【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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110章

元魔王様と強者集う本戦 10

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 ラブリートの身体が揺らぎ始める。
これは二つ名にもなったラブリートのスキルだ。

「闘気。」

 これは闘気変換と言う魔力を消費して闘気に変えるスキルだ。
魔装の様に身体に纏わせる事で、攻撃力、防御力、身体速度等を飛躍的に高められる。
その強化度は魔装を上回る程だ。

「見るのは初めてかしら?」

「帝国にも使い手はいる。闘姫程では無いけど。」

「あら、そうなのね。それなら存分に私を味わってちょうだい。」

 そう呟いた瞬間にラブリートの姿が消える。
一瞬でマレイの近くに移動したラブリートが拳を振るう。

「あら?」

 空気を切り裂いて放たれた拳だが、マレイの身体に当たった瞬間に霧散した。
殴った感覚も無い。

「それは幻。」

 いつの間にか別の場所にマレイが立っている。
そして次々に闘技場上にマレイが現れる。

「「「闘姫の攻撃力は脅威。でも当たらなければ意味は無い。」」」

 見た目だけでは本物と幻の区別が付かない。
そんな幻のが何体も作り出されている。

「こんな事まで出来るなんて凄いわ。一体どれだけスキルを持っているのかしら?」

「攻める。」

 一斉にマレイが動き出した。
ラブリートを取り囲む様に全方位から同時に攻める。

「実体が分からないなら全部破壊すればいいだけよね。」

 ラブリートが両手を掲げると握り合わせる。

「ラブリークラッシュ!」

 握り合わせた両手をハンマーの様に地面に振り下ろす。
闘気を纏わせた一撃に闘技場が一瞬でひび割れて破壊される。
その衝撃に巻き込まれて幻が次々に霧散していく。

「滅茶苦茶な威力。ガリュー以上。」

「あら、これでも倒せないなんて驚いたわ。」

「これでもSランク。簡単には負けない。」

 本体だけは障壁で身を守って無事だったがラブリートの攻撃力の高さに驚愕していた。

「まだまだ楽しめそうね。他にも色々と強力なスキルがありそうだし。」

「何故そう思う?」

「貴方皇族の血を引いているんじゃないの?」

 ラブリートの言葉にマレイが目を見開いている。

「前に聞いた事があるのよ。キリアル帝国の皇族関係者は魔法適性が無い代わりに強力なスキルを持ってるってね。私には相手の魔法適性を見るスキルがあるわ。貴方は適性を持たないからそう思っただけ。」

「適性の無い人もいる。」

「そうね、全く無いのは珍しいけれど。でもキリアル帝国の人だしそうじゃないかって思っただけよ。少しスキルが多過ぎる気はするけどね。」

「理解した。」

 マレイの扱うスキルはどれも強力な性能を持つものばかりだ。
キリアル帝国のSランク冒険者と言う事と魔法適性が無い事からの予想だったが的外れと言う訳でも無さそうだ。

「まあ、皇族関係者であろうと無かろうとこの勝負には関係無いわね。今はどちらもイストール戦武祭の参加者でしかないんだもの。」

「同意。」

 ラブリートの言葉にマレイが頷いて再び戦いが始まる。

「あのラブリートと互角か。あのマレイとか言う冒険者中々やるな。」

「中々やるなんてものではないわよ。一体どれだけのスキルを有していると言うの?ここからだと詳細までは分からないけど多種多様過ぎるわ。」

「そうだな。」

 鑑定対策も万全であり、マレイが持つスキルの全容は分からない。
それでも強力なスキルを複数所持しているのはラブリートとの戦いから分かる。

「これは闘姫も危ういわね。」

「マレイの方に勝負を決める様な手段があればそうなるかもな。」

 これだけ多種多様なスキルを持っているのだ。
更に強力なスキルを隠し持っていても不思議は無い。

「闘姫には何か無いの?」

「我もそこまで詳しい訳では無いからな。まあ、ラブリートの場合は闘気を纏った攻撃全てがそれに当て嵌まるとも言えるな。」

「確かにあの攻撃力だものね。私も受けたら即気絶させられる自信があるわ。」

「我もだ。」

 闘気を纏ったラブリートの攻撃は使い手の強さも加わって絶対的な破壊力を持つ。
例え魔装して防御力を高めていたとしても、まともに受ければジルであっても無事では済まないだろう。

「どちらが勝ち上がってきても辛い戦いになりそうね。三位には入っておきたかったのだけれど。」

 難しそうな表情でアリュシオンが言う。

「何でだ?」

「何でって上位入賞の商品の為に決まっているでしょう?それが無ければグランドマスターに誘われたからと言ってアバント公国まで来てないわよ。」

「そんなに良い物が出るのか?」

「…知らずに参加していたのね。」

 そう言いながら呆れた様な目で見てくる。
商品の存在も知らずにここまで勝ち上がって来れるのはジルくらいのものだ。

「元々イストール戦武祭に参加する為にアバント公国を訪れた訳では無かったからな。」

「ついでに出場した人に負けたなんて。それだけ実力に差があったのだから文句は無いけれど複雑な気持ちだわ。」

 皆商品の為に色々と考えてこの大会に臨んでいた筈だ。
アリュシオンも強者との戦いに備えて装備を充実させて個人戦に臨んでのだが相手が悪かった。

「それで商品は何なんだ?」

「首都のギルドの巨大倉庫の中から好きな物を貰える権利よ。順位が高い程先に選べるし多く貰えるわ。」

 商品が貰えるのは三位までだ。
なのでアリュシオンは三位には絶対に入りたいと思っていたのである。

「それだけか?」

「それだけって、一番最初に出来たギルドの巨大倉庫なのよ?希少な素材や魔法道具が沢山眠っているの。欲しい物は何でも手に入ると思っていいわ。」

 さすがにジルが持ち込んだ原初の龍の素材とまではいかなくとも、希少な物が沢山保管されているのは確かだ。
それを狙って毎年イストール戦武祭の参加者は増え続けているのである。

「ふむ、欲しい物は何でもか。」

「少しは興味をそそられたかしら?」

「ああ、優勝して貰っていくとしよう。」

 何か良さげな物があれば浮島にいる誰かの土産にでもしようと考えるジルだった。
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