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ステーションが一際大きく揺れた。ある者はバランスを崩して尻餅を付いてしまうほどの揺れだった。
愛する妻との間に降り立ったそれは初めて見たのに嫌というほど彼だと分かった。彼の腕の中には眠っているのか、それとも死んでしまったのか分からぬ娘の姿。
「戻るつもりは無かったんだけど。父さんが実力行使をするなら向き合わなきゃいけないと思って」
吹は一歩足を踏み出した。思わず後退る。何がそうさせているのかは分からないが、吹から出るオーラによって足が震え出した。
「帰ってきて欲しかったんだよね?ただいま。父さん」
吹はもう一歩近づき無邪気な笑顔で言った。瞬間、コレには敵わない、と思い知らされる。跪け、敵対するな、従え、彼から感じるそうした圧が体の震えを倍増させた。
「長!どうかされましたか?ステーションが大きく揺れたのですが!」
扉を激しく打つ部下の声。
「大丈夫だ、問題ない。民の安否確認を急いでくれ」
「分かりました!」
吹はゆっくりと近づいてくる。後ろはもう無い。冷や汗が背中を伝い気分が悪くなる。
「ねぇ、父さん。僕は桜花が生まれた時、あのよく分からない筒の中で桜花を感じたよ。僕が僕である事を認識する前から桜花は僕と一緒だった」
穏やかそうに話す。笑顔なのに、逆にそれが不気味で何も言えない。喉がからからになって言葉が出ない。
「なのに、やっと会えた桜花は僕を覚えていなかった。それも父さんたちのせいでそうなったと分かった時は怒り狂いそうだった。でも桜花は思い出してくれた。存在こそ見たことなくても、僕が兄で、桜花を大切だって思い続けていた事を」
「お、まえは、形すら、無かっただろう、」
絞り出した声は声にならなかったのに、吹は嬉しそうに笑って答えた。
「その形無い時からの記憶を覚えていられるように研究したのは父さんと母さんだよね。ねぇ、人間には意思がある。僕が目覚めたとき、全部二人に協力するとでも思った?僕は僕で一人の人間になりきれない人間なんだ」
人間になりきれない人間。そんな何かにしてしまったのは自分たち。吹だけでなく桜花も。でも、そんな事より、そう、そんなことよりも、
「私は、妻が生きてくれさえすれば、それでいい」
自分でも思ったより低く呟かれたその言葉は重く苦しいものになった。
「その、最愛の人から生まれた僕達はどうでもいいと?」
「そうだ。現に私はお前が恐ろしい。触れたいとも思わない。桜花ももうお前と同じだ」
それでも吹の細胞が無ければ妻は目を開けることはない。どうしても欲しい。何に変えても欲しいのだ。
吹は目を細めた。こんな人は父親とは呼べない。ならば、遠慮することもない。ゆっくりと目を閉じた。覚悟なんてもういらないのだから。
・next story・
愛する妻との間に降り立ったそれは初めて見たのに嫌というほど彼だと分かった。彼の腕の中には眠っているのか、それとも死んでしまったのか分からぬ娘の姿。
「戻るつもりは無かったんだけど。父さんが実力行使をするなら向き合わなきゃいけないと思って」
吹は一歩足を踏み出した。思わず後退る。何がそうさせているのかは分からないが、吹から出るオーラによって足が震え出した。
「帰ってきて欲しかったんだよね?ただいま。父さん」
吹はもう一歩近づき無邪気な笑顔で言った。瞬間、コレには敵わない、と思い知らされる。跪け、敵対するな、従え、彼から感じるそうした圧が体の震えを倍増させた。
「長!どうかされましたか?ステーションが大きく揺れたのですが!」
扉を激しく打つ部下の声。
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「分かりました!」
吹はゆっくりと近づいてくる。後ろはもう無い。冷や汗が背中を伝い気分が悪くなる。
「ねぇ、父さん。僕は桜花が生まれた時、あのよく分からない筒の中で桜花を感じたよ。僕が僕である事を認識する前から桜花は僕と一緒だった」
穏やかそうに話す。笑顔なのに、逆にそれが不気味で何も言えない。喉がからからになって言葉が出ない。
「なのに、やっと会えた桜花は僕を覚えていなかった。それも父さんたちのせいでそうなったと分かった時は怒り狂いそうだった。でも桜花は思い出してくれた。存在こそ見たことなくても、僕が兄で、桜花を大切だって思い続けていた事を」
「お、まえは、形すら、無かっただろう、」
絞り出した声は声にならなかったのに、吹は嬉しそうに笑って答えた。
「その形無い時からの記憶を覚えていられるように研究したのは父さんと母さんだよね。ねぇ、人間には意思がある。僕が目覚めたとき、全部二人に協力するとでも思った?僕は僕で一人の人間になりきれない人間なんだ」
人間になりきれない人間。そんな何かにしてしまったのは自分たち。吹だけでなく桜花も。でも、そんな事より、そう、そんなことよりも、
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「そうだ。現に私はお前が恐ろしい。触れたいとも思わない。桜花ももうお前と同じだ」
それでも吹の細胞が無ければ妻は目を開けることはない。どうしても欲しい。何に変えても欲しいのだ。
吹は目を細めた。こんな人は父親とは呼べない。ならば、遠慮することもない。ゆっくりと目を閉じた。覚悟なんてもういらないのだから。
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