993 / 1,122
111章
元魔王様と国宝を狙う者 6
しおりを挟む
スラム街へ走って向かうジル達。
しかしその様子は一見するとアルティン一人にしか見えない。
「近くにいるか?」
アルティンが少し不安そうに尋ねる。
「何度目だ?しっかり付いて来ている。」
「私からもジルが見えないから定期的に声が聞こえないと不安なのよ。」
「わしは両方見えていないがな。」
ジルの持っていた魔法道具のマントを身に付けた事により二人の姿は認識出来無くなっている。
近くを一緒に走っていても気付かない程だ。
これなら救出の時に見つかってもアルティン一人と油断させる事が出来る。
「アルナは本当に無事なんだな?」
「今のところはな。と言うかアルティンに剣を作らせる為にした事だろう?人質に危害を加えたりはしないんじゃないか?」
「奴は頭のネジが飛んでいるからな。何をするか分からん。」
自分の目的の為ならば過激な事も平然と行う。
そう言った危なっかしい面がある。
「とにかく急いで向かうわよ。アルナの救出が第一なんだから。」
三人が爆走した事により直ぐにスラム街に到着する事が出来た。
ジルに案内されながらアルナが捕まっている場所に近付く。
「あの建物だな?」
「ああ、見張りも多いな。」
建物の内外に大量に配置されている。
アルナ一人に過剰過ぎる程だ。
「クライはいるの?」
「それらしき姿は見えないな。」
「会場にいる筈のわしに交渉でもしに行ってるか?」
「可能性はあるわね。」
こんな場所まで拐われたアルナを短時間で見つけられるとはクライも予想外だろう。
まだ拐われた事に勘付かれたとは思っていない筈だ。
「それなら助け出すのは早い方がいいわ。ジル、お得意の魔法でぱぱっと助けちゃいましょう。」
「そうしたいのだが残念ながらアルナに魔法で干渉出来無い。何か魔法道具で対策されている様だな。直接助けに向かうしかなさそうだ。」
「面倒な事をしてくれるわね。」
クライが戻るまで誰かが救出を試みるかもしれないと色々対策はしている様子だ。
それが無ければ空間置換で簡単に助け出せていただろう。
「ならばわしが囮になる。お前達がアルナを助けてやってくれ。」
アルナを救い出す間の囮役をアルティンが引き受けると言い出した。
「一人で大丈夫なの?護衛はそれなりに厄介かもしれないわよ?」
「孫娘の為だ、命くらい掛けてやる。」
アルティンもそれなりに戦える。
簡単にやられるつもりは無い。
「それはこちらが困るな。アルティンに万が一があればアルナが悲しむ事になる。」
「そうね、私が一緒に行くわ。姿を隠しながらなら有利に戦えるだろうし。」
ルルネットも一緒に囮役を引き受けてくれる事となった。
危険な役目なので悩むところだが、認識阻害の魔法道具があれば狙われにくくなるので一先ず任せる事にした。
「すまんな。」
「気にしなくていいわ。」
「では我が中に入ろう。救出は任せておけ。」
二人が時間を稼いでくれている間にジルがアルナを助け出す事となった。
「一応気を付けてね。」
「こちらは任せておけ。」
二人に後の事を任せてジルは建物の中へ侵入する。
認識阻害の魔法道具のおかげで静かにしていれば近くを通っても気付かれない。
一気にアルナの下まで向かうと二人の見張りが近くにいるのが見える。
「へっへっへ、悪く思うなよ。これもお前の爺さんが剣を作らないのが悪いんだからな。」
「うー。」
見張りを睨み付けているアルナ。
「これで大人なんだもんな。ドワーフ族の女は人族の子供みたいで興奮しない。」
「は?子供の見た目で大人だからいいんじゃねえか。分かってねえな。」
「変態め。だが絶対に手は出すなよ。交渉の人質を傷物にしたとあったらクライ様に何をされるか分からないぞ?」
「分かっている。必死に堪えているところだ。」
そう言いながらいやらしい笑みをアルナに向けている。
手を出したくて堪らないと言った様子だ。
「おい!爺さんが単独で攻めてきたらしいぞ!」
「何!?クライ様が会場に向かっているのに何故ここに!?」
「ちっ!どこからか情報を掴んできたな!殺さず生け捕りにしろ!」
どうやら外でアルティンが姿を見せて注意を引き始めた様子だ。
中にいた他の見張り達がどんどん外へ出ていく。
しかしアルナの近くにいる二人は動かない。
「俺達はこの女を守るぞ。クライ様が戻るまで渡す訳にはいかん。」
「分かってがはっ!?」
「何!?ど、どこぐほっ!?」
見張りが二人だけとなったタイミングでジルは近くまで移動して二人を一瞬で無力化した。
「うー?」
突然見張りが変な声を出しながら倒れ始めてアルナは首を傾げている。
「アルナ、無事な様だな。助けに来たぞ。」
何も無い空間からマントを捲ってジルが姿を現した。
しかしその様子は一見するとアルティン一人にしか見えない。
「近くにいるか?」
アルティンが少し不安そうに尋ねる。
「何度目だ?しっかり付いて来ている。」
「私からもジルが見えないから定期的に声が聞こえないと不安なのよ。」
「わしは両方見えていないがな。」
ジルの持っていた魔法道具のマントを身に付けた事により二人の姿は認識出来無くなっている。
近くを一緒に走っていても気付かない程だ。
これなら救出の時に見つかってもアルティン一人と油断させる事が出来る。
「アルナは本当に無事なんだな?」
「今のところはな。と言うかアルティンに剣を作らせる為にした事だろう?人質に危害を加えたりはしないんじゃないか?」
「奴は頭のネジが飛んでいるからな。何をするか分からん。」
自分の目的の為ならば過激な事も平然と行う。
そう言った危なっかしい面がある。
「とにかく急いで向かうわよ。アルナの救出が第一なんだから。」
三人が爆走した事により直ぐにスラム街に到着する事が出来た。
ジルに案内されながらアルナが捕まっている場所に近付く。
「あの建物だな?」
「ああ、見張りも多いな。」
建物の内外に大量に配置されている。
アルナ一人に過剰過ぎる程だ。
「クライはいるの?」
「それらしき姿は見えないな。」
「会場にいる筈のわしに交渉でもしに行ってるか?」
「可能性はあるわね。」
こんな場所まで拐われたアルナを短時間で見つけられるとはクライも予想外だろう。
まだ拐われた事に勘付かれたとは思っていない筈だ。
「それなら助け出すのは早い方がいいわ。ジル、お得意の魔法でぱぱっと助けちゃいましょう。」
「そうしたいのだが残念ながらアルナに魔法で干渉出来無い。何か魔法道具で対策されている様だな。直接助けに向かうしかなさそうだ。」
「面倒な事をしてくれるわね。」
クライが戻るまで誰かが救出を試みるかもしれないと色々対策はしている様子だ。
それが無ければ空間置換で簡単に助け出せていただろう。
「ならばわしが囮になる。お前達がアルナを助けてやってくれ。」
アルナを救い出す間の囮役をアルティンが引き受けると言い出した。
「一人で大丈夫なの?護衛はそれなりに厄介かもしれないわよ?」
「孫娘の為だ、命くらい掛けてやる。」
アルティンもそれなりに戦える。
簡単にやられるつもりは無い。
「それはこちらが困るな。アルティンに万が一があればアルナが悲しむ事になる。」
「そうね、私が一緒に行くわ。姿を隠しながらなら有利に戦えるだろうし。」
ルルネットも一緒に囮役を引き受けてくれる事となった。
危険な役目なので悩むところだが、認識阻害の魔法道具があれば狙われにくくなるので一先ず任せる事にした。
「すまんな。」
「気にしなくていいわ。」
「では我が中に入ろう。救出は任せておけ。」
二人が時間を稼いでくれている間にジルがアルナを助け出す事となった。
「一応気を付けてね。」
「こちらは任せておけ。」
二人に後の事を任せてジルは建物の中へ侵入する。
認識阻害の魔法道具のおかげで静かにしていれば近くを通っても気付かれない。
一気にアルナの下まで向かうと二人の見張りが近くにいるのが見える。
「へっへっへ、悪く思うなよ。これもお前の爺さんが剣を作らないのが悪いんだからな。」
「うー。」
見張りを睨み付けているアルナ。
「これで大人なんだもんな。ドワーフ族の女は人族の子供みたいで興奮しない。」
「は?子供の見た目で大人だからいいんじゃねえか。分かってねえな。」
「変態め。だが絶対に手は出すなよ。交渉の人質を傷物にしたとあったらクライ様に何をされるか分からないぞ?」
「分かっている。必死に堪えているところだ。」
そう言いながらいやらしい笑みをアルナに向けている。
手を出したくて堪らないと言った様子だ。
「おい!爺さんが単独で攻めてきたらしいぞ!」
「何!?クライ様が会場に向かっているのに何故ここに!?」
「ちっ!どこからか情報を掴んできたな!殺さず生け捕りにしろ!」
どうやら外でアルティンが姿を見せて注意を引き始めた様子だ。
中にいた他の見張り達がどんどん外へ出ていく。
しかしアルナの近くにいる二人は動かない。
「俺達はこの女を守るぞ。クライ様が戻るまで渡す訳にはいかん。」
「分かってがはっ!?」
「何!?ど、どこぐほっ!?」
見張りが二人だけとなったタイミングでジルは近くまで移動して二人を一瞬で無力化した。
「うー?」
突然見張りが変な声を出しながら倒れ始めてアルナは首を傾げている。
「アルナ、無事な様だな。助けに来たぞ。」
何も無い空間からマントを捲ってジルが姿を現した。
5
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる