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『やめなさい』
「やめてっ!」
ふいに顔を弱々しい手で包み込まれ目を開けると、桜花が苦しそうに泣いていた。もう1つの声は…
「すい、私は、助けてって言ったの。お父さんを、助けてって」
後ろに佇むもう命は無いはずのものを仰ぎ見る。穏やかに青緑色の液体の中にいる。
「吹聞いてる?これは、助けるじゃない。制裁よ。私は助けて欲しいの。どんな人であれ、父親は父親」
「桜花、僕は桜花が居ればそれでいいんだけど?」
「そんなの、あの人と言ってる事と一緒。そんな事を言う吹とは一緒に居たくない。私は最初に言った。家族でいたいの」
桜花は身軽に吹の腕から降りると、父親の向き合った。
「なぜ、その話し方は……スイッチは押したはず!」
「桜花をあのままにしていたら、桜花は桜花でなくなり、完全な実験された人形になってたはず。僕の細胞は再生能力が高いから少し分けてあげたんだよ」
「分ける…」
いけない事だったかと吹は冷ややかに父である人物を見た。
「私に、私にそれをよこせ!!!!」
思ったよりも大きな声が出て自分でも少し驚いたが、もう狂ってしまったものは元に戻らないのだ。自分が研究者として様々な実験を行い始めた頃から何もかもが狂い始めたのだ。
「お父さん。お母さんを目覚めさせたいなら、吹じゃなくて私を。吹ほどの効果が出るかは分らないけど役に立つと思う」
恐ろしい息子の前に立って真剣な面持ちで娘が言う。狂ってる狂ってる、狂ってるのだ。
『やめなさい!』
ふいに響きわたった声に皆が動きを止めた。
「なぜ、君は、死んだはずじゃ…」
『肉体は保っていられないけれど、私達は家族だから』
「お母さん、私、間違ったかな」
『いいえ。あなたが一番誠実で賢い』
「…母さんと、呼んでいいのかな?」
『当たり前でしょう、貴方は私の大切な息子』
三人は無意識に愛する人の元に集まった。相変わらず目は開けていないし、見るからに息をしていない。なのに、頭の中に声が響く。
『ねぇ、あなた。私達の個人的な感情で子どもたちを巻き込むのは良くないわ。あなたは誰よりも私を愛し、共に生きてくれた。それだけでいい。それだけでいいのよ』
愛する人から発せられる言葉、目の前が滲んでその美しい顔が見えなくなる。消える、消えてしまう。そんなのは嫌だ。
『聞いて、私の願い。皆で仲良く、また地球で暮らして。三人で、仲良くよ』
段々と声が遠くなる。嫌だ、行かないでくれ。まだ何も成し遂げていない。狂ったように生きて、君だけを想って生きてきたのに。君をもう一度この腕で抱きたかっただけなのに。その愛らしい声で名前を呼んでほしかっただけなのに。
「いかないでくれ」
・next story・
「やめてっ!」
ふいに顔を弱々しい手で包み込まれ目を開けると、桜花が苦しそうに泣いていた。もう1つの声は…
「すい、私は、助けてって言ったの。お父さんを、助けてって」
後ろに佇むもう命は無いはずのものを仰ぎ見る。穏やかに青緑色の液体の中にいる。
「吹聞いてる?これは、助けるじゃない。制裁よ。私は助けて欲しいの。どんな人であれ、父親は父親」
「桜花、僕は桜花が居ればそれでいいんだけど?」
「そんなの、あの人と言ってる事と一緒。そんな事を言う吹とは一緒に居たくない。私は最初に言った。家族でいたいの」
桜花は身軽に吹の腕から降りると、父親の向き合った。
「なぜ、その話し方は……スイッチは押したはず!」
「桜花をあのままにしていたら、桜花は桜花でなくなり、完全な実験された人形になってたはず。僕の細胞は再生能力が高いから少し分けてあげたんだよ」
「分ける…」
いけない事だったかと吹は冷ややかに父である人物を見た。
「私に、私にそれをよこせ!!!!」
思ったよりも大きな声が出て自分でも少し驚いたが、もう狂ってしまったものは元に戻らないのだ。自分が研究者として様々な実験を行い始めた頃から何もかもが狂い始めたのだ。
「お父さん。お母さんを目覚めさせたいなら、吹じゃなくて私を。吹ほどの効果が出るかは分らないけど役に立つと思う」
恐ろしい息子の前に立って真剣な面持ちで娘が言う。狂ってる狂ってる、狂ってるのだ。
『やめなさい!』
ふいに響きわたった声に皆が動きを止めた。
「なぜ、君は、死んだはずじゃ…」
『肉体は保っていられないけれど、私達は家族だから』
「お母さん、私、間違ったかな」
『いいえ。あなたが一番誠実で賢い』
「…母さんと、呼んでいいのかな?」
『当たり前でしょう、貴方は私の大切な息子』
三人は無意識に愛する人の元に集まった。相変わらず目は開けていないし、見るからに息をしていない。なのに、頭の中に声が響く。
『ねぇ、あなた。私達の個人的な感情で子どもたちを巻き込むのは良くないわ。あなたは誰よりも私を愛し、共に生きてくれた。それだけでいい。それだけでいいのよ』
愛する人から発せられる言葉、目の前が滲んでその美しい顔が見えなくなる。消える、消えてしまう。そんなのは嫌だ。
『聞いて、私の願い。皆で仲良く、また地球で暮らして。三人で、仲良くよ』
段々と声が遠くなる。嫌だ、行かないでくれ。まだ何も成し遂げていない。狂ったように生きて、君だけを想って生きてきたのに。君をもう一度この腕で抱きたかっただけなのに。その愛らしい声で名前を呼んでほしかっただけなのに。
「いかないでくれ」
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