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8章
元魔王様と鬼人族の巫女 8
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「他の情報?」
「占天術・天啓のスキルです。魔王様が訪れると分かったのもスキルのおかげです。」
先程聞いた予知系統のスキルだ。
これにジルが魔王だと思われる情報があるらしい。
「あの内容で魔王要素と言えば超越者くらいか?」
あの単語の中で魔王要素と言えばそれくらいだろう。
しかし随分と漠然とした単語である。
それだけではとても魔王と結び付けるのは難しい。
何故ならば超越者と言える存在は、捉え方によってはこの世界に沢山存在しているからだ。
魔王やそれと対を成す勇者、偉業を遂げた英雄、冒険者の頂点に上り詰めたSランク冒険者などである。
そして魔物も含めるならば、魔物の頂点とも言えるドラゴン、Sランクに分類される魔物達、各種の最上位の個体といくらでも出てくる。
「あれは誤った情報です。本当は超越者と言う単語はありませんでした。」
あの超越者はキクナが考えた嘘の単語だったのだ。
真実は占天術・天啓のスキルを持つキクナにしか分からないので、誰も疑う事はしなかった。
「本当の単語はなんなのだ?」
「魔王です。」
至ってシンプルな単語だった。
それならば訪れてきた者と結び付けて考えるのも頷ける。
「それは随分と分かりやすいな。何故他の者達に伝えていない?」
キクナがスキルの内容を偽った理由が分からない。
「魔王ジークルード・フィーデン様がこの世界に存在しないのは周知の事実。ですがこの単語がどちらを指しているのか確信は持てませんでしたから。」
「成る程なのです。今代の魔王の可能性もあるのです。」
シキは納得したと言わんばかりに手を叩いている。
魔王ジークルード・フィーデンがこの世界から消滅した後、魔族の一人が魔王として名乗りをあげたのはシキから聞いている。
確かに魔王だけでは、元魔王か現魔王か判断が出来無い。
「その通りです。可能性としては現魔王の方が高いと感じましたので、その場合皆を不安な想いにさせてしまいますから。」
キクナは何かを危惧して偽った内容を伝えたらしい。
「不安な想い?」
「今代の魔王はジル様と違って交戦的なのです。天使族とバチバチに殺りあっているので、人員確保に必死なのです。」
天使族は人族が召喚した厄介な存在とシキから聞いた。
魔族を滅ぼすと公言したらしいので、魔族側も黙って殺られる筈も無く応戦しているのだろう。
「戦闘能力に秀でている我々も何度も勧誘を受けました。ですが天使族は強大な敵です。傘下となれば間違い無く、鬼人族は滅びてしまうでしょう。」
種族を守る為には誘いに乗る訳にはいかなかった。
ドクナの娘として、鬼人族の長として、皆の命を散らす選択をする訳にはいかない。
「それ程か、我は会った事が無いからなんとも言えないな。」
転生してから天使族との接触は無い。
口を揃えて皆ヤバい相手だと言っている為、面倒な相手に出会いたいと思っていないので助かっている。
「我々にとってはと言う意味です。魔王様ならば問題無いでしょう。話しが逸れましたね。一先ずスキルがどちらかの魔王様を指していたので会ってみたいと思ったのです。そして元魔王様であるとこの目で見て確信したと言う流れです。」
「ふむ、事情は分かった。それで我が鬼人族を守ればいい訳だな?」
当初の話しに戻る。
キクナは予知した内容が滅びを迎える鬼人族を元魔王で人族でもあるジルが救世主となって助けてくれると解釈しているのだろう。
「…受けていただけるのですか?」
キクナはおそるおそると言った様子で尋ねる。
前世の立場から考えれば、一種族の長が国のトップにお願いしている形だ。
緊張するのも仕方が無い。
「なんだ?断られると思っていたのか?」
「い、いえ。ただ魔王様には得がありません。それに知らぬ事とは言え、失礼な態度ばかり取ってしまいました…。」
集落の鬼人族達の事を言っているのだろう。
相手がまさか元魔王だとは誰も知らなかったとは言えキクナは気にしている様だ。
ジルは人族との関係を思えば当然の反応だと思っているが、前世の配下達がいれば集落は消し飛んでいた可能性さえあったのでジルでよかったと言える。
「その程度の瑣事、気にしてはいない。キクナよ、鬼人族の長であるドクナは我の下に何をしに来た?」
数百年前の事をジルが尋ねる。
「庇護を求めにです。鬼人族を救っていただく為に。」
それ以外に理由は無い。
実際それを成したからこそ、当時の鬼人族達は安全な暮らしを送れていたのだ。
「それを受けたのは元魔王ジークルード・フィーデンであるが、それは我でもある。転生したからとは言え、庇護を求めてきた者を見捨てる程、器は小さく無いつもりだ。」
仲間や庇護下にある者達全てを元魔王は平等に守り助けてきた。
それは敵対関係にあった人族も含まれる。
召喚された異世界の勇者達は、無理矢理魔王討伐をさせられていたが、次元の違う強さを持つ魔王を前に降伏してきた者も少なくない。
その様な者達でさえ魔国フュデスで受け入れて普通の暮らしを与えていた。
「で、では…。」
「何が起こるかは分からんが、鬼人族の未来は我が守ってやろう。シキとライムも異論は無いな?」
勝手に話しを纏めたが今は一緒に旅をする仲間がいるので確認しておく。
「勿論なのです!ジル様にどこまでも付いていくのです!」
シキは当然だと言わんばかりに頷いており、ライムも肯定する様にプルプルと揺れている。
「ありがとうございます、ありがとうございます魔王様。」
再びキクナは床に頭を擦り付ける様に土下座をして感謝を述べていた。
「占天術・天啓のスキルです。魔王様が訪れると分かったのもスキルのおかげです。」
先程聞いた予知系統のスキルだ。
これにジルが魔王だと思われる情報があるらしい。
「あの内容で魔王要素と言えば超越者くらいか?」
あの単語の中で魔王要素と言えばそれくらいだろう。
しかし随分と漠然とした単語である。
それだけではとても魔王と結び付けるのは難しい。
何故ならば超越者と言える存在は、捉え方によってはこの世界に沢山存在しているからだ。
魔王やそれと対を成す勇者、偉業を遂げた英雄、冒険者の頂点に上り詰めたSランク冒険者などである。
そして魔物も含めるならば、魔物の頂点とも言えるドラゴン、Sランクに分類される魔物達、各種の最上位の個体といくらでも出てくる。
「あれは誤った情報です。本当は超越者と言う単語はありませんでした。」
あの超越者はキクナが考えた嘘の単語だったのだ。
真実は占天術・天啓のスキルを持つキクナにしか分からないので、誰も疑う事はしなかった。
「本当の単語はなんなのだ?」
「魔王です。」
至ってシンプルな単語だった。
それならば訪れてきた者と結び付けて考えるのも頷ける。
「それは随分と分かりやすいな。何故他の者達に伝えていない?」
キクナがスキルの内容を偽った理由が分からない。
「魔王ジークルード・フィーデン様がこの世界に存在しないのは周知の事実。ですがこの単語がどちらを指しているのか確信は持てませんでしたから。」
「成る程なのです。今代の魔王の可能性もあるのです。」
シキは納得したと言わんばかりに手を叩いている。
魔王ジークルード・フィーデンがこの世界から消滅した後、魔族の一人が魔王として名乗りをあげたのはシキから聞いている。
確かに魔王だけでは、元魔王か現魔王か判断が出来無い。
「その通りです。可能性としては現魔王の方が高いと感じましたので、その場合皆を不安な想いにさせてしまいますから。」
キクナは何かを危惧して偽った内容を伝えたらしい。
「不安な想い?」
「今代の魔王はジル様と違って交戦的なのです。天使族とバチバチに殺りあっているので、人員確保に必死なのです。」
天使族は人族が召喚した厄介な存在とシキから聞いた。
魔族を滅ぼすと公言したらしいので、魔族側も黙って殺られる筈も無く応戦しているのだろう。
「戦闘能力に秀でている我々も何度も勧誘を受けました。ですが天使族は強大な敵です。傘下となれば間違い無く、鬼人族は滅びてしまうでしょう。」
種族を守る為には誘いに乗る訳にはいかなかった。
ドクナの娘として、鬼人族の長として、皆の命を散らす選択をする訳にはいかない。
「それ程か、我は会った事が無いからなんとも言えないな。」
転生してから天使族との接触は無い。
口を揃えて皆ヤバい相手だと言っている為、面倒な相手に出会いたいと思っていないので助かっている。
「我々にとってはと言う意味です。魔王様ならば問題無いでしょう。話しが逸れましたね。一先ずスキルがどちらかの魔王様を指していたので会ってみたいと思ったのです。そして元魔王様であるとこの目で見て確信したと言う流れです。」
「ふむ、事情は分かった。それで我が鬼人族を守ればいい訳だな?」
当初の話しに戻る。
キクナは予知した内容が滅びを迎える鬼人族を元魔王で人族でもあるジルが救世主となって助けてくれると解釈しているのだろう。
「…受けていただけるのですか?」
キクナはおそるおそると言った様子で尋ねる。
前世の立場から考えれば、一種族の長が国のトップにお願いしている形だ。
緊張するのも仕方が無い。
「なんだ?断られると思っていたのか?」
「い、いえ。ただ魔王様には得がありません。それに知らぬ事とは言え、失礼な態度ばかり取ってしまいました…。」
集落の鬼人族達の事を言っているのだろう。
相手がまさか元魔王だとは誰も知らなかったとは言えキクナは気にしている様だ。
ジルは人族との関係を思えば当然の反応だと思っているが、前世の配下達がいれば集落は消し飛んでいた可能性さえあったのでジルでよかったと言える。
「その程度の瑣事、気にしてはいない。キクナよ、鬼人族の長であるドクナは我の下に何をしに来た?」
数百年前の事をジルが尋ねる。
「庇護を求めにです。鬼人族を救っていただく為に。」
それ以外に理由は無い。
実際それを成したからこそ、当時の鬼人族達は安全な暮らしを送れていたのだ。
「それを受けたのは元魔王ジークルード・フィーデンであるが、それは我でもある。転生したからとは言え、庇護を求めてきた者を見捨てる程、器は小さく無いつもりだ。」
仲間や庇護下にある者達全てを元魔王は平等に守り助けてきた。
それは敵対関係にあった人族も含まれる。
召喚された異世界の勇者達は、無理矢理魔王討伐をさせられていたが、次元の違う強さを持つ魔王を前に降伏してきた者も少なくない。
その様な者達でさえ魔国フュデスで受け入れて普通の暮らしを与えていた。
「で、では…。」
「何が起こるかは分からんが、鬼人族の未来は我が守ってやろう。シキとライムも異論は無いな?」
勝手に話しを纏めたが今は一緒に旅をする仲間がいるので確認しておく。
「勿論なのです!ジル様にどこまでも付いていくのです!」
シキは当然だと言わんばかりに頷いており、ライムも肯定する様にプルプルと揺れている。
「ありがとうございます、ありがとうございます魔王様。」
再びキクナは床に頭を擦り付ける様に土下座をして感謝を述べていた。
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