異世界で趣味(ハンドメイド)のお店を開きます!

ree

文字の大きさ
55 / 245
異世界

依頼任務




 鬱蒼と草木が行手を阻む険しく深い森の中。この辺を歩くのは久しぶりだ。
 長らく最深を潜ってきた俺らが久方ぶりに浅い場所にきたのはとある依頼任務を受ける為。

「リーダー。マジでやんのかよ」

「リーダー、ガラットの言う通りすっよ。鞄が金貨200枚なんてぼったくりもいいところじゃないすか!」

「お前ら、あれがぼったくりに見えるのか?」

 この二人は全く話しにならない。

「リーダー、俺は反対しねぇーよ。あんなの見せられちゃ、誰だって欲しくなる」

「ディロウも見てたろ?他の術師達も登録して行ったんだ。その場で術師に頼んでるやつも居たぜ?」

「あれこそ、ぼったくりだ」

「何処がだよ!金貨50枚だろ?4分の1だ!流石の俺もそんくらいわかるぜリーダー!」

 どう見ても【金色の獅子】達が持っていた革鞄は質が違った。その辺で手に入れた革鞄に【付与】を施しただけのものにはとても見えない。
 他の術師達の腕がどうこうの前に恐らくそもそもの作り方が違うと思う。これは冒険者としてやってきた長年の勘がそう言ってる。

「確かに、アイツらがダンジョンの真ん中で焚き火を始めた時は流石の俺も驚いたさ。しかもコッチにまでいい匂い飛ばしてきてよ…」

「俺もダンジョンの中であったかいもの食えるなんて羨ましいとは思ったっすよ?」

「お前らは見なかったのか?奴らが持って帰ってきたヒュドラの大きさを」

「…」

 あれには本当に驚いた。いや、大きさではない。【紅の空】もヒュドラには何度か挑んだことがあるから大きいのは知っていた。
 あれを持ち帰る事が出来るのが凄いんだ。

「これまでだってあっただろ。持って帰りたいけど置いていった素材や武器が。あの鞄さえ手に入れば今後それら全部持って帰れる」

「一度の冒険での報酬が増える上に、快適な冒険が出来る」

「…仕方がねぇ、やるか」

「やるしかないっすね」




ーーーーーー



 とある宿屋の一室。
 小綺麗に片付けられたその部屋は冒険者の部屋だとは思えない程に上品で可愛らしく飾り付けられている。
 そこに集まるのは五人の男女。

「ユシテル、パーティーの積み立てでも金貨200枚は流石に無いだろ?」

「そうね、折半でも一人40枚。持ってる人は?」

「折半するのか?俺は反対だね」

「レイ、どうしてかしら?あの鞄は皆んなで使うものよ?」

「俺が必要性を感じてないからだ」

 ユシテルはんー、と顎に手をおいで考えているフリをする。

 まさか反対されるとは思ってなかった。確かに値段を聞いた時は流石に驚きはしたが、見せられた現物は紛れもなく一流、プロの仕事だった。
 それに私達はAランクを取ったプロだ。本物を持たずして何になる?偽物を持って鼻で笑われるなんてごめんよ。

「ユシテル、僕は賛成かな。あの鞄は他の術師には作れないと思う。僕は皆んなより術について詳しいでしょ?信じてくれないかな?」

「あれと他の術師が作った物にどれほどの差があるって言うんだジャム。俺は鞄を買うことを反対しているわけじゃない。同じ金貨200枚なら他の術師に四個作らせてそれぞれ持つ方が賢くないか、と言ってるんだ」

「正直言うと分からないんだ」

「それじゃあ、話しにならない」

「あ、ごめん。違うんだ…」

 慌てるジャムを落ち着かせるようにセーナが背中をさする。

「ジャム落ち着いて…」

「ねえちゃん…」

「はぁ、くだらねぇ」

「いいから、ジャムの話しちゃんと聞きなよ」

「ウルセェよ。マル」

 レイに胸ぐらを掴まれてもニコニコと楽しげな笑顔を見せるマルセル。レイは苛立ちを隠さない。

「レイごめんね。僕の言い方が悪かったんだ。あのね、あの鞄…他の術師か作った鞄の四つ分なんて余裕なんだよ。多分十個でも足りないと思う」

「…じゃあ、なんだ?あの金貨200枚のピカピカ鞄は金貨500枚以上はくだらないって事か?」

「と言うか、他のがそれほどの価値がないって事」

「…ハッ。まさか、何の冗談だ…?」

 普段ならオドオドと言いたい事も言えずに、姉のセーナや自分に頼りきりのジャーシムが断言する。

「いいわね、レイ。多数決よ、鞄代は折半。一人40枚。あの【金色の獅子】がクリアしたんだもの。ヒュドラなんてボコボコよ!私達も鞄を手に入れて50階層を攻略すれば直ぐに元なんて取れるわ」

「ユシテル、その前に依頼任務達成しなきゃ」

「そ、そうね」

「オーダーがかなり細かい。この依頼人アンティークボアの弱点ちゃんと分かってんのかよ…」

 多少の文句は仕方がないわ。確かにオーダーが細かすぎる。

 とにかく奴らが王都に呼ばれているうちに、他のパーティーよりも早く50階層を突破しなきゃいけないわ。












 

 


 

感想 40

あなたにおすすめの小説

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった

よっしぃ
ファンタジー
【祝!3/22~25 ホットランキング第1位獲得!】 皆様の熱い応援、本当にありがとうございます! ファンタジー部門6位獲得しました!感謝です! 【書籍化作家の本気作。まず1話、読んでください】 電車でマナー違反を注意したら、逆ギレされて殴られた。 気がついたら異世界召喚。 だが能力鑑定は「なし」。魔力適性も「なし」。 52歳のおっさんに、異世界は容赦ない。 結論――王都の地下下水道に「廃棄」。 玄湊康太郎。職業、設備管理。趣味、健康管理。 血管年齢は実年齢マイナス20歳。 そんな自慢も、汚物まみれの下水道じゃ何の役にも立たない。 だが、転んだ拍子に起きた「偶然の浄化」が、すべてを変えた。 下水には、地上の連中が気づかない「資源」が眠っている。 捨てられた魔道具。 長年魔素を吸い続けた高純度魔石。 そして、同じく捨てられた元聖女、セシリア。 チート能力なし。異能なし。魔法も使えない。 あるのは、52年分の知識と経験、そして設備屋としてのプロ意識だけ。 汚物を「資源」に変え、捨てられた者たちと共に成り上がる。 スラムから始まる、おっさんの本気の逆転劇。 この作品には、現代の「病気」と「健康」に対する、作者の本気のメッセージが込められています。 魔力は毒である。代謝こそが命である。 軽い気持ちで読み飛ばせる作品ではありません。 でも、だからこそ――まず1話、読んでください。 【最新情報&著者プロフィール】 代表作『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』(オリコンライトノベル部門18位記録)の著者が贈る最新作! ◆ 2月に待望の【第2巻】刊行! ◆ 現在、怒涛の展開となる【第3巻】を鋭意執筆中! ◆ 【コミカライズ企画進行中】! すでにキャラデザが完成し、3巻発売と同時に連載スタート予定です。絶対的な勢いで駆け上がる本作に、ぜひご期待ください!

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?