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8章
元魔王様と鬼人族の巫女 3
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突然の怒声に全員が足を止める。
すると目の前の景色が徐々に変わっていく。
風に揺れる草木が消え、代わりに木造の家が次々に現れる。
集落を偽装していた結界を解いたのだろう。
そして怒声を発したと思われる門番の男は、集落の入り口で槍を片手に睨んでいた。
「人族が我が同胞を連れて何用か!」
今にも槍で襲い掛かってきそうな雰囲気である。
背後の集落からもぞろぞろと武器を構えた鬼人族が集まってきている。
「誤解だ。こちらに戦闘の意思は無い。」
そう言ってジルは両手を上げる。
人族を好ましく思っていないのは、子供達の反応からよく分かった。
それは大人の鬼人族達も同じなのだろう。
先に意思表示しておかなければ、鬼人族全員との戦いに発展する可能性もありそうだ。
「では何故村の子供を連れ歩いている!」
「偶然だが人攫いから助けたのだ。その後、集落までの護衛を頼まれた。」
ありのままを話しているので嘘は言っていない。
だが今の状況と人族の印象から、信じてもらえるかは分からない。
「本当です。僕達が我儘を言って頼んだんです!」
ジルに護衛を頼んだ子がジルの発言を肯定する様に言う。
周りの子供達も頷いている。
「騙されんぞ!スキルか魔法道具で洗脳しているのだろう!我々鬼人族を奴隷とする為に!」
しかし子供達の反応を見ても態度は変わらなかった。
どれだけ印象が悪いのか、子供を洗脳して集落の場所を探ろうとしている奴隷狩りと思われてしまった。
「そんな事は無いのです!人族にも良い人は沢山いるのです!」
状況改善の為にシキが前に出る。
小さいのでジルの肩に乗っているだけでは存在感が薄かった様だ。
実際空中に浮かんだ事により、鬼人族達が精霊だと認識してザワザワと話し合っているので、存在を最大限に活かす事には成功した様だ。
「精霊付きか。しかしそれでも人族は信用ならん!皆、人族の今までの蛮行を忘れた訳ではあるまい!武器を取り、こいつを殺すべきだ!」
シキで状況が変わると思っていたが、男は他の鬼人族にそう訴え掛けている。
このままでは鬼人族達が襲い掛かってきてしまう。
大勢を相手にしても負ける事は無いが、鬼人族達はそれなりに強い。
手加減が難しいので、殺してしまう可能性がある以上逃げる事になるだろう。
「ハガン、一旦落ち着くのじゃ。」
どうしようかと考えていると、集落の奥から長い白銀の髪を揺らしながら美しい鬼人族の女の子がやってきて、門番の男に近付いて話し掛けた。
口調は年寄りみたいだが、見た目は人族で言う成人くらいであり、とても可愛らしい。
「っ!?姫様、危険です!相手は人族ですぞ!」
ハガンと呼ばれた男が女の子を庇いながらジルを睨み付ける。
どうやら鬼人族のお姫様の様だ。
周りの者達も整っている方だが、それと比べても容姿は抜きん出ている。
「心配いらぬ。お婆様…、巫女様の占いの結果じゃ。」
それを聞いたハガンは大きく目を見開いて驚いている。
ジルの方を見て信じられないと言った様子だ。
「それは真ですか?」
「うむ。」
確認する様に尋ねるハガンの言葉に大きく姫が頷く。
「そうですか、命拾いしたな人族の小僧!」
ハガンは睨みながらそう言って槍を下ろした。
他の鬼人族の者達も同じく武器の構えを解いてくれた。
よく分からないが巫女様と言う者のおかげで助かった様だ。
鬼人族の中では姫と同じく高い発言力を持っているのが分かる。
「いきなり失礼な対応すまなかったのじゃ。それと子供達が世話になったのう。」
「いや、気にしてはいない。」
姫がジルに向けてそう言いながら頭を下げる。
ハガンと呼ばれた鬼人族とは違って会話が成立する様だ。
「お前達、心配していたのじゃぞ?」
姫がそう言うと子供達が涙を流しながら駆け出していく。
集落の中からは子供達の親と思われる者が走り出て抱きしめている。
「感動の再会なのです。」
その様子を見てシキも少し泣いていた。
危うい状況に発展しかけたが、この様子を見れば助けてよかったと思う。
「用は済んだのだろう?さっさと立ち去るがよい。」
ハガンが姫を背中に隠しながらジルに向けて言う。
人族と少しでも長く関わっているのが嫌なのだろう。
「むうう、助けたジル様に向かって失礼なのです!」
その言葉を聞いたシキが怒っている。
気持ちは分かるが人族に良い印象を持っていないのは人族の責任なので、それに関係していなくても同類と見られても仕方が無いのだ。
「そうじゃぞハガン。人族とは言え、子供達を助けてくれた恩人じゃ。」
シキの言葉に姫が同意する様に言う。
「ならば何か謝礼を渡して…。」
「待て待て、そう追い返そうとするでない。人族よ、時間があれば少し村に立ち寄っていかぬか?」
姫がハガンの背中からひょっこりと顔を覗かせながら言う。
「なっ!?姫様、何を仰っているか分かっているのですか!」
その言葉を受けたハガンは当然反対の様だ。
集落の中から集まってきていた鬼人族の者達も顔を見合わせて困惑気味である。
「無論じゃ。しかしこれは妾の思い付きでは無いぞ。巫女様から呼んでこいと言われたのじゃ。」
ジルを集落に連れてくる様に言ったのは、先程の話しにあった発言力のありそうな巫女様からの提案らしい。
「巫女様が!?いや、…しかし、人族を我らの村に…。」
それを聞いたハガンは渋っていた様子だが、最終的には周りの者達に説得されて折れる結果となった。
すると目の前の景色が徐々に変わっていく。
風に揺れる草木が消え、代わりに木造の家が次々に現れる。
集落を偽装していた結界を解いたのだろう。
そして怒声を発したと思われる門番の男は、集落の入り口で槍を片手に睨んでいた。
「人族が我が同胞を連れて何用か!」
今にも槍で襲い掛かってきそうな雰囲気である。
背後の集落からもぞろぞろと武器を構えた鬼人族が集まってきている。
「誤解だ。こちらに戦闘の意思は無い。」
そう言ってジルは両手を上げる。
人族を好ましく思っていないのは、子供達の反応からよく分かった。
それは大人の鬼人族達も同じなのだろう。
先に意思表示しておかなければ、鬼人族全員との戦いに発展する可能性もありそうだ。
「では何故村の子供を連れ歩いている!」
「偶然だが人攫いから助けたのだ。その後、集落までの護衛を頼まれた。」
ありのままを話しているので嘘は言っていない。
だが今の状況と人族の印象から、信じてもらえるかは分からない。
「本当です。僕達が我儘を言って頼んだんです!」
ジルに護衛を頼んだ子がジルの発言を肯定する様に言う。
周りの子供達も頷いている。
「騙されんぞ!スキルか魔法道具で洗脳しているのだろう!我々鬼人族を奴隷とする為に!」
しかし子供達の反応を見ても態度は変わらなかった。
どれだけ印象が悪いのか、子供を洗脳して集落の場所を探ろうとしている奴隷狩りと思われてしまった。
「そんな事は無いのです!人族にも良い人は沢山いるのです!」
状況改善の為にシキが前に出る。
小さいのでジルの肩に乗っているだけでは存在感が薄かった様だ。
実際空中に浮かんだ事により、鬼人族達が精霊だと認識してザワザワと話し合っているので、存在を最大限に活かす事には成功した様だ。
「精霊付きか。しかしそれでも人族は信用ならん!皆、人族の今までの蛮行を忘れた訳ではあるまい!武器を取り、こいつを殺すべきだ!」
シキで状況が変わると思っていたが、男は他の鬼人族にそう訴え掛けている。
このままでは鬼人族達が襲い掛かってきてしまう。
大勢を相手にしても負ける事は無いが、鬼人族達はそれなりに強い。
手加減が難しいので、殺してしまう可能性がある以上逃げる事になるだろう。
「ハガン、一旦落ち着くのじゃ。」
どうしようかと考えていると、集落の奥から長い白銀の髪を揺らしながら美しい鬼人族の女の子がやってきて、門番の男に近付いて話し掛けた。
口調は年寄りみたいだが、見た目は人族で言う成人くらいであり、とても可愛らしい。
「っ!?姫様、危険です!相手は人族ですぞ!」
ハガンと呼ばれた男が女の子を庇いながらジルを睨み付ける。
どうやら鬼人族のお姫様の様だ。
周りの者達も整っている方だが、それと比べても容姿は抜きん出ている。
「心配いらぬ。お婆様…、巫女様の占いの結果じゃ。」
それを聞いたハガンは大きく目を見開いて驚いている。
ジルの方を見て信じられないと言った様子だ。
「それは真ですか?」
「うむ。」
確認する様に尋ねるハガンの言葉に大きく姫が頷く。
「そうですか、命拾いしたな人族の小僧!」
ハガンは睨みながらそう言って槍を下ろした。
他の鬼人族の者達も同じく武器の構えを解いてくれた。
よく分からないが巫女様と言う者のおかげで助かった様だ。
鬼人族の中では姫と同じく高い発言力を持っているのが分かる。
「いきなり失礼な対応すまなかったのじゃ。それと子供達が世話になったのう。」
「いや、気にしてはいない。」
姫がジルに向けてそう言いながら頭を下げる。
ハガンと呼ばれた鬼人族とは違って会話が成立する様だ。
「お前達、心配していたのじゃぞ?」
姫がそう言うと子供達が涙を流しながら駆け出していく。
集落の中からは子供達の親と思われる者が走り出て抱きしめている。
「感動の再会なのです。」
その様子を見てシキも少し泣いていた。
危うい状況に発展しかけたが、この様子を見れば助けてよかったと思う。
「用は済んだのだろう?さっさと立ち去るがよい。」
ハガンが姫を背中に隠しながらジルに向けて言う。
人族と少しでも長く関わっているのが嫌なのだろう。
「むうう、助けたジル様に向かって失礼なのです!」
その言葉を聞いたシキが怒っている。
気持ちは分かるが人族に良い印象を持っていないのは人族の責任なので、それに関係していなくても同類と見られても仕方が無いのだ。
「そうじゃぞハガン。人族とは言え、子供達を助けてくれた恩人じゃ。」
シキの言葉に姫が同意する様に言う。
「ならば何か謝礼を渡して…。」
「待て待て、そう追い返そうとするでない。人族よ、時間があれば少し村に立ち寄っていかぬか?」
姫がハガンの背中からひょっこりと顔を覗かせながら言う。
「なっ!?姫様、何を仰っているか分かっているのですか!」
その言葉を受けたハガンは当然反対の様だ。
集落の中から集まってきていた鬼人族の者達も顔を見合わせて困惑気味である。
「無論じゃ。しかしこれは妾の思い付きでは無いぞ。巫女様から呼んでこいと言われたのじゃ。」
ジルを集落に連れてくる様に言ったのは、先程の話しにあった発言力のありそうな巫女様からの提案らしい。
「巫女様が!?いや、…しかし、人族を我らの村に…。」
それを聞いたハガンは渋っていた様子だが、最終的には周りの者達に説得されて折れる結果となった。
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