【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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107章

元魔王様と伝説の剣の製作者 4

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 ユメノに案内されてエルダードワーフの鍛治師の店へと向かうジル達。
大通りを進んでいると人気がどんどん無くなっていく。

「ねえユメノ、本当にこんな場所にあるの?」

 進むに連れて建物がどんどん少なくなっている。
まるで別の街みたいだ。

「静かな場所で作業をしたい方だったので首都の中でも人があまりいない場所を選んで鍛冶場を作ったと聞きました。」

「まあ、伝説の鍛治師だもんね。街中だと訪問者が多くて仕事にならないのかも。」

 ユメノの記憶を頼りに鍛治師の店へと向かって進んでいく。
暫く歩いていると遠くに一軒の建物が見えてきた。

「一応ここなのですが。」

「間違い無いのか?」

「ボロボロじゃぞ?」

 外観はかなり古くて手入れがされていない様に見える。
ユメノも以前訪れた時と様子が変わっていて少し不安そうだ。

「以前は剣を打つ音も聞こえていたのですけど留守なのでしょうか?」

 鍛冶場と言うにはあまりにも静か過ぎる。
剣を打つ音どころか物音一つしない。

「すみません、少しお話しを宜しいでしょうか?」

 ユメノが扉を軽く叩いてみるが返事は無い。

「いないみたいだな。」

「えー、本当にいないの?ねえ、誰かいないかしら?」

 せっかくここまで来たので会えずに帰る訳にはいかない。
ルルネットも扉を何度か軽く叩いて中に問い掛ける。

「あれ?空いてるわよ?」

「本当ですね。」

 扉を叩いている最中に施錠されていない事に気付く。一先ず開けて確かめる事にする。
扉を開くとカビ臭さと埃が舞う。

「ケホッケホッ。ちょっと何これ。」

「うっ、凄まじい埃じゃぞ。」

「主様~、目が痛いの~。」

 急いで入り口から遠ざかり落ち着くのを待つ。
外装同様に中も全く手入れされている様子が無い。

「全く使われていないみたいですね。」

「この状態では移り住んだ可能性が高いか。」

「そんなー!?」

 せっかく会えると思った鍛治師が引っ越してしまったかもしれないと聞いてルルネットが声を上げる。

「ん?ルルネット、少し静かにするの。」

「え?どうかしたの?」

「何か家の中から聞こえるの。」

「家の中から?」

 ホッコが何か家の中から音が聞こえたと言う。
その言葉で皆も耳を澄ませてみるが特に何も聞こえない。

「勘違いじゃない?」

「確かに聞こえるの。誰かいるの。」

「ホッコ殿の聴覚は妾達よりも鋭いからのう。」

「一先ず確かめてみるか。」

 埃塗れの室内に静かに入って確かめてみる事にする。
入り口には誰も見えないので奥に進んでいくと、床に倒れている人を発見する。

「あっ!人が倒れているわよ!」

「ま、まさか!?」

 ユメノは急いで駆け寄って倒れている人が生きているか確認している。
倒れていた者の背はかなり低く立派な髭が生えている。
外見の特徴からも分かる通り、この者はドワーフ族なので目当ての鍛治師である可能性が高い。

「ふぅ、よかったです。息はあるみたいですね。」

 生きている事を確認してユメノが安心している。

「ってかこの人酒臭い!?」

「鼻が曲がりそうなの。」

 ルルネットとホッコが鼻を抑えて後退る。
入り口にいても臭うので相当呑んだ様子だ。

「よく見れば周りは酒瓶まみれじゃな。さすがはドワーフ族じゃのう。」

 このドワーフが倒れていたのは、ただ酔って寝ていただけであった。

「ちなみにユメノ、お前が言っていたエルダードワーフとはこの者で合っているのか?」

「はい、間違いありません。」

「か、感動が薄れてしまいそうだわ。」

 酔っ払って床で寝ている伝説の鍛治師を見ながらルルネットが呟く。
第一印象がこれではそう思うのも無理はない。

「あれ?珍しくお店の方が騒がしいから来てみたら貴方達は誰ですか?」

 外の方から声が聞こえて振り向くとルルネットと同じくらいの背丈の女の子が立っていた。

「ん?子供?」

「子供とは失礼な!私はこれでも20歳です!」

 ルルネットの言葉に両腕を振り上げながら頬を膨らませて怒っている。
その身長に仕草も相まって20歳には見えない。

「20歳にしては随分と小さいわね。私と殆ど変わらないわよ?」

「小さくて悪かったですね!人族の基準で測るのは止めて下さい!私達ドワーフ族だとこれが平均なんです!」

 ドワーフ族であればこの身長の小ささも納得だ。
ドワーフ族の女性は男性と違って髭が無いので一見すると人族の子供にしか見えないので間違われやすいのだ。

「そこで寝ているのは私のお爺ちゃんです!泥棒だとしたら狙う家を間違えているのでさっさと出て行って下さい!」

 そう言って女の子は立て掛けてあった箒を手に取って構え始める。

「ちょっと!いきなり泥棒呼ばわりしないでよ!私は伝説の鍛治師に会う為に尋ねてきた善良な人族よ!」

「それはつまりお爺ちゃんに会う為に来たと言う事ですか?」

「そうよ。」

「…一先ず話しを聞きましょう。」

 ドワーフ族の女性はそう言って箒を持つ手を下ろしてくれるのだった。
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