【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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111章

元魔王様と国宝を狙う者 20

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 エンペラーナの剣により強大な力を得たクライだったが、ジルには遠く及ばず一瞬で勝負が付いた。

「やはりこんなものか。」

「「あああああ!?」」

「喧しいな。何だ?」

 銀月を納刀していると悲鳴が二つ聞こえてくる。
悲鳴の主はルルネットとダングスなのだが、その視線はクライの持っていた剣に向いている。

「なるべく優しく頼むと言ったじゃないか!」

「ジル、何て事をしてるのよ!エンペラーナの剣を折っちゃうなんて!」

 ジルに折られたエンペラーナの剣を見ながら非難してくる。
本当に壊すとは思っていなかったのだろう。

「アルティンから許可は得ている。我に非は無いぞ。」

「あああ、エンペラーナの剣が。こんなに綺麗に折れちゃって。」

「これは修復不可能だな。我が国の宝が。」

 ジルの言葉なんて無視して二人は折れた剣へと駆け寄っている。
手に取ってみるが無惨な姿に元には戻らないと分かって肩を落としている。

「ジル、よくやってくれた。感謝する。」

 エンペラーナの剣の現状を見てもアルティンだけは感謝の言葉を述べてきた。

「感謝よりも責めている者の方が多い様だがな。」

「エンペラーナに憧れていた者達からすれば仕方無い事だ。だが先程も言った通り問題は無い。」

 アルティンには何か考えがあるのだ。
だからこそエンペラーナの剣の破壊を許可した。

「嬢ちゃんもダングスも折れてしまった剣をいつまでも見ていても直らない。立ち上がってわしの話しを聞け。」

 いつまでも項垂れている二人に歩み寄って声を掛ける。

「でも国宝なのよ?どうにかして直さないと。」

。だからそこまで気にする必要は無い。」

「ん?どう言う事だ?」

 アルティンの言葉の意味が理解出来ずダングスが尋ね返す。
ルルネットも首を傾げている。

「国宝として飾られていた剣は悪く言えば偽物だ。」

「「偽物!?」」

 二人が驚愕の声を上げる。
話しを聞いていた他の者や孫のアルナでさえも驚いている。

「偽物と言ってもわしが打ってエンペラーナが使っていたのは事実だがな。」

「ど、どう言う事なのか説明してもらえるか?」

「後でしっかり話してやる。だが今は色々とやるべき事があるだろう?」

 アルティンがジルによって氷漬けとなったクライを見ながら言う。

「そうだな。後で必ず聞かせてもらうぞ?」

「約束しよう。」

 アルティンが頷くのを確認してダングスはSランク冒険者達と共にクライを連行していった。

「これで一件落着だな。」

「ああ、ジル達のおかげだ。」

 今回の騒動の首謀者も捕まり、皆の洗脳も解けた。
タイプDの話しでは陣形魔法を使っていた者達もユメノが指示して対処してくれているとの事だ。

「これでまた剣を打てそうか?」

「そうだな、奴が捕まれば状況は昔の様に戻るだろう。そうしたらまた槌を持ってみるのもいいだろう。」

「本当お爺ちゃん!?」

 アルティンの発言にアルナが驚きながらも嬉しそうな声を上げる。
再び伝説の鍛治師が蘇ると聞けば家族として、一人の鍛治師として嬉しい。

「アルナには迷惑を掛けたな。わしは再び鍛治師として生きていこうと思う。手伝ってくれるか?」

「当たり前だよ!またお爺ちゃんと鍛治師するのを楽しみにしてたんだから!」

「嬉しい事を言ってくれる。」

 アルナの言葉にアルティンが微笑む。
クライが捕縛された事で二人の平穏も戻ったのだ。

「伝説の鍛治師が復活する瞬間に立ち会えるなんて光栄ね!」

「これもお前達がクライを捕まえてくれたおかげだ。礼として嬢ちゃんにわしが一振り打ってやろう。」

「いいの!?」

 予想外の提案にルルネットが驚いている。
ジル達が訪れた目的を覚えてくれていた様だ。

「わしの剣を見たくて尋ねてくれたのだからな。腕が鈍っていないか心配なところではあるが。」

「伝説の鍛治師と呼ばれていたのだろう?数年くらいなら大丈夫だ。」

「そうよ!凄く期待しているわ!」

 エンペラーナの剣を打った鍛治師に自分も剣を打ってもらえる。
エンペラーナ好きとしてこれ程嬉しい事は無い。

「ルルネット、私が剣を打った時よりも凄く嬉しそうですね。」

「そ、そんな事無いわよ?」

 アルナにジト目を向けられてたじろいでいる。
少し態度に出過ぎていた様だ。

「むぅ、私だってもう一振り打ってあげます!腕の鈍っているお爺ちゃんには負けません!」

「わ、分かったから。アルナにもお願いするわ。」

 アルナに打ってもらった短剣は壊されてしまった。
再び新しいのを打ってもらえるならルルネットとしても嬉しい。

「師弟対決だな。」

「孫の成長となるなら嬉しい事だ。」

 アルナがアルティンより良い剣を打ってみせると気合いを入れているのを見て、嬉しそうにしているアルティンだった。
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