948 / 1,122
107章
元魔王様と伝説の剣の製作者 4
しおりを挟む
ユメノに案内されてエルダードワーフの鍛治師の店へと向かうジル達。
大通りを進んでいると人気がどんどん無くなっていく。
「ねえユメノ、本当にこんな場所にあるの?」
進むに連れて建物がどんどん少なくなっている。
まるで別の街みたいだ。
「静かな場所で作業をしたい方だったので首都の中でも人があまりいない場所を選んで鍛冶場を作ったと聞きました。」
「まあ、伝説の鍛治師だもんね。街中だと訪問者が多くて仕事にならないのかも。」
ユメノの記憶を頼りに鍛治師の店へと向かって進んでいく。
暫く歩いていると遠くに一軒の建物が見えてきた。
「一応ここなのですが。」
「間違い無いのか?」
「ボロボロじゃぞ?」
外観はかなり古くて手入れがされていない様に見える。
ユメノも以前訪れた時と様子が変わっていて少し不安そうだ。
「以前は剣を打つ音も聞こえていたのですけど留守なのでしょうか?」
鍛冶場と言うにはあまりにも静か過ぎる。
剣を打つ音どころか物音一つしない。
「すみません、少しお話しを宜しいでしょうか?」
ユメノが扉を軽く叩いてみるが返事は無い。
「いないみたいだな。」
「えー、本当にいないの?ねえ、誰かいないかしら?」
せっかくここまで来たので会えずに帰る訳にはいかない。
ルルネットも扉を何度か軽く叩いて中に問い掛ける。
「あれ?空いてるわよ?」
「本当ですね。」
扉を叩いている最中に施錠されていない事に気付く。一先ず開けて確かめる事にする。
扉を開くとカビ臭さと埃が舞う。
「ケホッケホッ。ちょっと何これ。」
「うっ、凄まじい埃じゃぞ。」
「主様~、目が痛いの~。」
急いで入り口から遠ざかり落ち着くのを待つ。
外装同様に中も全く手入れされている様子が無い。
「全く使われていないみたいですね。」
「この状態では移り住んだ可能性が高いか。」
「そんなー!?」
せっかく会えると思った鍛治師が引っ越してしまったかもしれないと聞いてルルネットが声を上げる。
「ん?ルルネット、少し静かにするの。」
「え?どうかしたの?」
「何か家の中から聞こえるの。」
「家の中から?」
ホッコが何か家の中から音が聞こえたと言う。
その言葉で皆も耳を澄ませてみるが特に何も聞こえない。
「勘違いじゃない?」
「確かに聞こえるの。誰かいるの。」
「ホッコ殿の聴覚は妾達よりも鋭いからのう。」
「一先ず確かめてみるか。」
埃塗れの室内に静かに入って確かめてみる事にする。
入り口には誰も見えないので奥に進んでいくと、床に倒れている人を発見する。
「あっ!人が倒れているわよ!」
「ま、まさか!?」
ユメノは急いで駆け寄って倒れている人が生きているか確認している。
倒れていた者の背はかなり低く立派な髭が生えている。
外見の特徴からも分かる通り、この者はドワーフ族なので目当ての鍛治師である可能性が高い。
「ふぅ、よかったです。息はあるみたいですね。」
生きている事を確認してユメノが安心している。
「ってかこの人酒臭い!?」
「鼻が曲がりそうなの。」
ルルネットとホッコが鼻を抑えて後退る。
入り口にいても臭うので相当呑んだ様子だ。
「よく見れば周りは酒瓶まみれじゃな。さすがはドワーフ族じゃのう。」
このドワーフが倒れていたのは、ただ酔って寝ていただけであった。
「ちなみにユメノ、お前が言っていたエルダードワーフとはこの者で合っているのか?」
「はい、間違いありません。」
「か、感動が薄れてしまいそうだわ。」
酔っ払って床で寝ている伝説の鍛治師を見ながらルルネットが呟く。
第一印象がこれではそう思うのも無理はない。
「あれ?珍しくお店の方が騒がしいから来てみたら貴方達は誰ですか?」
外の方から声が聞こえて振り向くとルルネットと同じくらいの背丈の女の子が立っていた。
「ん?子供?」
「子供とは失礼な!私はこれでも20歳です!」
ルルネットの言葉に両腕を振り上げながら頬を膨らませて怒っている。
その身長に仕草も相まって20歳には見えない。
「20歳にしては随分と小さいわね。私と殆ど変わらないわよ?」
「小さくて悪かったですね!人族の基準で測るのは止めて下さい!私達ドワーフ族だとこれが平均なんです!」
ドワーフ族であればこの身長の小ささも納得だ。
ドワーフ族の女性は男性と違って髭が無いので一見すると人族の子供にしか見えないので間違われやすいのだ。
「そこで寝ているのは私のお爺ちゃんです!泥棒だとしたら狙う家を間違えているのでさっさと出て行って下さい!」
そう言って女の子は立て掛けてあった箒を手に取って構え始める。
「ちょっと!いきなり泥棒呼ばわりしないでよ!私は伝説の鍛治師に会う為に尋ねてきた善良な人族よ!」
「それはつまりお爺ちゃんに会う為に来たと言う事ですか?」
「そうよ。」
「…一先ず話しを聞きましょう。」
ドワーフ族の女性はそう言って箒を持つ手を下ろしてくれるのだった。
大通りを進んでいると人気がどんどん無くなっていく。
「ねえユメノ、本当にこんな場所にあるの?」
進むに連れて建物がどんどん少なくなっている。
まるで別の街みたいだ。
「静かな場所で作業をしたい方だったので首都の中でも人があまりいない場所を選んで鍛冶場を作ったと聞きました。」
「まあ、伝説の鍛治師だもんね。街中だと訪問者が多くて仕事にならないのかも。」
ユメノの記憶を頼りに鍛治師の店へと向かって進んでいく。
暫く歩いていると遠くに一軒の建物が見えてきた。
「一応ここなのですが。」
「間違い無いのか?」
「ボロボロじゃぞ?」
外観はかなり古くて手入れがされていない様に見える。
ユメノも以前訪れた時と様子が変わっていて少し不安そうだ。
「以前は剣を打つ音も聞こえていたのですけど留守なのでしょうか?」
鍛冶場と言うにはあまりにも静か過ぎる。
剣を打つ音どころか物音一つしない。
「すみません、少しお話しを宜しいでしょうか?」
ユメノが扉を軽く叩いてみるが返事は無い。
「いないみたいだな。」
「えー、本当にいないの?ねえ、誰かいないかしら?」
せっかくここまで来たので会えずに帰る訳にはいかない。
ルルネットも扉を何度か軽く叩いて中に問い掛ける。
「あれ?空いてるわよ?」
「本当ですね。」
扉を叩いている最中に施錠されていない事に気付く。一先ず開けて確かめる事にする。
扉を開くとカビ臭さと埃が舞う。
「ケホッケホッ。ちょっと何これ。」
「うっ、凄まじい埃じゃぞ。」
「主様~、目が痛いの~。」
急いで入り口から遠ざかり落ち着くのを待つ。
外装同様に中も全く手入れされている様子が無い。
「全く使われていないみたいですね。」
「この状態では移り住んだ可能性が高いか。」
「そんなー!?」
せっかく会えると思った鍛治師が引っ越してしまったかもしれないと聞いてルルネットが声を上げる。
「ん?ルルネット、少し静かにするの。」
「え?どうかしたの?」
「何か家の中から聞こえるの。」
「家の中から?」
ホッコが何か家の中から音が聞こえたと言う。
その言葉で皆も耳を澄ませてみるが特に何も聞こえない。
「勘違いじゃない?」
「確かに聞こえるの。誰かいるの。」
「ホッコ殿の聴覚は妾達よりも鋭いからのう。」
「一先ず確かめてみるか。」
埃塗れの室内に静かに入って確かめてみる事にする。
入り口には誰も見えないので奥に進んでいくと、床に倒れている人を発見する。
「あっ!人が倒れているわよ!」
「ま、まさか!?」
ユメノは急いで駆け寄って倒れている人が生きているか確認している。
倒れていた者の背はかなり低く立派な髭が生えている。
外見の特徴からも分かる通り、この者はドワーフ族なので目当ての鍛治師である可能性が高い。
「ふぅ、よかったです。息はあるみたいですね。」
生きている事を確認してユメノが安心している。
「ってかこの人酒臭い!?」
「鼻が曲がりそうなの。」
ルルネットとホッコが鼻を抑えて後退る。
入り口にいても臭うので相当呑んだ様子だ。
「よく見れば周りは酒瓶まみれじゃな。さすがはドワーフ族じゃのう。」
このドワーフが倒れていたのは、ただ酔って寝ていただけであった。
「ちなみにユメノ、お前が言っていたエルダードワーフとはこの者で合っているのか?」
「はい、間違いありません。」
「か、感動が薄れてしまいそうだわ。」
酔っ払って床で寝ている伝説の鍛治師を見ながらルルネットが呟く。
第一印象がこれではそう思うのも無理はない。
「あれ?珍しくお店の方が騒がしいから来てみたら貴方達は誰ですか?」
外の方から声が聞こえて振り向くとルルネットと同じくらいの背丈の女の子が立っていた。
「ん?子供?」
「子供とは失礼な!私はこれでも20歳です!」
ルルネットの言葉に両腕を振り上げながら頬を膨らませて怒っている。
その身長に仕草も相まって20歳には見えない。
「20歳にしては随分と小さいわね。私と殆ど変わらないわよ?」
「小さくて悪かったですね!人族の基準で測るのは止めて下さい!私達ドワーフ族だとこれが平均なんです!」
ドワーフ族であればこの身長の小ささも納得だ。
ドワーフ族の女性は男性と違って髭が無いので一見すると人族の子供にしか見えないので間違われやすいのだ。
「そこで寝ているのは私のお爺ちゃんです!泥棒だとしたら狙う家を間違えているのでさっさと出て行って下さい!」
そう言って女の子は立て掛けてあった箒を手に取って構え始める。
「ちょっと!いきなり泥棒呼ばわりしないでよ!私は伝説の鍛治師に会う為に尋ねてきた善良な人族よ!」
「それはつまりお爺ちゃんに会う為に来たと言う事ですか?」
「そうよ。」
「…一先ず話しを聞きましょう。」
ドワーフ族の女性はそう言って箒を持つ手を下ろしてくれるのだった。
5
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる