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6章
元魔王様とセダンの大商会 9
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「ゾロゾロと湧いてきて、まるで虫の様だな。」
「この数を前に余裕だな。中には高ランク冒険者や実力派の傭兵だっているんだぜ?」
一人の男がニヤニヤと笑いながら言う。
圧倒的な人数差を前に、誰も負けるとは思っていないのだろう。
「最初で最後の通告をしてやろう。モンドは既に倒した。モンドの悪名を知っていて、やむを得ず従っていた者は直ぐに武器を捨てて降伏しろ。そうすれば命は保証してやる。」
モンドの宿屋への手口から、金を理由に脅されている者がいる可能性があると判断しての言葉だ。
権力だけはある様なので、脅されて無理矢理従わされている者がいるならば、痛い目に合わせるのも申し訳無いと思った。
実際にジルの言葉を受けて、何人かが武器を床に落として膝を付いて両手を上げている。
ジルの実力を見抜いているのかは分からないが、この人数差でも降参を受け入れる者はいた。
「この裏切り者が!」
近くにいた者が勝手に降伏した者達を見て、斬り捨てようと剣を振り上げる。
しかし部屋の中同様に結界に阻まれて剣が届く事は無い。
「なっ!?」
「聞こえなかったか?俺が命を保証してやると言っている。有象無象が触れられる訳はあるまい。」
結界の強度はそれなりに高いのだが、実力者も少なからずいるので万が一を考えるとあまり攻撃させたくはない。
なので敢えて挑発する様な事を言って注意を自分に向ける。
「ちっ、こいつからやっちまえ!」
挑発は成功し何人かがジルに向かってくる。
「上級重力魔法、ウエイトフィールド!」
今のジルはルードなので火魔法以外の魔法を存分に使える。
なので早速上級の重力魔法を発動させてみた。
ウエイトフィールドは、周囲の人や者に対して自由に加重減重をする事が可能な魔法である。
それを使って降伏していない者達を加重していき身動きを取れなくする。
後は動けなくなった者達の意識を狩るだけの作業なので簡単であった。
そして降伏した者達には一箇所に集まってもらう。
「一応裏切られるのも面倒なので拘束させてもらうぞ。中級土魔法、アースバインド!」
手荒な真似が出来無い様に、魔法によって生み出された土が両手を覆って固まる。
部屋の扉の隙間からメイド達がこっそり覗いているので、降伏した者達の事も任せられる。
これで残るは階下にいる者達だけである。
「下は更に人数が多かったな。ふむ、少し派手にいくか。」
そう呟いたジルは少し足を上げてから床を強く踏む。
それだけで床が踏み抜かれ、人が通れそうな穴が空く。
ジルが穴を通って下に降りると、突然天井に穴を開けて降りてきた人物を見て、周りの者達が呆然としている。
「モンドに脅されて従っていた者は避難していろ。向かってくる者には容赦はしない。」
そう言い放つと呆然としていた者達が正気に戻る。
敵対者を排除する為に大半の者が武器を構える。
「し、侵入者だ!」
「モンド様を守れ!」
次々に武器を取りジルに向かってくる冒険者や傭兵達。
上とは違い広間になっているので囲まれている状況だ。
「中級水魔法、ウェーブ!」
ジルが唱えた魔法により、自分を中心に全方向に向けて波が発生する。
中級の魔法とは思えない程の威力であり、向かってきていた人が全て押し流される。
波はそれだけでは止まらず、飾られていた調度品等も含めて広間を滅茶苦茶にしていく。
誰も抗う事が出来ておらず、ジルのワンサイドゲーム状態である。
「領主の使いの者だ。商会長モンドに悪事の疑いが掛けられている。屋敷を検めさせてもらう!」
そして状況を見計らってなのか、屋敷の扉が開いて領主の手勢がなだれ込んでくる。
「ちっ、こんな時に!」
一早く反応した傭兵の一人が非戦闘員と思われる領主の手勢を人質にしようと動く。
狙われてる事にも気付いていない状態だ。
『動くな!』
言霊のスキルによって発せられた言葉が広間に響く。
そして言葉を聞いた傭兵が強制的に動きを止められる。
傭兵は何が起こったのか分からないまま、領主の手勢にあっさりと捕らえられている。
「助かりました、貴方はトゥーリ様が仰っていたジル様ですか?」
文官と思われる男が尋ねてくる。
領主側の者達と面識は無いが、トゥーリからジルの事を何か聞かされているのだろう。
「俺はジル様の配下ルードだ。この場を任されている。」
「そうでしたか、ご助力感謝します。」
頭を下げると戦闘員の下に戻っていく。
領主の手勢もそれなりには戦える様だが、やはりモンドの配下達の方が強い。
しかし今は領主側にジルが付いている。
結果、次々と倒れていくのはモンドの配下達だけとなっていき、数はどんどん減っていく。
黙々と敵を倒していると、壁をぶち壊して3メートルを越えそうな大男が姿を表す。
その大男は真っ直ぐにジルを捉えており、今にも突っ込んできそうである。
「ほお、まだ歯向かってくる愚か者がおるとはな。」
「グオオ!」
ジルは挑発する様に手招きしてやる。
すると大男は雄叫びを上げながらジルに突撃した。
殴り掛かろうとしている腕が膨大な魔力によって覆われ、破壊力を極限にまで高めていく。
「気を付けて下さい!そいつは大量虐殺をした犯罪奴隷、モンドの切り札です!」
領主の手勢の誰かがジルに忠告をしてくる。
しかしそんな忠告も次の瞬間には無意味だった事を皆が知る事になる。
魔装された拳をジルが同じく魔装した手で軽々と受け止めたからだ。
体格差を考えても信じられない光景である。
「その程度では俺には届かんな。パンチと言うのはこう打つのだ!」
ジルはお返しとばかりに魔装した拳を大男の腹に打ち込む。
すると着ていた鎧を粉々に砕けさせながら大男は吹き飛んでいった。
派手に壁を崩壊させて外に放り出される。
ピクピクと動いているので、かろうじて生きてはいるが血だらけの重症である。
「まだ戦う気がある者は相手になってやるぞ。」
ジルがモンドの配下達に向けてそう言うが、あっさりと倒した一面を見て戦おうとする者は一人もいなかった。
「この数を前に余裕だな。中には高ランク冒険者や実力派の傭兵だっているんだぜ?」
一人の男がニヤニヤと笑いながら言う。
圧倒的な人数差を前に、誰も負けるとは思っていないのだろう。
「最初で最後の通告をしてやろう。モンドは既に倒した。モンドの悪名を知っていて、やむを得ず従っていた者は直ぐに武器を捨てて降伏しろ。そうすれば命は保証してやる。」
モンドの宿屋への手口から、金を理由に脅されている者がいる可能性があると判断しての言葉だ。
権力だけはある様なので、脅されて無理矢理従わされている者がいるならば、痛い目に合わせるのも申し訳無いと思った。
実際にジルの言葉を受けて、何人かが武器を床に落として膝を付いて両手を上げている。
ジルの実力を見抜いているのかは分からないが、この人数差でも降参を受け入れる者はいた。
「この裏切り者が!」
近くにいた者が勝手に降伏した者達を見て、斬り捨てようと剣を振り上げる。
しかし部屋の中同様に結界に阻まれて剣が届く事は無い。
「なっ!?」
「聞こえなかったか?俺が命を保証してやると言っている。有象無象が触れられる訳はあるまい。」
結界の強度はそれなりに高いのだが、実力者も少なからずいるので万が一を考えるとあまり攻撃させたくはない。
なので敢えて挑発する様な事を言って注意を自分に向ける。
「ちっ、こいつからやっちまえ!」
挑発は成功し何人かがジルに向かってくる。
「上級重力魔法、ウエイトフィールド!」
今のジルはルードなので火魔法以外の魔法を存分に使える。
なので早速上級の重力魔法を発動させてみた。
ウエイトフィールドは、周囲の人や者に対して自由に加重減重をする事が可能な魔法である。
それを使って降伏していない者達を加重していき身動きを取れなくする。
後は動けなくなった者達の意識を狩るだけの作業なので簡単であった。
そして降伏した者達には一箇所に集まってもらう。
「一応裏切られるのも面倒なので拘束させてもらうぞ。中級土魔法、アースバインド!」
手荒な真似が出来無い様に、魔法によって生み出された土が両手を覆って固まる。
部屋の扉の隙間からメイド達がこっそり覗いているので、降伏した者達の事も任せられる。
これで残るは階下にいる者達だけである。
「下は更に人数が多かったな。ふむ、少し派手にいくか。」
そう呟いたジルは少し足を上げてから床を強く踏む。
それだけで床が踏み抜かれ、人が通れそうな穴が空く。
ジルが穴を通って下に降りると、突然天井に穴を開けて降りてきた人物を見て、周りの者達が呆然としている。
「モンドに脅されて従っていた者は避難していろ。向かってくる者には容赦はしない。」
そう言い放つと呆然としていた者達が正気に戻る。
敵対者を排除する為に大半の者が武器を構える。
「し、侵入者だ!」
「モンド様を守れ!」
次々に武器を取りジルに向かってくる冒険者や傭兵達。
上とは違い広間になっているので囲まれている状況だ。
「中級水魔法、ウェーブ!」
ジルが唱えた魔法により、自分を中心に全方向に向けて波が発生する。
中級の魔法とは思えない程の威力であり、向かってきていた人が全て押し流される。
波はそれだけでは止まらず、飾られていた調度品等も含めて広間を滅茶苦茶にしていく。
誰も抗う事が出来ておらず、ジルのワンサイドゲーム状態である。
「領主の使いの者だ。商会長モンドに悪事の疑いが掛けられている。屋敷を検めさせてもらう!」
そして状況を見計らってなのか、屋敷の扉が開いて領主の手勢がなだれ込んでくる。
「ちっ、こんな時に!」
一早く反応した傭兵の一人が非戦闘員と思われる領主の手勢を人質にしようと動く。
狙われてる事にも気付いていない状態だ。
『動くな!』
言霊のスキルによって発せられた言葉が広間に響く。
そして言葉を聞いた傭兵が強制的に動きを止められる。
傭兵は何が起こったのか分からないまま、領主の手勢にあっさりと捕らえられている。
「助かりました、貴方はトゥーリ様が仰っていたジル様ですか?」
文官と思われる男が尋ねてくる。
領主側の者達と面識は無いが、トゥーリからジルの事を何か聞かされているのだろう。
「俺はジル様の配下ルードだ。この場を任されている。」
「そうでしたか、ご助力感謝します。」
頭を下げると戦闘員の下に戻っていく。
領主の手勢もそれなりには戦える様だが、やはりモンドの配下達の方が強い。
しかし今は領主側にジルが付いている。
結果、次々と倒れていくのはモンドの配下達だけとなっていき、数はどんどん減っていく。
黙々と敵を倒していると、壁をぶち壊して3メートルを越えそうな大男が姿を表す。
その大男は真っ直ぐにジルを捉えており、今にも突っ込んできそうである。
「ほお、まだ歯向かってくる愚か者がおるとはな。」
「グオオ!」
ジルは挑発する様に手招きしてやる。
すると大男は雄叫びを上げながらジルに突撃した。
殴り掛かろうとしている腕が膨大な魔力によって覆われ、破壊力を極限にまで高めていく。
「気を付けて下さい!そいつは大量虐殺をした犯罪奴隷、モンドの切り札です!」
領主の手勢の誰かがジルに忠告をしてくる。
しかしそんな忠告も次の瞬間には無意味だった事を皆が知る事になる。
魔装された拳をジルが同じく魔装した手で軽々と受け止めたからだ。
体格差を考えても信じられない光景である。
「その程度では俺には届かんな。パンチと言うのはこう打つのだ!」
ジルはお返しとばかりに魔装した拳を大男の腹に打ち込む。
すると着ていた鎧を粉々に砕けさせながら大男は吹き飛んでいった。
派手に壁を崩壊させて外に放り出される。
ピクピクと動いているので、かろうじて生きてはいるが血だらけの重症である。
「まだ戦う気がある者は相手になってやるぞ。」
ジルがモンドの配下達に向けてそう言うが、あっさりと倒した一面を見て戦おうとする者は一人もいなかった。
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