【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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108章

元魔王様と毒沼地帯の戦い 5

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 毒沼から飛び出してきたポイズンセンチピードは凄まじい大きさだ。
それなのにまだ身体の全体が見えていない。

「どれだけ大きいのよー!?」

 大きくても見た目は百足なのでルルネットは悲鳴を上げている。
ルルネットで無くてもこの大きさの百足だと苦手に思う者は多いだろう。

「ホッコ殿、一人で大丈夫か?」

「やってみるの!」

 ホッコは龍聖剣を抜いて前に出る。

「キシシシ!」

「風刃なの!」

 龍聖剣を振るって風の刃を放つ。
真っ直ぐポイズンセンチピードに向かっていくが、体表に当たると弾かれてしまった。
身体の大きさに対して攻撃が小さ過ぎて殆ど効いていない様だ。

「ホッコちゃんの速度が上がりましたね。」

「敏捷補正のおかげだろう。剣を抜いている間は効果を発揮してくれる。」

 風刃のスキルでは有効打を与えられ無いと判断して接近していく。
龍聖剣に付加された敏捷補正のスキルのおかげで素早く移動出来ている。

「ライトニングなの!」

「キシシシ!?」

 身体に当たった雷にポイズンセンチピードが大きく揺れている。
雷霆魔法は苦手なのかもしれない。

「魔法の威力も上がっている様に見えますね。」

「あれは魔法効果上昇のスキルのおかげじゃろう。ホッコ殿の龍聖剣には様々なスキルが付加されておるからのう。」

 龍聖剣のおかげでホッコは人型で戦う時に様々な恩恵を得られる。
希少な素材を惜しげも無く使って作っただけはある。

「そんなにスキルが付加されている剣なんですか?一体そんな物をどこで。」

「これは作ったのだ。鍛治師では無くスキルでな。」

「スキルで剣を?」

「元々王都で店を出していたドメスと言う者に頼んだ。ドラゴンの素材を使用しているから、国宝級の剣に仕上がってくれたぞ。」

「スキルで国宝級の武具を生み出せるとは。」

 ユメノは素直に感心している。
これだけの武具となるとダンジョンでも珍しい部類のドロップであり、鍛治師ならばエルダードワーフくらいでなければ作り出す事は出来無い。
そんな武具をスキルで生み出せるとは凄い事なのだ。

 だがドメスのスキルを使用する為には色々と素材が必要となるので簡単な事では無い。
楽して国宝級の武具なんて生み出せないと言う事だ。

「ここなの!アイシクルエンチャントなの!」

 ポイズンセンチピードが雷霆魔法を嫌がっている間にホッコはその巨体を駆け上がって頭部付近を狙う。
氷結魔法で強化した龍聖剣を振るうが、硬い金属音を響かせて弾き返されてしまう。

「かったいの!?」

 手が痺れて龍聖剣を落としそうになるがなんとか堪える。
しかしその隙を見逃すポイズンセンチピードではない。

「キシシシ!」

 空中で無防備となったホッコに毒液を噴射する。

「上級神聖魔法、ディバインシールドなの!」

 空中での回避は難しいと判断してホッコが魔法による聖なる盾を生み出す。
光り輝く聖なる盾に毒液が直撃するが、ホッコには一滴たりとも通さない。

「ほう、いつの間にか使える魔法が増えているな。」

「ホッコ殿も浮島の住人達相手に訓練を頑張っておるからのう。最近ではタイプDに魔法の猛特訓をしてもらっておるらしいぞ。」

「タイプDか。少し不安はあるものの、ホッコにとっては最も適した師匠かもな。」

 凡ゆる魔法適性を持つタイプDであれば魔法の指導はお手のものだ。
上級神聖魔法の詠唱破棄が出来ているところを見ると教え方も問題無さそうである。

「今度はその硬い殻を砕くの!ソニックなの!」

「キシシシ!?」

 一瞬でホッコの姿が消えてしまいポイズンセンチピードは見失う。
辺りを見回して探しているが、ホッコが現れたのは死角となる背後だ。

「とっておきをくらうの!龍爪なの!」

 氷結魔法の強化だけで無く、魔装まで加えた全力の一撃を叩き込む。
すると龍聖剣がポイズンセンチピードの体表に僅かに食い込む。

 しかしホッコはスキルを使用したのでこれだけでは終わらない。
龍聖剣が食い込んだ辺りに巨大な爪で引き裂く様な追撃が加わった。
硬い体表をバキバキと破壊して大きな傷跡を刻む。

「キシシシ!?」

「良い一撃じゃ!」

「鳴き声も動きも最悪だわ。」

 思わぬダメージにポイズンセンチピードが絶叫を上げている。
確実に良い一撃が入ったのが分かる。

「追撃するの!」

「ホッコ!離れろ!」

「っ!」

 ジルの声を聞くと一瞬でその場を飛び退くホッコ。
その直後、ホッコのいた場所に毒液が複数浴びせられた。

「な、何じゃ!?」

「新手ですか?」

「「「キシシシ。」」」

「ひええええ!?」

 毒沼から小さなポイズンセンチピードが何体も顔を出している。
苦手な百足の数が増えてルルネットの顔は真っ青だ。

「まだ小さい個体ですね。親を守ろうと出てきたのでしょう。」

「さすがにこの数はホッコだと厳しいだろう。新手は我が片付けるとするか。」

 そう言ってジルが銀月を抜こうとする。
すると影丸が鼻先でツンツンと押してきた。

「ん?何だ影丸?」

「ウォンウォン。」

「自分に任せろと言っておる様じゃぞ。」

 新たに現れた方は影丸が片付けてくれるらしい。

「そうか、ならば任せるとしよう。」

「それでは降りますね。」

 ユメノが戦う影丸の邪魔にならない様に背中から降りようとする。

「ユメノ殿、そのままでも大丈夫じゃぞ。」

「え?戦うのに乗ったままでは邪魔になりませんか?」

「問題無かろう。この毒沼地帯は高い木々に覆われていて暗い。影丸にとっては最高の環境じゃ。」

「ウォォォン!」

 影丸はユメノを背中に乗せたまま操影のスキルを発動させる。
すると自身の影だけで無く木々の影さえも形を変えて、毒沼の中にいたポイズンセンチピード達を刺し貫いた。
一歩も動く事無く新たに現れた魔物を倒してしまった。

「え!?木の影が槍みたいになって突き刺したわよ!?」

「操影のスキルじゃ。影丸が上位種に進化した事により、自身の影が重なっている他の影も操れる様になったのじゃ。」

「やるではないか。」

「ウォン。」

 ジルに褒められて誇らし気に鳴いている影丸だった。
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