人はかなり惜しい事をしたのでは?と気遣う程だ。
「ジンクス様がおっしゃる通り冒険者に購入を促すのは難しいです。例えばこのポプリという商品はポーションで代用が出来てしまいます。ですが、例えば冒険者が良く泊まる宿屋に卸すとどうでしょう?購入するのは宿屋ですが、使うのは冒険者達です」
「…確かに、でも宿屋が買ってくれるでしょうか?」
「それは交渉次第かと。宿屋は競合し合ってますから付加価値をつけるのに必死です。あとは効能を増やすと尚良いかも知れませんね。《解毒》は良いですが、《状態異常無効》は状態異常に罹ってからではなく事前に掛けて置かないと効果はありませんから」
「効能を増やす?何が良いのでしょう?」
「回復系統が好ましいかと。あとは麻痺、火傷、凍傷。珍しいところだと解呪、石化などですね」
確かに、ピンポイントでそれらを直せるなら使い勝手は悪くても売る場所次第では買ってくれるかも知れない。
「それに宿屋に売るのは別の意味もあります。冒険者は身の回りを軽くするために荷物は極力増やしません。拠点を構えていれば別ですが」
「なるほど…じゃあ、これは需要があるかな?」
「…これは…」
昨日自分の為に作った革鞄を腰から外してルーペリオさんに手渡す。
ルーペリオさんは初めは質感や肌触り、縫い目の綺麗さなどを中心に観察していたが、中を見て何故か口をパクパクと動かしていた。
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