【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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111章

元魔王様と国宝を狙う者 6

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 スラム街へ走って向かうジル達。
しかしその様子は一見するとアルティン一人にしか見えない。

「近くにいるか?」

 アルティンが少し不安そうに尋ねる。

「何度目だ?しっかり付いて来ている。」

「私からもジルが見えないから定期的に声が聞こえないと不安なのよ。」

「わしは両方見えていないがな。」

 ジルの持っていた魔法道具のマントを身に付けた事により二人の姿は認識出来無くなっている。
近くを一緒に走っていても気付かない程だ。
これなら救出の時に見つかってもアルティン一人と油断させる事が出来る。

「アルナは本当に無事なんだな?」

「今のところはな。と言うかアルティンに剣を作らせる為にした事だろう?人質に危害を加えたりはしないんじゃないか?」

「奴は頭のネジが飛んでいるからな。何をするか分からん。」

 自分の目的の為ならば過激な事も平然と行う。
そう言った危なっかしい面がある。

「とにかく急いで向かうわよ。アルナの救出が第一なんだから。」

 三人が爆走した事により直ぐにスラム街に到着する事が出来た。
ジルに案内されながらアルナが捕まっている場所に近付く。

「あの建物だな?」

「ああ、見張りも多いな。」

 建物の内外に大量に配置されている。
アルナ一人に過剰過ぎる程だ。

「クライはいるの?」

「それらしき姿は見えないな。」

「会場にいる筈のわしに交渉でもしに行ってるか?」

「可能性はあるわね。」

 こんな場所まで拐われたアルナを短時間で見つけられるとはクライも予想外だろう。
まだ拐われた事に勘付かれたとは思っていない筈だ。

「それなら助け出すのは早い方がいいわ。ジル、お得意の魔法でぱぱっと助けちゃいましょう。」

「そうしたいのだが残念ながらアルナに魔法で干渉出来無い。何か魔法道具で対策されている様だな。直接助けに向かうしかなさそうだ。」

「面倒な事をしてくれるわね。」

 クライが戻るまで誰かが救出を試みるかもしれないと色々対策はしている様子だ。
それが無ければ空間置換で簡単に助け出せていただろう。

「ならばわしが囮になる。お前達がアルナを助けてやってくれ。」

 アルナを救い出す間の囮役をアルティンが引き受けると言い出した。

「一人で大丈夫なの?護衛はそれなりに厄介かもしれないわよ?」

「孫娘の為だ、命くらい掛けてやる。」

 アルティンもそれなりに戦える。
簡単にやられるつもりは無い。

「それはこちらが困るな。アルティンに万が一があればアルナが悲しむ事になる。」

「そうね、私が一緒に行くわ。姿を隠しながらなら有利に戦えるだろうし。」

 ルルネットも一緒に囮役を引き受けてくれる事となった。
危険な役目なので悩むところだが、認識阻害の魔法道具があれば狙われにくくなるので一先ず任せる事にした。

「すまんな。」

「気にしなくていいわ。」

「では我が中に入ろう。救出は任せておけ。」

 二人が時間を稼いでくれている間にジルがアルナを助け出す事となった。

「一応気を付けてね。」

「こちらは任せておけ。」

 二人に後の事を任せてジルは建物の中へ侵入する。
認識阻害の魔法道具のおかげで静かにしていれば近くを通っても気付かれない。
一気にアルナの下まで向かうと二人の見張りが近くにいるのが見える。

「へっへっへ、悪く思うなよ。これもお前の爺さんが剣を作らないのが悪いんだからな。」

「うー。」

 見張りを睨み付けているアルナ。

「これで大人なんだもんな。ドワーフ族の女は人族の子供みたいで興奮しない。」

「は?子供の見た目で大人だからいいんじゃねえか。分かってねえな。」

「変態め。だが絶対に手は出すなよ。交渉の人質を傷物にしたとあったらクライ様に何をされるか分からないぞ?」

「分かっている。必死に堪えているところだ。」

 そう言いながらいやらしい笑みをアルナに向けている。
手を出したくて堪らないと言った様子だ。

「おい!爺さんが単独で攻めてきたらしいぞ!」

「何!?クライ様が会場に向かっているのに何故ここに!?」

「ちっ!どこからか情報を掴んできたな!殺さず生け捕りにしろ!」

 どうやら外でアルティンが姿を見せて注意を引き始めた様子だ。
中にいた他の見張り達がどんどん外へ出ていく。
しかしアルナの近くにいる二人は動かない。

「俺達はこの女を守るぞ。クライ様が戻るまで渡す訳にはいかん。」

「分かってがはっ!?」

「何!?ど、どこぐほっ!?」

 見張りが二人だけとなったタイミングでジルは近くまで移動して二人を一瞬で無力化した。

「うー?」

 突然見張りが変な声を出しながら倒れ始めてアルナは首を傾げている。

「アルナ、無事な様だな。助けに来たぞ。」

 何も無い空間からマントを捲ってジルが姿を現した。
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