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10章
元魔王様と最強のメイド達 9
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固く握手を交わしたナキナだったが、直ぐに酔った顔を更に赤くして手を離した。
「ふぅ、妾も大分酔っているようじゃ。水でも貰ってくるかのう。」
真っ赤な顔を隠す様にジルに背を向けて早足でこの場から立ち去る。
「柄にも無く格好を付けて照れているのでしょうか?」
その後ろ姿を見てクスクスと笑いながら、今度はキクナが近付いてきた。
「鬼人族の巫女と姫が我に構っていていいのか?」
「当然です。ジル様達が我々を救ってくださったのですから。」
それにジルの前世を知っているキクナとしては、ずっと自分がもてなしたいと言う気持ちであった。
「庇護を求めてきた者を救うのは昔からしていた事だ。」
鬼人族以外にも様々な種族が魔王の下に助けを求めてきた。
その中には人族によって召喚された異世界の人族もいた。
しかし誰が助けを求めてきても、魔王は平等に庇護してきたのだ。
「そうですね。だからこそ、敬いもてなすのも庇護された側からすれば当然の事なのです。」
誰もが自分達を受け入れてくれた魔王に感謝をし敬っていた。
「充分もてなされている。」
「それでしたら良かったです。」
キクナが少なくなったコップに酒を注いでくれたので、酒を傾けつつ話し掛ける。
「ナキナは今後も鬼人族は森で暮らしていくと言っていた。」
「はい、その予定です。」
「次も都合良く助けられるとは限らないぞ?」
今回は完全なる偶然である。
帰路の途中に鬼人族の子供を拉致する現場に遭遇したからこそ、結果的に鬼人族を救う事が出来た。
しかしまた同じ様な事が起こったとしても、近くにいなければ助ける事は難しい。
「分かっています。ですが我々鬼人族と言う種族の事を考えれば、あまり人の寄り付かない場所に居を構えるのが一番良いでしょう。」
戦闘種族とも言える鬼人族は、人族には奴隷として捕まる可能性があり、魔族には天使との戦闘員にされる可能性がある。
他種族と関わってもデメリットが多い事を考えると、ジルの近くで暮らす事は難しい。
「はぁ、…まあ元々は我が原因か。」
ジルは空を見上げながらそんな事を呟く。
「ジル様?」
「我が勝手に転生した事によって、起こった事だからな。」
孤独と何もする事の無い時間に耐えられず、ジルは死を選んだ。
しかし魔王の死がきっかけで、世界は大きく変動したと言える。
その一つが人族による他種族の奴隷狩りだ。
魔王として生きていた頃ならば、庇護下にある者達に対して、そんな事をされれば見逃す筈が無かったのだ。
「そんな事は!我々は充分にジル様に助けていただいていました!恨んでいる者などいる筈もありません!」
キクナはジルの言葉を否定する様に言う。
鬼人族も庇護を求めて魔王の下に向かった。
そして実際に長い年月を魔王に守ってもらったのだ。
恨みを抱く事はあり得ない。
「ふっ、お前がそう思ってくれるのは嬉しいが、死者の気持ちは死者にしか分からん。我がいなくなった事が原因で不幸な目に遭った者は、確実にいるのだからな。」
「それはっ…。」
ジルの言葉にキクナも言葉を詰まらせる。
鬼人族も奴隷狩りの被害には遭っている。
それは魔王ジークルード・フィーデンがいなくなった事により起こったと言われれば否定出来無い。
そしてその奴隷狩りのせいで、キクナは父を失ってしまっている。
魔王ジークルード・フィーデンが健在だったなら、ドクナは今も生きていた可能性もあるのだ。
「悪いな、我も酔っている様だ。」
つい愚痴を溢してしまった事を謝罪する。
前世を知っている者を前に口が軽くなってしまった様だ。
「ジル様、貴方が感じられている事に対して、貴方に護っていただいた私が何かを言う資格はありません。ですがこれだけは覚えていてください。貴方に護られて今もなお生きている者も数えきれない程いる事を。」
そう言ってキクナは自分もその一人だと言う様に胸に手を置いた。
自分を含めて魔王の庇護下に入った者は本当に大勢いた。
人族以外にも世界には魔物と言う脅威もあり、自分達だけでは生きていけない種族も多かったのだ。
そう言った者達を全て受け入れてくれた魔王に皆が感謝していたのは揺るがない事実である。
「そうだな。それを考えれば少しは気持ちが安らぐか。」
責められても仕方が無いと思ってはいるが、再び死神に殺してもらう直前に戻れたとしても同じ判断をするだろう。
それだけ孤独で過ごした期間、これからも過ごす予定だった期間が精神的に辛かったのである。
「それはよかったです。」
「ジル様、こっちに美味しい食べ物があるのです!」
遠くで鬼人族達にもてなされていたシキが手を振りながら言ってきた。
「全く、我の気持ちも知らずに呑気な精霊だ。」
普段と変わらないシキを見て、魔王から転生した件について深く考えている自分が滑稽に思えてきた。
「ふふっ、ジル様の気持ちを知っての気遣いかもしれませんよ?」
「どうだかな。まあ、鬼人族にもてなされる続きといくか。」
その後はシキの勧める料理を食べ、鬼人族達と語らいながら呑み明かし、大いに宴を楽しんだ。
「ふぅ、妾も大分酔っているようじゃ。水でも貰ってくるかのう。」
真っ赤な顔を隠す様にジルに背を向けて早足でこの場から立ち去る。
「柄にも無く格好を付けて照れているのでしょうか?」
その後ろ姿を見てクスクスと笑いながら、今度はキクナが近付いてきた。
「鬼人族の巫女と姫が我に構っていていいのか?」
「当然です。ジル様達が我々を救ってくださったのですから。」
それにジルの前世を知っているキクナとしては、ずっと自分がもてなしたいと言う気持ちであった。
「庇護を求めてきた者を救うのは昔からしていた事だ。」
鬼人族以外にも様々な種族が魔王の下に助けを求めてきた。
その中には人族によって召喚された異世界の人族もいた。
しかし誰が助けを求めてきても、魔王は平等に庇護してきたのだ。
「そうですね。だからこそ、敬いもてなすのも庇護された側からすれば当然の事なのです。」
誰もが自分達を受け入れてくれた魔王に感謝をし敬っていた。
「充分もてなされている。」
「それでしたら良かったです。」
キクナが少なくなったコップに酒を注いでくれたので、酒を傾けつつ話し掛ける。
「ナキナは今後も鬼人族は森で暮らしていくと言っていた。」
「はい、その予定です。」
「次も都合良く助けられるとは限らないぞ?」
今回は完全なる偶然である。
帰路の途中に鬼人族の子供を拉致する現場に遭遇したからこそ、結果的に鬼人族を救う事が出来た。
しかしまた同じ様な事が起こったとしても、近くにいなければ助ける事は難しい。
「分かっています。ですが我々鬼人族と言う種族の事を考えれば、あまり人の寄り付かない場所に居を構えるのが一番良いでしょう。」
戦闘種族とも言える鬼人族は、人族には奴隷として捕まる可能性があり、魔族には天使との戦闘員にされる可能性がある。
他種族と関わってもデメリットが多い事を考えると、ジルの近くで暮らす事は難しい。
「はぁ、…まあ元々は我が原因か。」
ジルは空を見上げながらそんな事を呟く。
「ジル様?」
「我が勝手に転生した事によって、起こった事だからな。」
孤独と何もする事の無い時間に耐えられず、ジルは死を選んだ。
しかし魔王の死がきっかけで、世界は大きく変動したと言える。
その一つが人族による他種族の奴隷狩りだ。
魔王として生きていた頃ならば、庇護下にある者達に対して、そんな事をされれば見逃す筈が無かったのだ。
「そんな事は!我々は充分にジル様に助けていただいていました!恨んでいる者などいる筈もありません!」
キクナはジルの言葉を否定する様に言う。
鬼人族も庇護を求めて魔王の下に向かった。
そして実際に長い年月を魔王に守ってもらったのだ。
恨みを抱く事はあり得ない。
「ふっ、お前がそう思ってくれるのは嬉しいが、死者の気持ちは死者にしか分からん。我がいなくなった事が原因で不幸な目に遭った者は、確実にいるのだからな。」
「それはっ…。」
ジルの言葉にキクナも言葉を詰まらせる。
鬼人族も奴隷狩りの被害には遭っている。
それは魔王ジークルード・フィーデンがいなくなった事により起こったと言われれば否定出来無い。
そしてその奴隷狩りのせいで、キクナは父を失ってしまっている。
魔王ジークルード・フィーデンが健在だったなら、ドクナは今も生きていた可能性もあるのだ。
「悪いな、我も酔っている様だ。」
つい愚痴を溢してしまった事を謝罪する。
前世を知っている者を前に口が軽くなってしまった様だ。
「ジル様、貴方が感じられている事に対して、貴方に護っていただいた私が何かを言う資格はありません。ですがこれだけは覚えていてください。貴方に護られて今もなお生きている者も数えきれない程いる事を。」
そう言ってキクナは自分もその一人だと言う様に胸に手を置いた。
自分を含めて魔王の庇護下に入った者は本当に大勢いた。
人族以外にも世界には魔物と言う脅威もあり、自分達だけでは生きていけない種族も多かったのだ。
そう言った者達を全て受け入れてくれた魔王に皆が感謝していたのは揺るがない事実である。
「そうだな。それを考えれば少しは気持ちが安らぐか。」
責められても仕方が無いと思ってはいるが、再び死神に殺してもらう直前に戻れたとしても同じ判断をするだろう。
それだけ孤独で過ごした期間、これからも過ごす予定だった期間が精神的に辛かったのである。
「それはよかったです。」
「ジル様、こっちに美味しい食べ物があるのです!」
遠くで鬼人族達にもてなされていたシキが手を振りながら言ってきた。
「全く、我の気持ちも知らずに呑気な精霊だ。」
普段と変わらないシキを見て、魔王から転生した件について深く考えている自分が滑稽に思えてきた。
「ふふっ、ジル様の気持ちを知っての気遣いかもしれませんよ?」
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