【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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110章

元魔王様と強者集う本戦 2

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 第四ブロックの二回戦は両者譲らぬ大激闘であり観客も大盛り上がりである。
多くの者が雷帝サンドルの圧勝に終わるだろうと思っていた戦いだったが、互角に戦うジルに驚きを隠せない様子だ。

「ここまでの雷霆魔法の使い手と会うのはいつ以来でしょうか。」

 サンドルが驚きと共に呟く。
雷帝の二つ名を付けられるだけあってサンドルの雷霆魔法の適性は非常に高い。
ジルはそんなさんどると同等以上の雷霆魔法の適性を持っているのだ。

「それは我もだ。さすがは雷帝と呼ばれるだけあるな。」

 ジルからしても転生後に見た中ではトップクラスの適性の高さだ。
さすがはSランク冒険者である。

「まだまだですよ。雷帝の二つ名を頂いた私の実力はこんなものではありません。」

 超高速戦闘は止めてサンドルが立ち止まる。
ジルも何かしてくるのだろうと身構える。

「これで決まればいいのですが。」

「何か大技を放つつもりだな。受けてやろう。」

 サンドルの攻撃を警戒して銀月を構える。
そのサンドルは左手に長槍を持っているのだが、何も持っていない方の右手を高々と掲げた。

天召御雷てんしょうみかずち!」

 サンドルが右手を振り下ろすと同時に天から巨大な雷がジル目掛けて降り落ちた。
視界が白く染まり轟音が鳴り響き、サンドルの落とした雷が闘技場を破壊していく。

「出ましたー!サンドル選手が雷帝と呼ばれる所以となった神々しい雷による一撃!必殺の威力を秘めた一撃がジル選手に襲い掛かったー!」

「「「わああああ!」」」

 サンドルが滅多に使う事の無い大技を披露した事で観客の盛り上がりも最高潮だ。
そうさせるだけの大技であった。

「はぁはぁ、これは私にも負担が大きいですからね。ですがその分威力は申し分ありません。」

 使用した事でサンドルの魔力も大きく減少した。
身体にも負担があるので連発は難しいが、それを補える程の必殺技なのである。
サンドルとしては決め手となる技なので、決着が付く事を願って砂煙りの中を見ている。

「良い威力だ。まさか我の結界を割る程とはな。」

「なっ!?」

 砂煙りは晴れていないが中からジルの声が聞こえてきた。
今の一撃で倒せなかった事だけは分かってしまった。
そして砂煙りが晴れると無傷のジルが現れる。
即座に展開した断絶結界で身を守っていたのだ。

「な、なんとジル選手は無事です!サンドル選手の必殺技を凌いでしまいました!」

「「「わああああ!」」」

 実況の言葉にサンドルが必殺技を放った時以上の盛り上がりを見せている。

「これを防ぎますか。ですがまだ負けた訳ではありません。ソニック!」

「また高速戦闘か?」

「長引かせるつもりはありませんよ。これで決めさせてもらいます!雷撃包囲!」

 ジルも先程と同じ様に雷霆魔法を使おうとしたところでサンドルが生み出した雷が全方位から迫ってくる。

「断絶結界!」

 自分を囲う様に結界を展開する。
先程の一撃と比べると明らかに威力が低いので、この程度であれば簡単に防げる。

「その結界を貫きます、雷槍!」

 雷を纏った長槍による全力の突きをジルの結界に放つ。
するとピシッと言う音と共に結界全体にヒビが広がっていき結界が砕け散った。

「ここです!レールガン!」

「アイシクルエンチャント!」

 至近距離から放たれたサンドルの雷霆魔法だったが、氷結魔法で強化した銀月で一刀両断する。

「わ、私のレールガンが!?」

 まさか魔法が斬られるとは思わずサンドルが驚いている。

「ヘイルショット!」

「くっ!」

 隙を見逃すジルでは無い。
無防備を晒しているサンドルに氷塊をぶつけて弾き飛ばす。
倒す程では無いが距離は開いた。

「次は我の番だ。ホワイトゾーン!」

 ジルの使った氷結魔法により周囲の温度が急激に下がっていき雪が降り始める。
これにより他の氷結魔法が強化される。

「超級氷結魔法の詠唱破棄ですか。」

「驚く事も無いだろう。お前もやっていた事だ。」

「私が驚いているのはこの魔法の威力ですよ。ホワイトゾーンは何度か使用された事がありますが、ここまで寒さを感じたのは初めてです。身体の芯が凍り付きそうな寒さですよ。」

 氷結魔法の適性は持っていないのだろう。
サンドルが小刻みに震えている。

「これは我に有利な環境を作り出す魔法だ。攻撃魔法では無いぞ。」

「それでも適性の高さが異常なのでしょう。まるで攻撃されているかの様です。槍を落とさないか心配になりますね。」

「ならば次で終わらせてやる。全力で撃ってこい。」

「そうさせてもらいましょう。」

 長引けばサンドルが不利になる一方だ。
次で終わらせる気持ちでバチバチと放電している長槍を振りかぶった。

「雷槍砲!」

 サンドルはそのまま長槍をジル目掛けて投げてきた。
雷の軌跡を残してジルに真っ直ぐ突き進んでくる。
そのジルはと言うと、銀月を鞘へと戻して居合いの構えを取っていた。

「抜刀術・断界!」

 氷結魔法による強化と膨大な魔力で魔装した銀月を抜き放つ。
それにより生じた魔力の斬撃がサンドルの投げてきた長槍にぶつかる。

 魔力の斬撃はサンドルが全力で投げた長槍を軽々と弾き飛ばし、サンドルの身体にも直撃した。
氷結魔法による強化が大きく、サンドルの意識も簡単に奪った。

「決まったー!まさかまさかの大番狂わせ!あの雷帝サンドル選手が二回戦で散ってしまいましたー!勝者はジル選手ですー!」

「「「わああああ!」」」

 サンドルを倒したジルに会場から盛大な拍手が送られるのだった。
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