【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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111章

元魔王様と国宝を狙う者 1

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 イストール戦武祭二日目、ジル達は会場へ向かっていた。

「あれ?ねえねえ、あれってアルナとアルティンじゃない?」

「その様じゃのう。」

「イストール戦武祭の見学でしょうか?」

 見知った背中を見つけたので近付いて行く。

「お前達も見に来たのか?」

「あれ?ジルさん達じゃないですか。奇遇ですね。」

「わしらは毎年見に来ているからな。それに今年はお前達のおかげで特に盛り上がっている。」

「そうですよ!昨日もお爺ちゃんと一緒に見ていましたよ!まさか個人戦優勝してしまうとは!ジルさん、おめでとうございます!」

「ああ、ありがとうな。」

 昨日は二人で個人戦の決勝トーナメントを見ていたらしく、ジルの優勝も知っていた。
強者を次々に倒して優勝までしてしまったジルにとても驚いたらしい。

「数々のSランク冒険者を相手に大したものだ。まるでエンペラーナを見ている様だった。」

「なぬっ!エンペラーナ!」

 エンペラーナ大好き令嬢がアルティンの言葉に反応している。

「エンペラーナも剣を使い、多種多様な魔法適性を持っていたからな。」

 懐かしむ様に呟いている。
エンペラーナはジルと同じ様な戦闘を得意としている冒険者だったそうだ。

「皆さんも凄かったですね。個人戦の本戦に出場出来るだけでも凄い事なんですよ。」

 イストール戦武祭の個人戦だけは毎年他の種目の何倍も出場者がいる。
出場者が多過ぎて実力があっても勝ち上がれないと言う事も多いのだ。

「えっへんなの。」

「予選で負けてはいられんからのう。」

「ま、まあね。」

「ん?ルルネット、いつもの偉そうな態度はどうした?」

「偉そうって言うな。さすがに予選は私の実力って言いづらいじゃない。」

 予選の時を思い出しながらルルネットが言う。
予選ブロックはSランク冒険者であるラブリートと同じであり、そのラブリートが暴れた事でルルネットは何もせずに予選を通過したのだ。

「確かにルルネットの場合はSランクの冒険者が無双していましたからね。でも本戦は自分の実力で勝ち上がれていたじゃないですか。」

「見てたの?」

「はい、私の短剣を使ってくれていて嬉しかったです。」

 アルナはルルネットの予選から本戦までずっと追っていたそうだ。
自分が打った短剣が活躍しているところを見られて満足気な様子だ。

「せっかく良い短剣を打ってもらったんだもの。使わないのは勿体無いわよ。」

「それなら今日も期待していますよ。」

「任せておきなさい。」

 アルナの言葉に大きく頷く。
他の種目では優勝を狙っていくつもりなのだ。

「お前達、もう直ぐ二人戦の本戦が始まるぞ。いつまでも話していていいのか?」

「あ、そうでした!ナキナさん、私達は急いで向かわなければ!」

「そうじゃったな。妾達の出番は早いのじゃ。」

「それでは皆さん、また後程。」

「妾達の活躍を楽しみにしておるのじゃ。」

 早口にそれだけ言い残してナキナとサリーが走り去って行く。
二人の本戦の順番は早いので先に会場入りしていなければいけないのだ。

「ジルさん達はいいの?」

「我らの出番はもう少し後だからな。」

「気合いが入るわね。」

 ジルとルルネットも二人戦に参加する。
こちらは順番が遅いので慌てる必要は無い。

「それはそれは、私も楽しみにしていますよ。何せ昨日の個人戦の覇者がいるのですから。」

「ん?誰だ?」

「「っ!」」

 突然声を掛けてきた男性。
胡散臭そうな笑みを浮かべて値踏みする様な視線を向けてきている。

「申し遅れました。私は商業国家コーメルのクライ・ヴィシスと申します。」

 そう挨拶しながら恭しく礼をしてくる。

「貴族か。」

「ええ、侯爵の座を頂いています。」

「それで我らに何か用事か?」

「いえ、私のお抱えの冒険者が一回戦で貴方方と当たる様でして。試合を楽しみにしていますと伝えに来ただけですよ。」

「成る程な。」

 二人戦本戦の一回戦はクライの部下と戦う事になるらしい。
個人戦優勝者のジルが相手だと知っていても余裕そうな笑みを浮かべている。

「それと個人的な用事がそちらにも。」

 そう言ってクライの視線がアルティンとアルナに向かう。

「わしにはお前に用など無い。さっさと失せろ。」

 アルティンが目付きを鋭くして睨みながらクライに言い放つ。
アルナの方もアルティンの背中に隠れながらクライを睨んでいる。

「相変わらず貴族に対する礼儀がなっていませんね。お考えは変わらないのですか?」

「変わる訳が無い。未来永劫な。」

「やれやれ、困りましたね。私の我慢もそろそろ限界だと言うのに。まあ、今回は何としてでも首を縦に振ってもらいますからそのつもりで。ではまた。」

 去っていくクライが見えなくなるまでアルティンが睨み付けているのだった。
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