【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

文字の大きさ
930 / 1,122
105章

元魔王様と空を泳ぐ魔魚 8

しおりを挟む
 ソードフィッシュ狩りを終えたジル達は王都へと戻ってきた。
皆で倉庫に向かい簡単な解体作業を行う。

「ジル兄ちゃん、ソードフィッシュの解体はこれで全部終わりました。」

「ジルお兄さん、グレートバッファローやワイバーンの解体も終了です。」

「ご苦労、さすがに解体慣れしているな。」

 ラウやミミが手の空いている孤児達を呼んできてくれたおかげで今日狩ってきた魔物の解体は全て終わらせる事が出来た。

「ん?ミチチカ達はどうした?」

「お姉ちゃん達なら自分達の解体を終わらせて我慢出来無いって出て行きましたね。」

「塩焼きやお酒の用意をするって言ってましたよ。」

「相変わらずの酒飲みだな。」

 今年最初のソードフィッシュを早く食べたくて我慢が出来無かった様子だ。
ジル達の解体が終わるのを待てずに用意を始めているらしい。

「さて、お前達のおかげで解体も終わらせる事が出来た。報酬の内訳に関してはどうする?」

「私達は見学させてもらえただけでも勉強になりました。なので報酬に関してはジルお兄さんが決めて下さい。」

「そうですね、貴重な体験をさせてもらいましたから。少しばかり貰えれば充分です。」

 ジルと一緒に依頼を受けるなんて大金を積んでも実現出来るか分からない。
そんな貴重な体験をさせてもらえただけでも二人にとっては充分な報酬だ。

「ちなみに食料と金ならどちらが欲しいんだ?」

「「お金です。」」

 ジルの質問に二人が一切迷う事無く答える。
孤児にとっては何よりもお金が必要だ。

「ならばそうしよう。ソードフィッシュの角は売れるんだったな?」

「はい、投擲武器として使われていますから。」

「ギルドでも買い取りをしてくれますよ。」

「一先ず売ってみるか。」

 どれくらいになるのか分からないので解体が終わったソードフィッシュの角を一纏めにしてギルドで買い取ってもらった。

「思ったよりも安かったな。」

「ソードフィッシュは身の方が求められますからね。」

「それでも数が多かったので良いお値段になったと思いますよ。」

「ではこれはお前達に渡す。」

 小金貨や銀貨の入った小袋を差し出す。

「え?でもそれだとジル兄ちゃんの取り分が無いですよ?」

「そうですよ、全部なんて頂けません。」

「こんなに?何を言っている。これだけではお前達の仕事に見合わないだろう。」

「「えっ!?」」

 小袋の中身を全て受け取る事は出来無いと言う二人だが、ジルからすれば今回の働きを考えればこんな端金では釣り合わないと思っている。

「解体の礼も込めてこれくらいか。」

 ジルが無限倉庫から取り出した金貨を小袋の中にジャラジャラと落として追加していく。
細長かった小袋がパンパンに膨れ上がる。

「貰い過ぎですよ!」

「解体くらいでこんなお金貰う人はいません!」

 追加された金額に二人が小袋を押し返そうとしてくる。

「価値観の違いだな。お前達にとって大した事が無い解体作業も我にとっては面倒事だ。自分では一切しないから金を払って引き受けてくれるなら助かるのだ。」

 そう言ってジルは無理矢理ラウに小袋を押し付けた。
受け取りを拒否する様に腕組みをする。

「…本当にこんなにいいんですか?」

「ああ、それにお前達が受け取らなければ他の者も貰いづらいだろう。」

 今渡したのは二人への報酬だ。
解体を手伝ってくれた孤児達へも別に渡すつもりなのだ。

「「あ、ありがとうございます。」」

 二人が深々と頭を下げてお礼を言ってくる。
小袋を受け取ってくれたので他の孤児達にも順番にお礼を渡していく。

「「「お兄ちゃん、ありがとう!」」」

「計画的に使うんだぞ。」

 皆大金を得られて嬉しそうに笑っていた。
暫く金銭面で困る事は無いだろう。

「ラウ、ミミ、ワイバーンとグレートバッファローの肉はどれくらい必要だ?」

「え!?お金だけでも貰い過ぎなくらいなのにお肉までいいんですか!?」

「食べ盛りが多いのだろう?腹一杯食べさせてやれ。」

 解体している時に皆何度も肉を見て唾を飲み込んでいた。
どちらも高級肉なので孤児達では滅多に食べる事が出来無いのだ。

「すみません、お言葉に甘えさせてもらいます。ですが量はジルお兄さんにお任せします。お金だけでも暫く食べるのには困りませんから。」

 今回のジルからの報酬は凄まじい金額だった。
暫く孤児達にひもじい思いをさせずに済むだろう。

「ならばグレートバッファローはセダンでは手に入らないから我が多めに貰っていく。ワイバーンはまだ在庫があらから半分くらいはお前達に渡そう。ついでにソードフィッシュも幾らか持っていくといい。」

「「ありがとうございます。」」

 ジルから報酬を受け取って嬉しそうに頭を下げる二人だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...