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115章
元魔王様と現四天王 3
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老婆は四天王と名乗ってきた。
前世で自分に支えてくれた四天王達も個々が突出した力を持っていたが、今世の四天王達をジルは知らない。
進化の碑石を使った事で近い存在になっているのであれば一瞬の油断が命取りになるだろう。
「ふぇっふぇっ、原初の龍の剣だね?確かにこれを使われたらキルゾールも厳しいだろうね。」
「何故知っている?」
「ふぇっふぇっ、何故だろうね。」
老婆がシワシワの笑みを浮かべて言う。
ジルが倒したキルゾールや魔族達の持つ情報は知られていると思った方がよさそうだ。
「まあ、そんな瑣事はどうでもいい。アイシクルエンチャント!はっ!」
白氷を氷結魔法で強化する。
周囲の温度が一気に下がる程の冷気、その冷気を乗せた必殺の斬撃を放つ。
斬撃は老婆を捉えたと思ったが、一瞬で姿を消して別の場所に移動した事で回避される。
斬撃により地面や木々が凍って砕け散る。
「これはとんでもない威力だね。まともに受けたら動けなくなりそうだよ。」
「見掛けに寄らず素早いではないか。」
キルゾールを一撃で倒した白氷による攻撃だ。
四天王と言えど当たれば無事では済まない。
しかし口に出した言葉とは違い、老婆はそれ程脅威と感じていない様子だ。
その理由は直ぐに分かった。
ジルは白氷による斬撃を老婆に向かって無数に放っていく。
しかし老婆は当たる寸前で空間置換を使用して全ての攻撃を回避し続けて見せたのだ。
「ふぇっふぇっ、そんなに大盤振る舞いしていいのかい?直ぐに魔力が底を付いてしまうよ?」
「魔力量には自信があるのでな。」
一発一発が必殺の威力を秘めているので多少なりとも魔力は消費する。
それでも老婆にダメージを与える事を考えればこれくらいの威力は必須だろう。
「寄るな!」
攻撃の最中に直ぐ近くに転移してきた老婆。
手を伸ばしてくるので斬撃を放ちつつ後ろに飛び退いた。
「そんなに警戒しないでおくれよ。少し触れるだけだよ。」
斬撃を容易く回避した老婆がニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら言う。
「お前のスキルは得体が知れない。だが我に近付きたそうにしているところを見るに接触が必要条件か。」
「本当に厄介な子だね。ご明察だよ。」
老婆に触れられてしまえばジルもノワール達の様になってしまうかもしれない。
空間置換を多用してきているので全方位気を付ける必要がある。
「婆は変格者ディッティーと呼ばれていてね。他者に新しい人格を与えるスキルを持っているんだよ。」
「新しい人格?」
「二重人格って聞いた事はないかい?身体は一つなのに独立した記憶を持つ二つの人格を有している。それをスキルで引き起こしているのさ。」
「成る程、それでノワール達は魔族と接している時の記憶が無い。その時は別の人格だったと言う訳か。」
ディッティーと名乗る老婆は他者に人格を与えると言うとんでもないスキルを所持していた。
これが今回の一連の騒動を引き起こした元凶だ。
「ノワール?誰だったかね?最近物覚えが悪くてね。」
ディッティーが首を傾げながら言う。
あれだけアイフを荒らさせておいて覚えていないとは害悪過ぎる。
「お前がアイフ男爵領に魔族を引き入れる為に選んだ子供だ。」
「あー、トワイラス伯爵家の小僧かい。婆が懇意にしている貴族だよ。」
「懇意だと?まさかトワイラス伯爵家は。」
「既に婆の手に落ちているよ。伯爵家の人族には幾つか仕事をしてもらっているのさ。他にもトワイラスの連中には結構な数の人格を与えているよ。殆ど目覚めさせていないけどね。」
トワイラス伯爵領は想像よりもずっと危機的状況にあるのかもしれない。
ディッティーの言葉が本当ならば、一斉に人格を目覚めさせられるだけでトワイラス伯爵領は大混乱だろう。
「面倒なスキルだな。だが解除方法は何となく予想が付く。お前を排除すればいいんだろう?」
白氷の切先を向けながら言う。
特殊なスキルは使用者が命を落とす事で解除されるものが多いのだ。
「今のところ攻撃は当たっていないけどね。婆の時空間魔法は大したものだろう?」
「ああ、敵に使われてこれ程面倒な魔法は無い。だが時空間魔法の魔力消費量は尋常では無いからな。元々の魔力量に差があろうとお前の方が先に魔力切れになるだろう。」
ジルもそれなりに魔力を消費する戦い方をしているが、ディッティーの魔力消費量はそれを遥かに上回る。
普段使っているからこそ時空間魔法の燃費の悪さはよく分かっている。
魔力量に自信のある魔族でも連続使用は厳しい筈だ。
「ふぇっふぇっ、それはどうだろうね。進化した婆の魔力量はとんでもないよ?その点だけは元魔王様に感謝しているさ。」
進化の碑石が無ければこれ程の高みには至れなかった。
キルゾールもディッティーも元魔王の残した魔法道具があったからこそ、自身では辿り着けない超常の力を手に入れる事が出来たのだ。
「はぁ、とんでもない力を秘めていそうだと思ったら、やはりお前も進化しているのか。我ながら面倒な物を残してしまった。」
後半はディッティーにも聞こえない小声で一人愚痴るジルだった。
前世で自分に支えてくれた四天王達も個々が突出した力を持っていたが、今世の四天王達をジルは知らない。
進化の碑石を使った事で近い存在になっているのであれば一瞬の油断が命取りになるだろう。
「ふぇっふぇっ、原初の龍の剣だね?確かにこれを使われたらキルゾールも厳しいだろうね。」
「何故知っている?」
「ふぇっふぇっ、何故だろうね。」
老婆がシワシワの笑みを浮かべて言う。
ジルが倒したキルゾールや魔族達の持つ情報は知られていると思った方がよさそうだ。
「まあ、そんな瑣事はどうでもいい。アイシクルエンチャント!はっ!」
白氷を氷結魔法で強化する。
周囲の温度が一気に下がる程の冷気、その冷気を乗せた必殺の斬撃を放つ。
斬撃は老婆を捉えたと思ったが、一瞬で姿を消して別の場所に移動した事で回避される。
斬撃により地面や木々が凍って砕け散る。
「これはとんでもない威力だね。まともに受けたら動けなくなりそうだよ。」
「見掛けに寄らず素早いではないか。」
キルゾールを一撃で倒した白氷による攻撃だ。
四天王と言えど当たれば無事では済まない。
しかし口に出した言葉とは違い、老婆はそれ程脅威と感じていない様子だ。
その理由は直ぐに分かった。
ジルは白氷による斬撃を老婆に向かって無数に放っていく。
しかし老婆は当たる寸前で空間置換を使用して全ての攻撃を回避し続けて見せたのだ。
「ふぇっふぇっ、そんなに大盤振る舞いしていいのかい?直ぐに魔力が底を付いてしまうよ?」
「魔力量には自信があるのでな。」
一発一発が必殺の威力を秘めているので多少なりとも魔力は消費する。
それでも老婆にダメージを与える事を考えればこれくらいの威力は必須だろう。
「寄るな!」
攻撃の最中に直ぐ近くに転移してきた老婆。
手を伸ばしてくるので斬撃を放ちつつ後ろに飛び退いた。
「そんなに警戒しないでおくれよ。少し触れるだけだよ。」
斬撃を容易く回避した老婆がニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら言う。
「お前のスキルは得体が知れない。だが我に近付きたそうにしているところを見るに接触が必要条件か。」
「本当に厄介な子だね。ご明察だよ。」
老婆に触れられてしまえばジルもノワール達の様になってしまうかもしれない。
空間置換を多用してきているので全方位気を付ける必要がある。
「婆は変格者ディッティーと呼ばれていてね。他者に新しい人格を与えるスキルを持っているんだよ。」
「新しい人格?」
「二重人格って聞いた事はないかい?身体は一つなのに独立した記憶を持つ二つの人格を有している。それをスキルで引き起こしているのさ。」
「成る程、それでノワール達は魔族と接している時の記憶が無い。その時は別の人格だったと言う訳か。」
ディッティーと名乗る老婆は他者に人格を与えると言うとんでもないスキルを所持していた。
これが今回の一連の騒動を引き起こした元凶だ。
「ノワール?誰だったかね?最近物覚えが悪くてね。」
ディッティーが首を傾げながら言う。
あれだけアイフを荒らさせておいて覚えていないとは害悪過ぎる。
「お前がアイフ男爵領に魔族を引き入れる為に選んだ子供だ。」
「あー、トワイラス伯爵家の小僧かい。婆が懇意にしている貴族だよ。」
「懇意だと?まさかトワイラス伯爵家は。」
「既に婆の手に落ちているよ。伯爵家の人族には幾つか仕事をしてもらっているのさ。他にもトワイラスの連中には結構な数の人格を与えているよ。殆ど目覚めさせていないけどね。」
トワイラス伯爵領は想像よりもずっと危機的状況にあるのかもしれない。
ディッティーの言葉が本当ならば、一斉に人格を目覚めさせられるだけでトワイラス伯爵領は大混乱だろう。
「面倒なスキルだな。だが解除方法は何となく予想が付く。お前を排除すればいいんだろう?」
白氷の切先を向けながら言う。
特殊なスキルは使用者が命を落とす事で解除されるものが多いのだ。
「今のところ攻撃は当たっていないけどね。婆の時空間魔法は大したものだろう?」
「ああ、敵に使われてこれ程面倒な魔法は無い。だが時空間魔法の魔力消費量は尋常では無いからな。元々の魔力量に差があろうとお前の方が先に魔力切れになるだろう。」
ジルもそれなりに魔力を消費する戦い方をしているが、ディッティーの魔力消費量はそれを遥かに上回る。
普段使っているからこそ時空間魔法の燃費の悪さはよく分かっている。
魔力量に自信のある魔族でも連続使用は厳しい筈だ。
「ふぇっふぇっ、それはどうだろうね。進化した婆の魔力量はとんでもないよ?その点だけは元魔王様に感謝しているさ。」
進化の碑石が無ければこれ程の高みには至れなかった。
キルゾールもディッティーも元魔王の残した魔法道具があったからこそ、自身では辿り着けない超常の力を手に入れる事が出来たのだ。
「はぁ、とんでもない力を秘めていそうだと思ったら、やはりお前も進化しているのか。我ながら面倒な物を残してしまった。」
後半はディッティーにも聞こえない小声で一人愚痴るジルだった。
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