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104章
元魔王様と王子の忙しい休日 12
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エトワールが魔装した剣で次々にオークを倒していく。
「やはり実戦はいいな。」
良い笑顔でエトワールが呟く。
その表情にどれだけの異性が夢中になるだろうか。
しかし今はオーク達の返り血で恐ろしさの方が上かもしれない。
「王子らしく無い台詞だな。」
「私はこう見えて小さな頃は冒険者に憧れがあったのだ。自由な暮らし、魔物との死闘、胸踊る冒険の数々。昔は英雄譚や冒険譚を読み漁ったものだ。」
昔を懐かしむ様にエトワールが語る。
男の子であれば誰もが一度は夢見る光景だろう。
「だが危険な事はさせてもらえなかったか?」
「立場が立場だからな。父上が国王を引退されれば私達の世代の番となる。姉上は王位継承権を持っているが乗り気では無いし、ステフも私を支えると言ってくれている。」
「継承権争いが起こらなそうでよかったではないか。」
王位を兄弟間で奪い合うなんてよく聞く話しだ。
それを考えると兄弟間で殺伐とした雰囲気にならなくていい分、エトワールは恵まれているだろう。
「それに関してはまだ分からん。継承権は王族だけが有している訳では無いからな。私達よりは低くても王位継承権を持つ貴族はそれなりにいるのだ。」
「王家の血を引く貴族達か。」
「そう言う事だ。」
ジャミール王国の王家は歴史が長い事もあり、貴族の中で血を引いている者は少なくない。
そう言った者達も継承権は低いながらも持ってはいる。
今の王族達に何かあればその者達が選ばれる事になるのだ。
「だがジャミール王国を任せるには危うい者も多い。だから私は王子として、未来の国王になる為に日々精進している。故に憧れの冒険者をしている余裕は無いので、貴重な休日に今回の様な冒険者の真似事をしていると言う訳だ。」
夢は夢のまま叶う事は無い。
なので少しくらい味わえる様に休日を削って夢の再現をしている。
なのでエトワールはジルやソートが思っている以上に今の状況を楽しんでいるのだ。
「エトも大変だな。」
「まあな。もっと王位に興味を持つ兄弟がいれば私も譲っていたところなのだがな。」
残念ながらエトワールの兄弟は姉と妹だけである。
どちらも興味を示していない以上、不安の残る者達に託すよりは自分がなった方が安全だ。
「その時は冒険者になっていたのか?」
「それも楽しそうだ。私の友人には王子でありながら冒険者をしている者もいてな。私がもう少し要領が良くて戦闘の才能があれば同じ様になっていたかもしれない。」
頭の中に思い浮かべた人物を羨ましがりつつエトワールが言う。
親しい友人ではあるが、昔は何度も同じ立場になってみたいと妬んだものだ。
「ほう、実際にやっている者がいるのだな。」
「その友人はキリアル帝国の王子なのだが、ジルは訪れた事はあるか?」
「いや、行った事は無いな。」
キリアル帝国を訪れた事は無いが聞いた事ならある。
前に起こった王城襲撃の際にステファニアと共に助けたステリアルと言う女性がキリアル帝国の皇女だったのだ。
「そうか、機会があれば行ってみるといい。ジャミール王国とは古くからの間柄で関係は良好。武に関しては私達の国を含める周辺諸国を遥かに上回る程だ。」
「国家戦力であるSランクが沢山いるとかか?」
「それもあるな。我が国であればラブリート殿が国家戦力であるが、キリアル帝国は数人抱え込んでいた筈だ。」
冒険者のSランクは化け物と呼ばれるランク帯であり、国にとっては国家戦力と呼ばれている最強の個だ。
そんな者達が複数人いれば簡単に戦争を仕掛けられるレベルである。
「それは凄まじい戦力だろうな。」
「だがそれだけでは無く、皇族が少し特殊でな。」
「皇族が?」
「ああ、血筋が関係しているのは確からしいのだが、代々キリアル帝国の皇族達は産まれながらにして魔法適性を持つ者が産まれないらしい。その代わりに強力なスキルを持って産まれてくるのだと言う。私の友人もかなり強力なスキルを所持していると聞いた。」
キリアル帝国の皇族は皆等しく魔法の適性が無い。
一切無いので何かしらの基礎魔法を使える者もいない。
代わりに所持者が極端に少ない珍しく強力なスキルを持って産まれてくる。
代々の皇族達はスキルの力でキリアル帝国を大きくしていき、今では世界的に見ても大国と呼ばれるまでに至ったのだ。
「そのスキルは前に王城であったステリアル皇女も持っているのか?」
「そう言えばジルはステリアル皇女と面識があったんだったな。皇族の血を引いているから何らかのスキルは所持しているだろう。」
キリアル帝国の皇族のスキルは重要な情報だ。
エトワールと言えど把握はしていない。
「ふむ、また会えるかは分からないがその時にでも尋ねてみるとするか。」
「会いたいのか?」
「少しスキルが気になるくらいだな。強力なスキルと言うのがどれ程の物か見てみたい。」
ジルは前世を通してスキルにはかなり詳しい方だ。
そんなジルでも知らないスキルがあるとするならば一度見てみたい。
「成る程な。これはもしかすると引き受けてくれるか。」
エトワールの後半の呟きはジルの耳に届く事は無かった。
「やはり実戦はいいな。」
良い笑顔でエトワールが呟く。
その表情にどれだけの異性が夢中になるだろうか。
しかし今はオーク達の返り血で恐ろしさの方が上かもしれない。
「王子らしく無い台詞だな。」
「私はこう見えて小さな頃は冒険者に憧れがあったのだ。自由な暮らし、魔物との死闘、胸踊る冒険の数々。昔は英雄譚や冒険譚を読み漁ったものだ。」
昔を懐かしむ様にエトワールが語る。
男の子であれば誰もが一度は夢見る光景だろう。
「だが危険な事はさせてもらえなかったか?」
「立場が立場だからな。父上が国王を引退されれば私達の世代の番となる。姉上は王位継承権を持っているが乗り気では無いし、ステフも私を支えると言ってくれている。」
「継承権争いが起こらなそうでよかったではないか。」
王位を兄弟間で奪い合うなんてよく聞く話しだ。
それを考えると兄弟間で殺伐とした雰囲気にならなくていい分、エトワールは恵まれているだろう。
「それに関してはまだ分からん。継承権は王族だけが有している訳では無いからな。私達よりは低くても王位継承権を持つ貴族はそれなりにいるのだ。」
「王家の血を引く貴族達か。」
「そう言う事だ。」
ジャミール王国の王家は歴史が長い事もあり、貴族の中で血を引いている者は少なくない。
そう言った者達も継承権は低いながらも持ってはいる。
今の王族達に何かあればその者達が選ばれる事になるのだ。
「だがジャミール王国を任せるには危うい者も多い。だから私は王子として、未来の国王になる為に日々精進している。故に憧れの冒険者をしている余裕は無いので、貴重な休日に今回の様な冒険者の真似事をしていると言う訳だ。」
夢は夢のまま叶う事は無い。
なので少しくらい味わえる様に休日を削って夢の再現をしている。
なのでエトワールはジルやソートが思っている以上に今の状況を楽しんでいるのだ。
「エトも大変だな。」
「まあな。もっと王位に興味を持つ兄弟がいれば私も譲っていたところなのだがな。」
残念ながらエトワールの兄弟は姉と妹だけである。
どちらも興味を示していない以上、不安の残る者達に託すよりは自分がなった方が安全だ。
「その時は冒険者になっていたのか?」
「それも楽しそうだ。私の友人には王子でありながら冒険者をしている者もいてな。私がもう少し要領が良くて戦闘の才能があれば同じ様になっていたかもしれない。」
頭の中に思い浮かべた人物を羨ましがりつつエトワールが言う。
親しい友人ではあるが、昔は何度も同じ立場になってみたいと妬んだものだ。
「ほう、実際にやっている者がいるのだな。」
「その友人はキリアル帝国の王子なのだが、ジルは訪れた事はあるか?」
「いや、行った事は無いな。」
キリアル帝国を訪れた事は無いが聞いた事ならある。
前に起こった王城襲撃の際にステファニアと共に助けたステリアルと言う女性がキリアル帝国の皇女だったのだ。
「そうか、機会があれば行ってみるといい。ジャミール王国とは古くからの間柄で関係は良好。武に関しては私達の国を含める周辺諸国を遥かに上回る程だ。」
「国家戦力であるSランクが沢山いるとかか?」
「それもあるな。我が国であればラブリート殿が国家戦力であるが、キリアル帝国は数人抱え込んでいた筈だ。」
冒険者のSランクは化け物と呼ばれるランク帯であり、国にとっては国家戦力と呼ばれている最強の個だ。
そんな者達が複数人いれば簡単に戦争を仕掛けられるレベルである。
「それは凄まじい戦力だろうな。」
「だがそれだけでは無く、皇族が少し特殊でな。」
「皇族が?」
「ああ、血筋が関係しているのは確からしいのだが、代々キリアル帝国の皇族達は産まれながらにして魔法適性を持つ者が産まれないらしい。その代わりに強力なスキルを持って産まれてくるのだと言う。私の友人もかなり強力なスキルを所持していると聞いた。」
キリアル帝国の皇族は皆等しく魔法の適性が無い。
一切無いので何かしらの基礎魔法を使える者もいない。
代わりに所持者が極端に少ない珍しく強力なスキルを持って産まれてくる。
代々の皇族達はスキルの力でキリアル帝国を大きくしていき、今では世界的に見ても大国と呼ばれるまでに至ったのだ。
「そのスキルは前に王城であったステリアル皇女も持っているのか?」
「そう言えばジルはステリアル皇女と面識があったんだったな。皇族の血を引いているから何らかのスキルは所持しているだろう。」
キリアル帝国の皇族のスキルは重要な情報だ。
エトワールと言えど把握はしていない。
「ふむ、また会えるかは分からないがその時にでも尋ねてみるとするか。」
「会いたいのか?」
「少しスキルが気になるくらいだな。強力なスキルと言うのがどれ程の物か見てみたい。」
ジルは前世を通してスキルにはかなり詳しい方だ。
そんなジルでも知らないスキルがあるとするならば一度見てみたい。
「成る程な。これはもしかすると引き受けてくれるか。」
エトワールの後半の呟きはジルの耳に届く事は無かった。
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