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商会開業
肩慣らし
「此方のミニドレス、もしくは後ろだけ長くアシメトリーにするこのデザインも良さそうですね」
ドレスとは言え、動き易さは大切だ。
私が下書きしたドレスアーマーのデザイン画を覗き込みながらエルフィンくんが言う。
「では、これで作ってみます」
メインは防御力と耐久性を高めるためにアラクネが自ら織った『アラクネ織』を使い、それと『星の羽衣』を縫い合わせるのは同じく聖属性のフェアリーヤーン。効果を底上げするために錬金術師の琴線も使う。
極力動きを阻害しないように作り込みつつ、刺繍も決して手を抜かない。
特に胸元につけた魔法石がより映えるように金の糸と銀の糸で陰影をつけつつ丁寧に周りに装飾刺繍をほどこしていく。
「こんな感じかな?」
「素晴らしい出来です!こんな短時間でこれだけの刺繍を施すなんて!」
確かに今までだったらこの規模の刺繍なら1日くらいはかかっていたはずなのに今はたったの1時間程度。
これも《付与術師》の何か効果なのかな?
そんな風に呑気に考えていると。
「リザ、お邪魔するよ」
「ギルさん、こんにちは」
「あぁ、こんにちは。えっと…その…」
「はい、何でしょう?」
もう私、突然誰かが訪ねてきても動じなくなったみたい。
「この前のやつまた頼めるか…?」
「この前のやつ?」
「リザが作った装備で整えさせて欲しいんだ」
ということは、この前と言うのはフィオデナルドさん達に渡したアクセサリーの事を言ってるんだろう。
「それは構いませんが…」
「オーブランドから救援要請が来たのは知っているな」
「はい」
「オーブランドはこの国の第二の都市と言われている大都市だ。こんな言い方は良くないが、あそこが落とされればソーロの比ではない被害が出る。何とかしてそれだけは阻止したい。だが、現状フローネも危機的状況にあり、送れる人員は【紅の空】の1パーティーのみ」
ギルさんの必死さが伝わってくる。
フローネも守らないと行けないけど、大都市であるオーブランドを見捨てることも出来ない。
【紅の空】を送ることもギリギリの判断だったのだろう。
「少しでも可能性を高める為にも装備を増強しておきたい」
「分かりました」
「…ありがとう」
そうして私は【紅の空】の装備増強の為に手を貸すことになった。
「皆さんお怪我はもう大丈夫なんですか?」
「あぁ、君のお陰で傷跡一つ残ってないよ」
「本当に助かったよ」
「ありがとうな!」
「それはなによりでした」
簡単な挨拶を交わして早速装備増強を試みる。
「皆さんはどんな戦い方をされるのですか?」
「戦い方?」
「はい、例えば【烈火の姫】の剣士ユシテルさんならスピードを活かす為に速度上昇系の《付与》の物や魔法使いのマルセイユさんならMP回復をメインの《付与》を選んだり、欲しい効果を…」
「選べるのか…?」
「普通ならアクセサリーってのは効果がついてりゃ何でも良いみたいなところがあるからな…」
え?みんな効果を選んで買ってないの?じゃあ、剣士なのにMP回復が付いてたり、重騎士なのに、速度上昇が付いてたりするってこと…?
それ、アクセサリーつける意味あるの…?
「リザ様、一般の《付与術師》は一つしか効果を付けれませんし、使い捨てのアクセサリーは余裕のある冒険者でもない限りは使いません」
「そうなんですね…」
それなら余計にシュナさんにベルトを買って貰えたのは運が良かったという事。
ほぼ文無しだった私に取っては本当にありがたいことだった。
「…それなら、“防具”を使ってみてもらっては?」
「え?まだ試作段階ですよ…?」
「効果実証済みです。勿論、アクセサリーだけでも十分効果はありますが、優秀な冒険者に感想を頂けるチャンスですよ」
「リザは防具も作っているのか?」
「はい、作り始めたばかりですが…」
「見せてくれ」
見せたのは『革のベスト』
鉄や鋼の装備をしている彼らからすれば革で出来ている装備なんて眼中にないはずなのに先入観を持たずにしっかりと吟味してくれているのが嬉しかった。
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